母は厳しかった。
何故そんなに厳しかったのか、覚えてない。
兄弟はいない。父はたまにしか帰らない。
それが普通の我が家。
ある時、母に猛烈に叱られた。
原因は覚えてない。
母は洋装の裁断を、生業にしていた。
竹製の長い、1mほどの定規があった。
その定規(尺とか筋引きとか呼んでいた)が折れる程叩かれた。
洋服の埃を払う木製のブラシの柄も、折れる程叩かれた。
母が父の代わりを、していたんだと思う。
手足を縛られて、暗い押入にも入れられた。
悪い事は悪いと、教えていたんだと思う。
思えば、あの小さな躰で。
亡くなって10年以上が経つ。
ありがとうね、母さん。
かあちゃん!