‘怪物ヴォーカル’から‘吟遊詩人’に・・・パク・ヒョシンの20年
戦争、テロ、怒り、和解、誕生、キス・・・歌手パク・ヒョシンが自身のデビュー20周年記念単独コンサートを開く映像に収められた風景だ。
愛が消滅したような絶望の瞬間が過ぎて、それにもかかわらず粘り強く芽ばえる愛の姿が表れている。
パク・ヒョシンはこの公演に‘where is your love?’というサブタイトルを付けた。息づく愛を探そうという意味からだ。
約4時間の公演が終わると観客たちは変わった公演テーマと向き合うことになる。‘Here is your love’。
アルファベット一文字が消えただけなのに、孤独だった心があたたかくなる魔法が広がる。
‘あなたの愛はどこにあるの?’
パク・ヒョシンは今年デビュー20周年を迎えて‘LOVERS’という名前のキャンペーンを進行中だ。3月に出した“風が吹くね”と5月に発表した“Goodbye”、
公演直前に公開した“戀人”すべてが‘LOVERS’キャンペーンの一環だ。パク・ヒョシンはこのキャンペーンのためにアプリも作った。
このアプリには‘LOVERS’に関連した各種のコンテンツはもちろん ファンと絵文字で疎通できるチャットルームもある。
パク・ヒョシンがチャットルームに足跡を残すたびに数多くのファンが集まり、サーバー維持費用だけで月に数千万ウォンかかったという。
‘LOVERS’を貫くキーワードは‘愛’だ。彼はこの公演を通じて他人の手を握ってあげたいと語った。
「僕らみんなが夢見る明日というのは、もしかしたら互いに別の両手を取り合って咲いたぬくもりの小さな調和から始まること」(“LOVERS”紹介文)だと信じるからだ。
こうした気持ちは歌詞にもにじみ出る。パク・ヒョシンと共に“別 時”、“Goodbye”、“戀人”などの歌詞を書いた作詞家キム・イナによると
パク・ヒョシンはファンあるいは自分の音楽を聴く人を想像して歌詞を書く場合が多い。彼の歌が人生の話として読まれるのもこうした理由からだ。
キム・イナは「多数にする話(歌詞)はパッと浮かぶ感じを与えることもできると考えた。
だがパク・ヒョシンと作業して、書く人の気持ちがはっきりしていれば多数にする話もディテールを整えられることを知った」と言った。
‘パク・ヒョシンが すなわちジャンル’
デビュー初め パク・ヒョシンは‘完成形ヴォーカル’と呼ばれた。完璧に近い実力を備えたという称賛だったが、一方ではもっと発展する余地がないという意味で受け入れられたりもした。
しかしパク・ヒョシンはこの20年間 変化を重ねて進化した。嗚咽するようにもの悲しく心を響かせた彼の声は“雪の華”(2004)を基点として長い余韻にピリオドを打ち始めた。
業界ではCDごとに発展する発声と呼吸が不思議だという反応も出てくる。「知人の結婚式で祝歌を歌うのさえ練習して録音してモニター」(作詞家キム・イナ)するほどの練習の虫なのに加え、
毎回「今回が最後になるかもしれない」という気持ちで音楽に臨むおかげだ。ジャンル的にも外縁を広げ、バラードはもちろんロック、アシッドジャズなど膨大なスペクトラムを誇る。
‘パク・ヒョシンの声がすなわちジャンル’という賛辞が出てくる理由だ。
パク・ヒョシンは13日まで続く‘LOVERS’公演を終えた後、後半の作業が仕上がったらすぐに正規8集を発表する計画だ。
彼は音楽的パートナーである作曲家チョン・ジェイルと昨年フランスの田舎の村ラ・パコディエフに約40日間滞在して このCDに入れる約10曲を作った。
飛んでいく鳥の群れからインスピレーションを得て書いた“V”と チョン・ジェイルのギター演奏と作詞家キム・イナの歌詞が自身の精神世界をえぐり出したという“ALICE”は公演で先に公開された。
キム・チャッカ大衆音楽評論家は「パク・ヒョシンは自分の紆余曲折をむしろ歌で吸収して自分を好まなかった人まで抱き込んだ まれに見る例」と分析した。
「いわゆる‘ハイ-テクニック’ヴォーカリストの時代でも独歩的な位置」にいたパク・ヒョシンが「テクニックを越えて歌そのもので」大衆に訴えることになったということだ。
キム評論家はまた「パク・ヒョシンにとってジャンルは無意味だ」とし「簡単に言えばジャンルとは大衆の好みによって検証される柱と同じだが、
パク・ヒョシンは自分の声自体が柱になり どんなジャンルの音楽でも自分の歌になる境地にいる」と評価した。
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