小さんと談志が修復しがたい関係に陥ったのは弟子である談志に問題があったからだ。
元々仲は悪くなかった様でどちらかというと師匠小さんが問題児を長い目で見るそんな関係だ。
立川流を名乗り破門されてからは完全に関係が絶たれたが談志は師匠の事を意識していた節がある。
「もしも小さんが”俺が悪かった”と謝って来たらどうするか解らんねえ」
つまり師匠小さんが手をついて謝ったら俺は許すかもしれない、いや許すというのだが何とも談志らしい。
小さんに瑕疵は無い。
勿論謝る道理も無い。
師匠に手をついて詫びるのは談志の方なのだ。
小さんは談志を破門したのち彼について語る事は無かったようだが周囲は違う。
小さんの孫である柳家花緑は
「談志さんにはおじいちゃんにきちんと謝って欲しい」
と公言していた。
もしも談志が謝ったら(謝る訳はないが)恐らく小さんは許したんだろうなあ。
鷹揚な人だから。
不器用な弟子と師匠の関係だった。