菊芋を収穫する竹田正さん
印南町真妻地区の有志が今年度から栽培に取り組んでいる菊芋の収穫がこのほど始まった。遊休農地の活用とあわせて地場産業を育成し収入源にしようと有志10人が約20アールの畑に7月に種芋を定植。収穫は2月から始まり、生芋のほか乾燥チップに加工し業者に出荷しているほか、地元の有志らでつくる団体が運営する「奥真妻活々倶楽部」でも販売。有志代表で町議の前田憲男さんは「来年度は組織化を図り、加工を中心に取り組み、将来的には真妻地域の新たな産業に育てたい」と地域活性化の起爆剤になればと願いを込める。
真妻地区は人口が減少、高齢化が進んでいる。小中学校も閉校となり、何とか地域を活気づけようと、課題となっている遊休農地の活用とともに地場産業を育成し、地域おこしにつながればと前田さんら有志10人が菊芋栽培の取り組みを開始。昨年4月に地区内の畑20アールに種芋を定植。生育は順調で今月から収穫が始まっている。
菊芋は繁殖力が高く、収穫以外はほとんど手間がいらない。20年近く放置していた農地にも定植したが順調に生育、十分な収穫量が見込まれるなど、やせた土地でも栽培でき遊休農地対策としても魅力の作物。有志の一人で自宅近くにある2アールの畑で栽培、収穫を始めた竹田正さん(80)も「手間がいらず高齢者でも栽培しやすい。継続して栽培していきたい」と話す。
菊芋は土中の根にできるショウガに似たような塊で収穫。消化吸収されにくい多糖類のイヌリンを多く含み、血糖値の上昇を抑える効果があるとされ「天然のインシュリン」と言われ、健康や美容面から注目を集める食品で、最近は遊休農地対策とあわせて栽培に取り組む地域も多く、前田さんらが行う菊芋チップのほか、焼酎や粉を練り込んだ麺など加工商品も多い。
前田さんらが取り組む菊芋チップは、収穫した菊芋を機械で2ミリ程度の厚さにスライスし、数日間、天日干ししたあと、70~80度の温度に設定した乾燥機で完全乾燥させ、50グラムごとに袋詰めし、奥真妻活々倶楽部で1袋300円で販売している。生芋も1キロ150円で販売中。
前田さんらは、今年度の反省点などを踏まえ、来年度から本格的に取り組むことにしており「チップ以外の加工品作りや収穫体験といったイベントなども検討し、地域おこしにつなげたい」と話し、町も栽培方法の情報を提供するなど支援しており「真妻地域の活性化なくして町の活性化はない。継続して取り組み、地域の産業として成り立ってほしい」と期待を寄せている。
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