白笹山(1719m)から南月山(1775.8m)への道は、深い笹原の中を一旦鞍部まで下り、再び
南月山へ登り返す。
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那須の山の針葉樹は、厳しい環境を現すかのような樹形が多い。
那須の山で最も有名な気象は、身体を吹き飛ばす様な強風である。
私の見るところ、流石山から大倉山に続く稜線と、日の出平の長い尾根に挟まれた谷筋に
北西方向から吹き付けた風がよせ集まって風力を増し、姥ヶ平で茶臼岳に阻まれて、茶臼岳
の北と南に別れ、北は峰の茶屋と朝日の肩に吹き上げ、南は牛ヶ首に吹き上げているように
見える。
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白笹山から笹原の道を下っていくと、左前方に日の出平と南月山を結ぶ稜線の上に、霧に
隠れるように茶臼岳の頭が見えた。
午前中はうるさく鳴いていたセミも、不思議な程しずかになった。
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白笹山と南月山の間で、ツルリンドウの白い花を見つけた。
アルビノと呼ばれる色素の抜けたものかどうかは判らない。
付近に色の薄いツルリンドウが沢山有ったからである。
それはともかく、ツルリンドウの白花を見たのは初めてであった。
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近くには、赤い実をつけたツルリンドウも有った。
南月山は、昔から花の山として有名だったらしいが、私の見るところ、日の出平、南月山
白笹山などの、那須連山の西の地域は、ツルリンドウの宝庫と言っても良い。
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雷雨が来る前に、早く下山しなければと思いながらも、ゴゼンタチバナの真っ赤な実が
目につくと、思わず撮影してしまうのは、花好きのサガである。
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丁度目の高さの土手の上に、タケシマランの赤い実も見えた。
もうピークを過ぎたと見えて、いくつかの実は落ちて花柄だけが下がっている。
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たぶんウラジロモミだとおもうが、登山道を塞ぐ形で横たわっている。
まるで生きたベンチの様で、腰掛けるのには丁度良い高さであった。
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ムシカリの実も赤く色づいている。
同じガマズミ属なので、ガマズミとの見分け方が判らなかったが、最近、実が赤くなる頃
花序の柄の部分が、実と同じように赤く色づく事が判った。
もっとも、そんな事はすぐ忘れてしまい、毎年花友に聞いて呆れられているのだ。
人間の頭も、コンピュータのように、メモリが増設出来れば良いのだが。
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午後1時過ぎ、南月山の頂きについた。
本来は薄いブルーなのに、汗で濡れて濃いブルーに変わったシャツが、気温の高さを証明
している。
南月山の名称は、那須岳は古い信仰の山で、出羽三山との関連も有るのか、茶臼岳は
別名「月山」と呼ばれ、それより南に有るので「南月山」と呼ばれるようになったという。
南月山の頂きには、南月山神社の古い石祠と神社名を刻んだ石碑が建っている。
少し南東側に二等三角点がある。
面白いのは、南月山から日の出平にかけて、本来は高山帯に生育するハイマツが有ることで
高山に属する日光白根山にはハイマツが無い。
1700m級の亜高山に何故ハイマツがあるのか、考えると面白い。
那須でも特に有名なのは、三本槍岳のハイマツ帯であろう。
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記念撮影していたら、蝶が飛んできて地面にとまった。
どうも「キベリタテハ」とか言うタテハ蝶の仲間らしい。
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山頂には、アズマシャクナゲの解説盤が立っていて、南月山から黒尾谷岳にかけて
アズマシャクナゲの群生地があると書かれている。
それにしても、登山者を一人も見ていないし、誰も上がってこない。
これほど静かな南月山も初めてであった。
妙に生暖かい風が吹き、霧が廻りの山を覆い始めていた。
つづく。
南月山へ登り返す。
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那須の山の針葉樹は、厳しい環境を現すかのような樹形が多い。
那須の山で最も有名な気象は、身体を吹き飛ばす様な強風である。
私の見るところ、流石山から大倉山に続く稜線と、日の出平の長い尾根に挟まれた谷筋に
北西方向から吹き付けた風がよせ集まって風力を増し、姥ヶ平で茶臼岳に阻まれて、茶臼岳
の北と南に別れ、北は峰の茶屋と朝日の肩に吹き上げ、南は牛ヶ首に吹き上げているように
見える。
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白笹山から笹原の道を下っていくと、左前方に日の出平と南月山を結ぶ稜線の上に、霧に
隠れるように茶臼岳の頭が見えた。
午前中はうるさく鳴いていたセミも、不思議な程しずかになった。
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白笹山と南月山の間で、ツルリンドウの白い花を見つけた。
アルビノと呼ばれる色素の抜けたものかどうかは判らない。
付近に色の薄いツルリンドウが沢山有ったからである。
それはともかく、ツルリンドウの白花を見たのは初めてであった。
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近くには、赤い実をつけたツルリンドウも有った。
南月山は、昔から花の山として有名だったらしいが、私の見るところ、日の出平、南月山
白笹山などの、那須連山の西の地域は、ツルリンドウの宝庫と言っても良い。
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雷雨が来る前に、早く下山しなければと思いながらも、ゴゼンタチバナの真っ赤な実が
目につくと、思わず撮影してしまうのは、花好きのサガである。
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丁度目の高さの土手の上に、タケシマランの赤い実も見えた。
もうピークを過ぎたと見えて、いくつかの実は落ちて花柄だけが下がっている。
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たぶんウラジロモミだとおもうが、登山道を塞ぐ形で横たわっている。
まるで生きたベンチの様で、腰掛けるのには丁度良い高さであった。
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ムシカリの実も赤く色づいている。
同じガマズミ属なので、ガマズミとの見分け方が判らなかったが、最近、実が赤くなる頃
花序の柄の部分が、実と同じように赤く色づく事が判った。
もっとも、そんな事はすぐ忘れてしまい、毎年花友に聞いて呆れられているのだ。
人間の頭も、コンピュータのように、メモリが増設出来れば良いのだが。
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午後1時過ぎ、南月山の頂きについた。
本来は薄いブルーなのに、汗で濡れて濃いブルーに変わったシャツが、気温の高さを証明
している。
南月山の名称は、那須岳は古い信仰の山で、出羽三山との関連も有るのか、茶臼岳は
別名「月山」と呼ばれ、それより南に有るので「南月山」と呼ばれるようになったという。
南月山の頂きには、南月山神社の古い石祠と神社名を刻んだ石碑が建っている。
少し南東側に二等三角点がある。
面白いのは、南月山から日の出平にかけて、本来は高山帯に生育するハイマツが有ることで
高山に属する日光白根山にはハイマツが無い。
1700m級の亜高山に何故ハイマツがあるのか、考えると面白い。
那須でも特に有名なのは、三本槍岳のハイマツ帯であろう。
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記念撮影していたら、蝶が飛んできて地面にとまった。
どうも「キベリタテハ」とか言うタテハ蝶の仲間らしい。
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山頂には、アズマシャクナゲの解説盤が立っていて、南月山から黒尾谷岳にかけて
アズマシャクナゲの群生地があると書かれている。
それにしても、登山者を一人も見ていないし、誰も上がってこない。
これほど静かな南月山も初めてであった。
妙に生暖かい風が吹き、霧が廻りの山を覆い始めていた。
つづく。