全国でいろいろのちまき(笹巻き)が作られていますが、
だんだん家庭で作ることも少なくなってきました。
また、昔は男の子の初節句に、頂いたお祝いのお返しとして
この笹まきを贈ったものですが(注)、その風習を知らない方も多くなりました。
ユーチューブにもアップしています
https://youtu.be/DX9U9yj9mPE
今回は私の地方で6月ごろ、月遅れの端午の節句の頃作る
笹巻きの作り方をご紹介します。
かんざし巻き20個分の材料
まきの粉 500グラムと手につける粉少々
お湯 350CC
笹 軸 20本 23cm位のもの
若芽の葉 20本
開いた葉 80枚
イグサ 40本 花の下が長いもの(40~45センチ)
芳賀文子著 開文社出版「ちまき」の本の中で
『今までに見たこともない美しさと、勢いを感じさせる』と紹介されて
いる巻き方です。
(1)米を洗い乾燥させる
もち米を洗い上げ広げて、時々かき回しながら乾燥させます。
寒の時期にこの作業をしておくと虫がつかないといわれています。
天候にもよりますが、1週間くらいかかります。
黄砂があったり風が強かったりすると、窓を閉めたりして
なかなか大変な作業です。
これを製粉所に持って行って粉にしてもらいます。
最近はスーパーなどに粉にしたものを売っていますが、
それぞれがメーカーにこだわりがあるようです。
私はもち米の粉100%を使っています。
好みでうるち米(ただ米)を10%から20%まぜた粉を使います。
うるち米が混じっている方が、ゆでた後、硬くなるのが少し遅いように思います。
口あたりはもち米100%の方がいいです。
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(2)笹を取りに行く
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笹を取りに行きます。それぞれに自分がとりに行く場所があります。
私は5月末までは大山(だいせん)に、それ以降は地元の山へ行きます。
大山の方が寒いと思いますが、笹は大山の方が早く大きい葉の笹が採れます。
ちなみに、安来市、松江市は月遅れの端午の節句の6月5日前後に巻きますが、
奥の方の安来市広瀬町西比田や奥出雲町仁多では、7月2日の半夏生の頃に巻くと
聞いていました。近頃はどうなのか、また聞いてみたいです。
自分で採りに行けない場合は、お店で買うことになります。
10本で150円位で売っています。
持ち帰ったら葉のほうを水につけておき、新芽、葉、軸とに分けます。
ビニール袋に入れて冷蔵庫で保管します。1週間くらい使うことが出来ます。
軸1本、若芽の葉1枚、成長した葉4枚―これで1本分です。
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軸は節の所で手で折り、簪巻きの時は23センチ位、略式のほうかむりの時は
18センチ位にします。
いぐさは近くの休耕田から取ってきます。
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束ねて、ゆでてから使います。
その年に取ったのは切れやすいので、ゆでたのを陰干ししておいて、翌年以降使っています。
(3)団子をこねる
もち米の粉をこね鉢に入れ、粉1キロに対し熱湯700cc弱を加え、
手に粉をつけながら粘りが出るまでよくこねます。
(追加ー質問があったので私のやり方を追加します)
粉1キロに対し
①こね鉢に粉を入れます。この時、一握り分を別にしておきます。
②こね鉢の粉の真ん中をくぼませ、そこへ熱湯680ccを入れます
③箸で真ん中から周りの粉を巻き込みながら、混ぜていきます
④ある程度まとまったら手でこねていきます
⑤ねばりがでてきてこねにくくなったら、初めにとっておいた粉を鉢に
少しづつ加えながらさらにこねます。
⑥ねばりがまた出てきて、加える粉がなくなったら完了です
この方法でこねると、手がそんなに汚れることはありません
うるち米が混じっている粉は、700CC強入れていいと思いますが、
粉のメーカーや、乾燥度にもよるのでいつも「あーだ、こーだ」となります。
こね鉢がないときはボールでこねますが、やはり道具は道具。
陶器の重みでボールの場合より楽にこねることが出来ます。
熱湯でこねるのは古老に聞いたことです。
ゆでる時、短時間で済み笹の色がいいそうです。
それと、笹離れがよくなる(団子が笹の葉にくっつきにくい)そうです。
でも熱くてこねられないようなら、水でもぬるま湯でもいいので
よくこねることのほうが大切です。美味しい団子を作るコツは
よくこねることです。
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(4)団子を小分けにする
私の場合、簪巻き(かんざしまき)という本巻きを作るときは
1個40グラム、簡略したほうかむりを作る時は50グラムにします。
1個40グラムですと、1キロの粉で約40個の団子が出来ます。
簪巻きのときは写真のように細長く、上を太く下になるに従って細く、
逆三角形の形にします。
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(5)団子に笹の軸をさす
団子の中で上1センチぐらい残したところまで
しっかりさしたら、団子と軸が離れないよう
軽くにぎっておさえます。
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(6)新芽で包む
新芽を広げて、団子を包みます。
包み終えたら、上から洗濯ばさみで留めて置くと
便利です。
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(7)団子を笹で包む
簪まき(かんざしまき)という巻き方です
笹の葉3枚を表を手前にして並べる。
葉の先端の高さをそろえる。
1枚は葉の裏を手前にして右の葉1枚目の下へ
少しだけ斜めに入れる。(斜めに入れる位置に注意。かなり下から、縦にちかい斜めに入れる。)
(6)で作った団子を上から3~5センチ位降りた
所にのせ、まわしながら笹の葉で巻いていく。
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(8)笹で巻いていく
左手は上のほうを持って右上方向へまわし、右手は斜めに入れた葉を巻きながら
左下へ巻いていく。
この作業が一番難しいところです。
斜めに巻く笹の葉を、縦に近い斜めにいれること、
上下に伸ばすように巻いていくのがコツです。
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巻き終わりを竹はさみではさんでおきます
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(9)上部を包む
笹巻きの上部を平になるようにおさえてから、
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右側から三角に折る
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(10)いぐさで巻く
左側に、いぐさ2本を持って斜め上に向って置き
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その上から三角に折る(この写真はよく分かるように、少し斜めから写しています)
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上部にある笹を角をつけるように三角に下へ折り込みます
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上部の出来上がりの形です
ここがきちんと出来ていないとゆでた時、
ほどけて団子が飛び出してしまいます
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(11)いぐさで元を結わえます
竹はさみの上をとおって
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根元で1回廻して、反対側までもってきます。
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竹はさみの上をとおってはじめはたてのいぐさの上をとおって
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その後、たてのいぐさの下をくぐって結びます
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(12)できあがり
いぐさが切れないように注意して締めていきます
竹ばさみをはずし、いぐさの先端を5センチ位で切り、根元も結えた所から5センチ位で切ります。
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慣れてくると竹はさみを使わなくても巻くことが出来ます
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(13)束ねて茹でる
10本位づつ束ねてひもでゆわえます。
深めのなべにお湯を沸騰させます。色よく仕上げたい時は炭酸をほんの少し加えておきます。塩を入れる方もあります。
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(鍋が浅かったので、この写真ではひもを解いて茹でています)
お団子の方を下にして入れると、笹まきが沈みます。
7~8分で笹まきが浮き上がってきます。さらに1分ゆでたらざるに取り、ひもを解いて並べてさまします。
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(14)飾りつけ
5本、7本を単位に束にし、
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小さい笹を3枚三角に折って
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その上から笹の半分に折ったものを2枚乗せ、
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いぐさで結わえます。これで一応は完成です。
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私は、進物用に菖蒲、よもぎを添え、葵の花を飾っています。
いぐさも2箇所で、結わえています。
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おわりに
私は簪巻き(かんざしまき)という、いぐさの花をかんざしに見立てた
おしゃれな呼び名が好きでこう呼んでいます。
ほかに、上部を三角に折る形がききょうの花のつぼみに似ていることから
「ききょう巻き」(注) 、またいぐさの縦に伸びているところから「三味線巻き」、
いぐさの芯を灯芯に使うところから「とうしんまき」、また単に「本巻き」ともいいます。
このほかにも、この狭い地域にいろいろの巻き方がありますので、順次紹介したいと思います。
この巻き方は、なかなか難しいようで巻くことの出来る方がだんだん減っています。
古里の食文化を守っていくためにも、参考にしていただけたら喜びます。
「ちまき(絲原家のちまき)」のタイトル欄もあわせてご覧いただくと、
この内容と少し違ったことも載せています。
(注)の部分について、違った解釈があります。2009年7月にアップしています。
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だんだん家庭で作ることも少なくなってきました。
また、昔は男の子の初節句に、頂いたお祝いのお返しとして
この笹まきを贈ったものですが(注)、その風習を知らない方も多くなりました。
ユーチューブにもアップしています
https://youtu.be/DX9U9yj9mPE
今回は私の地方で6月ごろ、月遅れの端午の節句の頃作る
笹巻きの作り方をご紹介します。
かんざし巻き20個分の材料
まきの粉 500グラムと手につける粉少々
お湯 350CC
笹 軸 20本 23cm位のもの
若芽の葉 20本
開いた葉 80枚
イグサ 40本 花の下が長いもの(40~45センチ)
芳賀文子著 開文社出版「ちまき」の本の中で
『今までに見たこともない美しさと、勢いを感じさせる』と紹介されて
いる巻き方です。
(1)米を洗い乾燥させる
もち米を洗い上げ広げて、時々かき回しながら乾燥させます。
寒の時期にこの作業をしておくと虫がつかないといわれています。
天候にもよりますが、1週間くらいかかります。
黄砂があったり風が強かったりすると、窓を閉めたりして
なかなか大変な作業です。
これを製粉所に持って行って粉にしてもらいます。
最近はスーパーなどに粉にしたものを売っていますが、
それぞれがメーカーにこだわりがあるようです。
私はもち米の粉100%を使っています。
好みでうるち米(ただ米)を10%から20%まぜた粉を使います。
うるち米が混じっている方が、ゆでた後、硬くなるのが少し遅いように思います。
口あたりはもち米100%の方がいいです。
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(2)笹を取りに行く
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笹を取りに行きます。それぞれに自分がとりに行く場所があります。
私は5月末までは大山(だいせん)に、それ以降は地元の山へ行きます。
大山の方が寒いと思いますが、笹は大山の方が早く大きい葉の笹が採れます。
ちなみに、安来市、松江市は月遅れの端午の節句の6月5日前後に巻きますが、
奥の方の安来市広瀬町西比田や奥出雲町仁多では、7月2日の半夏生の頃に巻くと
聞いていました。近頃はどうなのか、また聞いてみたいです。
自分で採りに行けない場合は、お店で買うことになります。
10本で150円位で売っています。
持ち帰ったら葉のほうを水につけておき、新芽、葉、軸とに分けます。
ビニール袋に入れて冷蔵庫で保管します。1週間くらい使うことが出来ます。
軸1本、若芽の葉1枚、成長した葉4枚―これで1本分です。
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軸は節の所で手で折り、簪巻きの時は23センチ位、略式のほうかむりの時は
18センチ位にします。
いぐさは近くの休耕田から取ってきます。
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束ねて、ゆでてから使います。
その年に取ったのは切れやすいので、ゆでたのを陰干ししておいて、翌年以降使っています。
(3)団子をこねる
もち米の粉をこね鉢に入れ、粉1キロに対し熱湯700cc弱を加え、
手に粉をつけながら粘りが出るまでよくこねます。
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(追加ー質問があったので私のやり方を追加します)
粉1キロに対し
①こね鉢に粉を入れます。この時、一握り分を別にしておきます。
②こね鉢の粉の真ん中をくぼませ、そこへ熱湯680ccを入れます
③箸で真ん中から周りの粉を巻き込みながら、混ぜていきます
④ある程度まとまったら手でこねていきます
⑤ねばりがでてきてこねにくくなったら、初めにとっておいた粉を鉢に
少しづつ加えながらさらにこねます。
⑥ねばりがまた出てきて、加える粉がなくなったら完了です
この方法でこねると、手がそんなに汚れることはありません
うるち米が混じっている粉は、700CC強入れていいと思いますが、
粉のメーカーや、乾燥度にもよるのでいつも「あーだ、こーだ」となります。
こね鉢がないときはボールでこねますが、やはり道具は道具。
陶器の重みでボールの場合より楽にこねることが出来ます。
熱湯でこねるのは古老に聞いたことです。
ゆでる時、短時間で済み笹の色がいいそうです。
それと、笹離れがよくなる(団子が笹の葉にくっつきにくい)そうです。
でも熱くてこねられないようなら、水でもぬるま湯でもいいので
よくこねることのほうが大切です。美味しい団子を作るコツは
よくこねることです。
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(4)団子を小分けにする
私の場合、簪巻き(かんざしまき)という本巻きを作るときは
1個40グラム、簡略したほうかむりを作る時は50グラムにします。
1個40グラムですと、1キロの粉で約40個の団子が出来ます。
簪巻きのときは写真のように細長く、上を太く下になるに従って細く、
逆三角形の形にします。
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(5)団子に笹の軸をさす
団子の中で上1センチぐらい残したところまで
しっかりさしたら、団子と軸が離れないよう
軽くにぎっておさえます。
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(6)新芽で包む
新芽を広げて、団子を包みます。
包み終えたら、上から洗濯ばさみで留めて置くと
便利です。
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(7)団子を笹で包む
簪まき(かんざしまき)という巻き方です
笹の葉3枚を表を手前にして並べる。
葉の先端の高さをそろえる。
1枚は葉の裏を手前にして右の葉1枚目の下へ
少しだけ斜めに入れる。(斜めに入れる位置に注意。かなり下から、縦にちかい斜めに入れる。)
(6)で作った団子を上から3~5センチ位降りた
所にのせ、まわしながら笹の葉で巻いていく。
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(8)笹で巻いていく
左手は上のほうを持って右上方向へまわし、右手は斜めに入れた葉を巻きながら
左下へ巻いていく。
この作業が一番難しいところです。
斜めに巻く笹の葉を、縦に近い斜めにいれること、
上下に伸ばすように巻いていくのがコツです。
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巻き終わりを竹はさみではさんでおきます
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(9)上部を包む
笹巻きの上部を平になるようにおさえてから、
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右側から三角に折る
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(10)いぐさで巻く
左側に、いぐさ2本を持って斜め上に向って置き
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その上から三角に折る(この写真はよく分かるように、少し斜めから写しています)
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上部にある笹を角をつけるように三角に下へ折り込みます
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上部の出来上がりの形です
ここがきちんと出来ていないとゆでた時、
ほどけて団子が飛び出してしまいます
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(11)いぐさで元を結わえます
竹はさみの上をとおって
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根元で1回廻して、反対側までもってきます。
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竹はさみの上をとおってはじめはたてのいぐさの上をとおって
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その後、たてのいぐさの下をくぐって結びます
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(12)できあがり
いぐさが切れないように注意して締めていきます
竹ばさみをはずし、いぐさの先端を5センチ位で切り、根元も結えた所から5センチ位で切ります。
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慣れてくると竹はさみを使わなくても巻くことが出来ます
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(13)束ねて茹でる
10本位づつ束ねてひもでゆわえます。
深めのなべにお湯を沸騰させます。色よく仕上げたい時は炭酸をほんの少し加えておきます。塩を入れる方もあります。
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(鍋が浅かったので、この写真ではひもを解いて茹でています)
お団子の方を下にして入れると、笹まきが沈みます。
7~8分で笹まきが浮き上がってきます。さらに1分ゆでたらざるに取り、ひもを解いて並べてさまします。
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(14)飾りつけ
5本、7本を単位に束にし、
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小さい笹を3枚三角に折って
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その上から笹の半分に折ったものを2枚乗せ、
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いぐさで結わえます。これで一応は完成です。
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私は、進物用に菖蒲、よもぎを添え、葵の花を飾っています。
いぐさも2箇所で、結わえています。
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おわりに
私は簪巻き(かんざしまき)という、いぐさの花をかんざしに見立てた
おしゃれな呼び名が好きでこう呼んでいます。
ほかに、上部を三角に折る形がききょうの花のつぼみに似ていることから
「ききょう巻き」(注) 、またいぐさの縦に伸びているところから「三味線巻き」、
いぐさの芯を灯芯に使うところから「とうしんまき」、また単に「本巻き」ともいいます。
このほかにも、この狭い地域にいろいろの巻き方がありますので、順次紹介したいと思います。
この巻き方は、なかなか難しいようで巻くことの出来る方がだんだん減っています。
古里の食文化を守っていくためにも、参考にしていただけたら喜びます。
「ちまき(絲原家のちまき)」のタイトル欄もあわせてご覧いただくと、
この内容と少し違ったことも載せています。
(注)の部分について、違った解釈があります。2009年7月にアップしています。
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