写真は息子その1が砂岩状の母岩から化石を取り出そうとしているところです。以前別産地のコノドント※1(と息子が信じていた)化石をリューター※2で粉々にしてからというもの、息子の手法は一貫して「石を割る」→「カッターで削り出す」→「ピックや爪楊枝で細かいところをきれいにする」→「2倍に薄めた木工用ボンドで表面を保護する※3」です。瑞浪層群戸狩層が砂岩だからこそできる方法です。カッター削り出し以降はくらげびとより上手なので安心してみていられるものの、、、石を割るところだけは何回見ても心臓に悪いです。いきなりハンマーで母岩をたたき割ろうとする、タガネの位置が目当ての化石に近すぎる、と、とにかく荒い!目当ての化石はなんとか無事なものの、ひどい時には他の化石はほぼ全滅です。
「目当ての化石は大丈夫なんだから、いいじゃん。」
「ダメ!死骸すべてが化石になるわけじゃないのは知ってるよね?一説によると動物の骨で確率10億分の1。今日本に生きてる人間全員の骨のうち、化石になれるのはたった0.1人分の骨しかないんだよ←(本の受け売り※4)!もっと化石を大事にしなさい。」
「ふーん。。。」
あ、ダメだ、伝わってない。「壊した中にもっといい化石が入っていたかもしれないよ」とか、即物的な言い方じゃないとダメ?技術や知識だけでなく、倫理観というか、心構えというか、そっちも育って欲しいんだけどな。。。
※1 カンブリア〜三畳紀の海で生きていた生物。conodontはラテン語で「円錐状の歯」という意味で、1㎜ほどの「歯」の部分のみ見つかることがほとんどのため微化石として扱われる。
※2 削り出し用や磨き用など先端パーツを取り替えられる電動工具の一種。
※3 「塗布物の変色や変性でかえって化石が傷むこともありますし、(瑞浪産の)化石自体そう脆いものでもないので、ボンドなどでの補強は通常いりません。」とご指導いただいているが、学校へ課題として提出展示することもあり、保護しておかないとかなりの割合で破損するため、息子にとっては気に入った標本には必須の措置。
※4 左巻健男編著「面白くて眠れなくなる地学」27. December 2012 (株)PHPエディターズ・グループ発行