楽園の喪失
ジョン・ミルトン
125 導きの天使はそのように語った 痛みのうちにあろうとも
126 声高に自賛して だが深い絶望に苦しみながら
127 すぐさま応えを返したのは大胆なる同輩だった
128 おお公〔キミ〕よ 座につく多くの能天使の首長〔オビト〕よ
129 戦仕度を調えたセラフの群れを闘いへと導き
130 汝の指揮のもとで 怖れを知らぬ凄まじい行い
131 によって天の恒なる王を脅かして
132かの者の至高の優越を 強さや
133 機会や定めによって覆せるかを試みた方よ
134 余りにも私は眺めて悔やみすぎた この悍ましい出来事が
135 嘆くべき転覆と穢れた挫折とともに
136 我らをして天を失わせしめた様を かの遍く力ある敵が
137 恐るべき破壊によって 神々と天なる精粋を
138 消し得るかぎりの低みに我らを
139 横たえたことを 精神〔ココロ〕と気概は
140 不屈のまま留まり 活力はすぐさま戻るのだから
141 たとえ我らのすべての誉れが滅して 幸ある様が
142 此処にて果てない惨めさに呑まれようとも
125 So spake th’ apostle angel, though in pain,
126 Vaunding aloud, but racked with deep despair,
127 And him thus answered soon his bold compeer.
128 O prince, O chief of many throned Powers
129 That les th’ embattled Seraphim to war
130 Under thy conduct, and it dreadful deeds
131 Fearless, endangered Heav’n’s perpetual King;
132 And put to proof his high supremacy,
133 Whether upheld by strength, or Chance, or Fate;
134 Too well I see and rue the dire event,
135 That with sad overthrow and foul defeat
136 Hath lost us Heav’n, and all thi mighty host
137 In horrible destruction haid thus low,
138 As far as gods and Heav’nly essences
139 Can perish: for the mind and spirit remains
140 Invincible, and vigour soon returns,
141 Though all our glory extinct, and happy state
142 here swallowed up in endless misery.
*125行目「導きの天使」はサタン、127行目「大胆な同輩」はサタンに呼びかけられたペルゼブブで、128行目以降が返答の内容になります。129行目「Seraphim」は「Seraph/シ天使:天使の階級名」の複数形です。「シ」は「火+織」ですが、上手く変換できなかったため言語のまま表記しました。ポーの「アナベル・リー」で海辺の王国の幸福な恋人同士を嫉んだ「天使」もセラフだった気がします。
ジョン・ミルトン
125 導きの天使はそのように語った 痛みのうちにあろうとも
126 声高に自賛して だが深い絶望に苦しみながら
127 すぐさま応えを返したのは大胆なる同輩だった
128 おお公〔キミ〕よ 座につく多くの能天使の首長〔オビト〕よ
129 戦仕度を調えたセラフの群れを闘いへと導き
130 汝の指揮のもとで 怖れを知らぬ凄まじい行い
131 によって天の恒なる王を脅かして
132かの者の至高の優越を 強さや
133 機会や定めによって覆せるかを試みた方よ
134 余りにも私は眺めて悔やみすぎた この悍ましい出来事が
135 嘆くべき転覆と穢れた挫折とともに
136 我らをして天を失わせしめた様を かの遍く力ある敵が
137 恐るべき破壊によって 神々と天なる精粋を
138 消し得るかぎりの低みに我らを
139 横たえたことを 精神〔ココロ〕と気概は
140 不屈のまま留まり 活力はすぐさま戻るのだから
141 たとえ我らのすべての誉れが滅して 幸ある様が
142 此処にて果てない惨めさに呑まれようとも
125 So spake th’ apostle angel, though in pain,
126 Vaunding aloud, but racked with deep despair,
127 And him thus answered soon his bold compeer.
128 O prince, O chief of many throned Powers
129 That les th’ embattled Seraphim to war
130 Under thy conduct, and it dreadful deeds
131 Fearless, endangered Heav’n’s perpetual King;
132 And put to proof his high supremacy,
133 Whether upheld by strength, or Chance, or Fate;
134 Too well I see and rue the dire event,
135 That with sad overthrow and foul defeat
136 Hath lost us Heav’n, and all thi mighty host
137 In horrible destruction haid thus low,
138 As far as gods and Heav’nly essences
139 Can perish: for the mind and spirit remains
140 Invincible, and vigour soon returns,
141 Though all our glory extinct, and happy state
142 here swallowed up in endless misery.
*125行目「導きの天使」はサタン、127行目「大胆な同輩」はサタンに呼びかけられたペルゼブブで、128行目以降が返答の内容になります。129行目「Seraphim」は「Seraph/シ天使:天使の階級名」の複数形です。「シ」は「火+織」ですが、上手く変換できなかったため言語のまま表記しました。ポーの「アナベル・リー」で海辺の王国の幸福な恋人同士を嫉んだ「天使」もセラフだった気がします。
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