町職員から昨年度の結果報告を受ける組合員
日高町は、町内の上志賀獣害防止組合(阪口孝組合長)とともに、地域住民と連携した鳥獣害対策として、サルの個体確認の遠隔情報収集となるテレメトリー調査を進めている。今年度新規施策として、移動式の中型ワナを製作中で出来上がれば、貸し出す予定。14日には昨年度末までの調査結果を報告し、住民同士の連携での追い払いや、このワナの導入などを検討して今後の対策につなげるとした。
上志賀区では、稲作時期を中心に冬場も大根やサツマイモなどサルの農作物被害は絶えず、柿やミカンの果樹は植えないようになったほど。同組合としてもスマートフォンを活用したICTおりを導入して8年目を迎え、当初は捕獲率が良かったが、近年は低迷気味という。
そんな中、平成31年4月の県のニホンザル行動域調査結果報告でGPS首輪をつけた発信記録データ収集で261頭もの最大クラスの群れを確認。これは5~8月の4カ月間だけの調査結果で、餌場を求めた出現箇所が季節に応じて違う場合もあるのではないかなど具体性を持った情報の必要性もあった。
そこで町と同組合は、GPSを使わない方法で2年半から3年と比較的期間が長く持つ、レシーバーやアンテナを使ったテレメトリー調査を昨年10月から開始。地域住民に目撃者や被害農家からの情報収集役と、レシーバーとアンテナを持って車などで巡るテレメトリー調査役を決め、町へ報告。町担当者が目撃情報やテレメトリー情報を地図にまとめた。
地域住民に導入する前の7月から町職員が対応して調査しており、稲刈り時期の9月に山間の田んぼで多く出現している結果に。10月から地域住民も入って調べているが、昨年7、8月に大型ワナなどによる捕獲数が多かったことや、テレメトリーで反応があれば住民が連携して追い払っており、その効果のためか、姿を現したものの例年よりは少なめだった。
ただ、上志賀に近い久志で、ほ場整備が進められていることから、他の群れが上志賀に入ってきたことで捕獲数が上がったとも考えられる。周辺地域を含めて個体数は依然多いと見られ、町は、これらに応じた新施策として今年度から、高さ1・5メートル、横2メートルで、奥行きを3メートルから9メートルに変えられる移動式の中型ワナの作製に入り、5月中にも完成の見通し。従来の大型だと7人がかりで設置していたのが、軽トラックに載せられて2、3人で運べる比較的に手軽な規格という。
同組合でも、どの場所に重点を置くかなども考えていき、この中型ワナを設置したい意向。この日の報告会では、現在はメスの成獣1頭に発信機をつけて反応を見ているが、成獣が来る前に多くのサルが近寄っているケースなどもあり「発信機を2、3個増やすことを考えてもらいたい。そうすれば、早期に対応できる」「横の連携を密にして追い払いしなければ」との意見があり、町も「地域住民が主体となって取り組んでいることからも、発信機を増やしたい」としている。
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