今から6年ほど前、毎月20日頃になると、私は営業から送られてくる販売予定を元に、次月の生産量と製造負荷を計算した資料を作成し、それを工場長に渡していました。
工場長はこの資料を持って、労働組合の役員に、次月の忙しさと残業時間などの予定を報告するのです。
ある時、資料作成納期の前夜になっても、営業から販売予定が送られて来ないので、営業課長に電話を掛けて催促すると、「忙しいからできん」と断られてしまいました。
結局深夜まで待てど暮らせど販売予定は届かず、翌朝工場長に資料を渡す事ができなかったのです。工場長は、労働組合との打ち合わせに手ぶらで行く事になってしまったのです。
会議開催時刻から30分を経過して、やっと販売予定のFAXが私の元に届きました。
丁度その時、私は上司から叱責されました。
上司「どうして生産予定を作らなかったんだ。工場長が大恥をかいてるぞ。」
私「販売予定が今頃届いたんじゃ、生産予定なんか作り様がない。」
上司「ばかもの。販売予定が無いなら無い成りに生産予定を作れ。」
私は、販売予定を納期までに提出しなかった営業がお咎めなしで、なぜ私が怒鳴りつけられるのかよく分かりませんでしたが、それ以上に、工場長が労組の役員に報告する労務の予定をそんなにいい加減に作っていい物だとは思っていませんでした。
この時私は仕事には、まじめにやるべき物と、いい加減に済ませておくべき物がある事を知りました。
これ以降生産予定は...もちろんいい加減に済ませる事にしましたよ。販売予定なんか見ないで、生産品種別に適当に10%増にしたり5%減にしたり...
仕事がかなり楽になりました。私が超適当に作った生産予定を見て、来月は忙しそうだとか、残業時間の超過申請が必要かもとか、まじめに議論してる工場長や労組役員のおめでたい姿を想像するだけで、かなりストレスが解消できました。もちろん、上司に怒られる事も無くなりました。
まじめに仕事する人間はエライのかバカなのか、私は今でもよく分かりません。