BBC NewsJapan
http://www.bbc.com/japanese/video-34865021 より転載
「憎しみ」という贈り物はしない 犠牲者家族の投稿が話題に
2015年11月19日 最終更新 13:17 JST
パリ連続襲撃事件で犠牲となった女性の夫が犯人らにあてたメッセージがフェイスブックに投稿され話題となっている。妻のエレーヌさんは事件当時、最も多くの死者が出たバタクラン劇場にいた。夫のアントワーヌさんは、残された1歳5か月の息子と日常を取り戻す決意と共に、「『憎しみ』という贈り物をあなたにあげたりはしない」と犯人らに語りかける。
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Paris attacks: 'I will not give you the gift of hating you' - BBC News
After losing his wife Helene in the attack on the Bataclan theatre in Paris, Antoine Leiris reads his tribute to her, and challenge to her killers, to BBC News in Paris.
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http://www.bbc.com/japanese/video-34865021 ←動画先
◆レリスさん投稿の全訳
「君たちに憎しみを与えない」
金曜日の夜、君たちはかけがえのない人の命を奪い去った。
私の最愛の妻、そして息子の母を。
でも、私は君たちに憎しみを与えない。
君たちが誰かも知らないし、知りたくもない。
君たちは死んだ魂だ。
君たちは神の名で無分別に殺りくを行った。
もし、その神がわれわれ人間を自らの姿に似せてつくったのだとしたら、
妻の体に撃ち込まれた一つ一つの弾丸が、神の心に撃ち込まれていることだろう。
だから、私は決して、君たちに憎しみという贈り物を贈らない。
君たちはそれを望むだろうが、怒りで応えることは、君たちと同じ無知に屈することになってしまう。
君たちは、私が恐怖し、周囲の人を疑いのまなざしで見つめ、安全のために自由を犠牲にすることを望んだ。
だが、君たちの負けだ。
私はまだ、私のままだ。
今朝、(亡きがらの)妻に対面した。
幾晩も幾日も待ち続けた末に。
彼女は金曜日の夜に会った時と変わらず美しく、そして、恋に落ちた12年以上前と同様に美しかった。
もちろん、私は悲しみにうちひしがれている。
だから、君たちのわずかな勝利を認めよう。
でも、それは長くは続かない。
彼女は、いつも私たちと一緒に歩む。
そして、君たちが決して行き着くことができない天国の高みで、私たちは再び出会うだろう。
私と息子は2人になった。
でも私たちは世界のいかなる軍隊よりも強いんだ。
私が君たちに費やす時間はもうない。
昼寝から目覚めた(息子の)メルビルと会わなくてはならない。
彼は毎日、おやつを食べ、私たちはいつものように遊ぶ。
この幼い子の人生が幸せで、自由であることが君たちを辱めるだろう。
君たちは彼の憎しみを受け取ることは決してないのだから。
(東京新聞 http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2015112090135727.htmlより引用 )