『そして、結果に身をまかせる』
「必ず、うまくいかせる」と思った
とたん、心がズシンと重くなる。
「何も、うまくいかなくても、いい
じゃないか」と思ったとたん、ほっ
とする。
まじめに、汗をかいて、計画通り
一所懸命やったところで、世の中、
なかなかうまくはいかない。
だれが、どうもがいても、大抵は
うまくはいかないものが世間なの
だと、覚悟した方がいい。
もし、うまくいったら、失望どころ
か、大歓喜だ。
いずれにしも、うまくいくかどうか
は、小川の水のようなもので、どこ
で、どう曲がっていくかは、わから
ない。
『結果自然に成る』。この言葉は
禅語である。すべての結果は、自然
になるものであって、人為によら
ない・・・・という意味である。
いくら努力したって、明日の自分
の人生が、どのように転んでいく
のか、まったくわからない。
いい結果を夢見る前に、いま、出
来ることをやる。いまだ。いま汗
を流して頑張ろう!
結果は一切、運命だ。
抜き足さし足。
ひめやかな気配。
夜も恋も気がついたら、すぐ
側まで来ています。
YouTube
m-flo / come again
https://www.youtube.com/watch?v=RNBiaZbFGII
YouTube
Motohiro Hata - Rain (Long Version)
https://www.youtube.com/watch?v=ZZAa_S0hY1Q
ひめやかな気配。
夜も恋も気がついたら、すぐ
側まで来ています。
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あれから、十二年という歳月が
流れた。
あの日、あの夜、闇の底を生き
物のように流れる河のほかには
何もない、
閉散とした駅のプラットホーム
に、おそらく永遠に取り戻すこ
とのできない何かを置き忘れた
まま、わたしはもうすぐ、三十
五歳になろうとしている。
こうして、スピードを上げながら
西へ西へ向かう新幹線の中でひと
り、遠ざかってゆく景色を眺めて
ると、記憶の虚空(こくう)から、
はらはらとこぼれ落ちてくるのは
あの年の記憶だけだ。あの年その
ものが、わたしにとって八番目の
曜日であり、十三番目の月だった
のかもしれない。
今はもう、痛みは感じない。そこ
にはひと粒の涙も、ひとかけらの
悲しみ宿っていない。あのひとの
記憶は愛よりも優しく、水よりも
透明な結晶となって、わたしの心
の海に沈んでいる。
この十二年のあいだに、わたしは
いくつかの恋をした。
出会いがあって、相手を求め、求
められ、愛しいと感じ、結ばれた。
二十七の時には、結婚もした。
不幸にも、夫に好きな人ができ
てしまったため、その結婚はた
った二年で壊れてしまったけれ
ど、それでも二年間、わたしは
とても幸せだった。
ただ、どんなに深い幸せを感じ、
それに酔い痴れている時でも、
わたしの躰の中に一ヶ所だけ、
ぴたりと扉の閉じられた、小
部屋のような領域があった。
扉を無理矢理こじあけると、
そこには光も酸素もなく、
植物も動物も死に絶えた、
凍てついた土地がだけが
広がっている。
だからうっかりドアをあけた
人たちは、酸素と息苦しさに
身を縮め、わたしから去って
いく。離婚の本当の原因は、
もしかしたらわたしの方に
あったのかもしれない。
こんな言い方が許されるな
らば、わたしは誰かに躰を
赦(ゆる)しても、心を救
したことはなかった。
YoUTube
宇多田ヒカル - 真夏の通り雨
https://www.youtube.com/watch?v=f_M3V4C8nWY
流れた。
あの日、あの夜、闇の底を生き
物のように流れる河のほかには
何もない、
閉散とした駅のプラットホーム
に、おそらく永遠に取り戻すこ
とのできない何かを置き忘れた
まま、わたしはもうすぐ、三十
五歳になろうとしている。
こうして、スピードを上げながら
西へ西へ向かう新幹線の中でひと
り、遠ざかってゆく景色を眺めて
ると、記憶の虚空(こくう)から、
はらはらとこぼれ落ちてくるのは
あの年の記憶だけだ。あの年その
ものが、わたしにとって八番目の
曜日であり、十三番目の月だった
のかもしれない。
今はもう、痛みは感じない。そこ
にはひと粒の涙も、ひとかけらの
悲しみ宿っていない。あのひとの
記憶は愛よりも優しく、水よりも
透明な結晶となって、わたしの心
の海に沈んでいる。
この十二年のあいだに、わたしは
いくつかの恋をした。
出会いがあって、相手を求め、求
められ、愛しいと感じ、結ばれた。
二十七の時には、結婚もした。
不幸にも、夫に好きな人ができ
てしまったため、その結婚はた
った二年で壊れてしまったけれ
ど、それでも二年間、わたしは
とても幸せだった。
ただ、どんなに深い幸せを感じ、
それに酔い痴れている時でも、
わたしの躰の中に一ヶ所だけ、
ぴたりと扉の閉じられた、小
部屋のような領域があった。
扉を無理矢理こじあけると、
そこには光も酸素もなく、
植物も動物も死に絶えた、
凍てついた土地がだけが
広がっている。
だからうっかりドアをあけた
人たちは、酸素と息苦しさに
身を縮め、わたしから去って
いく。離婚の本当の原因は、
もしかしたらわたしの方に
あったのかもしれない。
こんな言い方が許されるな
らば、わたしは誰かに躰を
赦(ゆる)しても、心を救
したことはなかった。
YoUTube
宇多田ヒカル - 真夏の通り雨
https://www.youtube.com/watch?v=f_M3V4C8nWY
男の人はいとも簡単に
騙されます。だって、
彼らは自分の欲望に忠実
だけど、相手の感じてい
ることには、ほとんど無
関心だから。
彼らはその行為の最中、女
の人の頭の中で生まれ、膨
らんでゆく、豊饒(ほうじ
ょう)な「物語」の存在を
知らないし、知ろうともし
ない。
鈍感な男と嘘つきの女が営
んでいる—それが結婚生活
なのだとしたら。
結婚とは愛から、最も遠い
ところにあるかもしれません。
騙されます。だって、
彼らは自分の欲望に忠実
だけど、相手の感じてい
ることには、ほとんど無
関心だから。
彼らはその行為の最中、女
の人の頭の中で生まれ、膨
らんでゆく、豊饒(ほうじ
ょう)な「物語」の存在を
知らないし、知ろうともし
ない。
鈍感な男と嘘つきの女が営
んでいる—それが結婚生活
なのだとしたら。
結婚とは愛から、最も遠い
ところにあるかもしれません。
瀬戸内寂聴さんと日野
原重明先生が語っている言葉
ですが、
「素敵に老いていくのは、仕事
が好きな人たちですね。その仕
事を好きでやっていれば、いつ
までもくたびれませんわね。
私も嫌々していたら、とても
続かないですよ。最初に好き
な仕事を選べたら一番幸せだ
けど、そうでない場合が多い
から、
そのときは仕事をすきになる
ように努力すること。例え
ば上司が嫌いでも、いいとこ
ろもあるかもしれないと思っ
て視点を変えてみる。
前から見たら嫌だけど、後ろ
から見たらいいわ、とかね
(笑い)」
「自分で正しいと信じてやっ
たことに関して、かりに誤解
されることがあってもしかた
がないと割りきっているので
す。
こうした考え方をしているか
ら、私は胃が痛むようなこと
もほとんどありませんし、相
当強いストレスでもそれに負
けることなく、いままでやって
こられたのでしょう」
仕事がおもしろくなくなる。職
場での人間関係に悩む。そんな
ときこのおふたりのな話にはい
くつものヒントがあります。
年長者の話は体験に裏打ちされ
ていますから、言葉に重しがつ
いているようにズシリ伝わって
きます。
軽い言葉だとすっ飛んでいって
しまい、すぐ忘れたりしてしま
いますが、長寿者の言葉は軽く
聞き流せません。心に深く残り
ます。
原重明先生が語っている言葉
ですが、
「素敵に老いていくのは、仕事
が好きな人たちですね。その仕
事を好きでやっていれば、いつ
までもくたびれませんわね。
私も嫌々していたら、とても
続かないですよ。最初に好き
な仕事を選べたら一番幸せだ
けど、そうでない場合が多い
から、
そのときは仕事をすきになる
ように努力すること。例え
ば上司が嫌いでも、いいとこ
ろもあるかもしれないと思っ
て視点を変えてみる。
前から見たら嫌だけど、後ろ
から見たらいいわ、とかね
(笑い)」
「自分で正しいと信じてやっ
たことに関して、かりに誤解
されることがあってもしかた
がないと割りきっているので
す。
こうした考え方をしているか
ら、私は胃が痛むようなこと
もほとんどありませんし、相
当強いストレスでもそれに負
けることなく、いままでやって
こられたのでしょう」
仕事がおもしろくなくなる。職
場での人間関係に悩む。そんな
ときこのおふたりのな話にはい
くつものヒントがあります。
年長者の話は体験に裏打ちされ
ていますから、言葉に重しがつ
いているようにズシリ伝わって
きます。
軽い言葉だとすっ飛んでいって
しまい、すぐ忘れたりしてしま
いますが、長寿者の言葉は軽く
聞き流せません。心に深く残り
ます。
男と女というのは、ベットに
行ってしまえば、もうある意
味で終わりしかないかも。
ベットに行かないのが、
ほんとうは素敵なのだ。
と思いつつ・・・・・、
過去の経験からいって、
寝たい時に気分のおもむく
まま寝た相手とは、
必ず終わっている。
そういう関係は長続きしない
のか。
YouTube
Summer
https://www.youtube.com/watch?v=rI6KKXJ1TUg
行ってしまえば、もうある意
味で終わりしかないかも。
ベットに行かないのが、
ほんとうは素敵なのだ。
と思いつつ・・・・・、
過去の経験からいって、
寝たい時に気分のおもむく
まま寝た相手とは、
必ず終わっている。
そういう関係は長続きしない
のか。
YouTube
Summer
https://www.youtube.com/watch?v=rI6KKXJ1TUg
音羽様
ちょっぴりご無沙汰してしまい
ました。
すぐにお返事が書けなくて、ご
めんなさいね。
来月の初めに脳神経の手術を受
けることになって、その準備や
検査に追い立てられながら、
日々を過ごしています。
その間ずっと、片時も忘れず、
音羽さんのことを想い、文面
を空で言えるくらい、いただい
たお手紙を読み返してきました。
いくつか、いえ、たくさん、胸
に突き刺さっている言葉があり
ます。
「彼は私を愛していなかった」
という一行です
「父が母を本当に愛していたのだ
としたら、父はなぜとき子さんと
付き合い、ふたりの女性を悲しい
目に遭わせたのですか?」という
問いかけ。
居ても立ってもいられないような
気持ちになりました。
わたしが前の手紙のなかに書いた
ことが、あなたの苦しみの種を
蒔いてしまったのかもしれません。
そうだとしたら、謝ります。
でも、音羽さん。
わたしはそれでも、書かずには
いられないのです。
順ちゃんはあなたのお母さんを
愛していたし、その事実は永遠
に変わらない、と。
ならば、わたしという女は順ちゃ
んにとって、いったいなんだった
のか。
音羽さんのフィアンセにとって、
あなたが思い余って刺してしま
うことになる人は、どういう
存在だったのか。なぜ、あなた
はそんな罪を犯してしまったの
か。犯さなくてはならなかった
のか。
「教えてください。愛ってなん
ですか?」
あなたの悲鳴が聞こえてきます。
あんなに一生懸命したのに、そ
の挙げ句、裏切られてしまって、
いったいどうしたら愛なんて、
信じることができるの?
あなたの必死の問いかけに、わ
たしは答えなくてはならないと
思っています。
だって、わたしはあの頃、あな
たのフィアンセの恋人と全く
同じ立場にいたのですから。
読みたくないかもしれないけ
れど、どうか読んでください。
奥さんがいても、わたしのこ
とを、順ちゃんは目一杯、愛
してくれました。
わたしも愛しました。短い時間
でしたけれど
非常に月並みな言葉を使います。
わたしは「愛人」でした。音羽
さんが、図らずも傷を負わせて
しまったその人同様、わたしも
順ちゃんの「愛人」だった。
不倫の恋人でした。
朝には冷める男の情熱の、欲望
の対象であった、と同時に、愛
の対象であった、ということで
す。
たとえ不倫であっても、誰から
認められることのない、正しく
なくて、歪んでいて、欲望にま
みれ、うす汚れていて、まった
く陽の射さない暗いものであっ
ても、それもまた、愛の一側面
であり、切り取られたひとつの
断面であるということなのです。
あなたがかつて彼を愛したよう
に、彼の恋人もまた、彼を愛し
ていた。どんなに苦しくても、
悔しくても、そこから目を逸ら
してはなりません。
この世の中には、間違ったこと、
曲がったこと、醜いこと、憎悪
や嫉妬や羨望、執着や煩悩、
そのために引き起こされる過ち
が、確固として存在しています。
避けようとすれば、そこに引き
込まれる。逃げようとしても、
それに追いかけられる。
そして愛もまた、その例外には
なり得ないのです。
ちょっぴりご無沙汰してしまい
ました。
すぐにお返事が書けなくて、ご
めんなさいね。
来月の初めに脳神経の手術を受
けることになって、その準備や
検査に追い立てられながら、
日々を過ごしています。
その間ずっと、片時も忘れず、
音羽さんのことを想い、文面
を空で言えるくらい、いただい
たお手紙を読み返してきました。
いくつか、いえ、たくさん、胸
に突き刺さっている言葉があり
ます。
「彼は私を愛していなかった」
という一行です
「父が母を本当に愛していたのだ
としたら、父はなぜとき子さんと
付き合い、ふたりの女性を悲しい
目に遭わせたのですか?」という
問いかけ。
居ても立ってもいられないような
気持ちになりました。
わたしが前の手紙のなかに書いた
ことが、あなたの苦しみの種を
蒔いてしまったのかもしれません。
そうだとしたら、謝ります。
でも、音羽さん。
わたしはそれでも、書かずには
いられないのです。
順ちゃんはあなたのお母さんを
愛していたし、その事実は永遠
に変わらない、と。
ならば、わたしという女は順ちゃ
んにとって、いったいなんだった
のか。
音羽さんのフィアンセにとって、
あなたが思い余って刺してしま
うことになる人は、どういう
存在だったのか。なぜ、あなた
はそんな罪を犯してしまったの
か。犯さなくてはならなかった
のか。
「教えてください。愛ってなん
ですか?」
あなたの悲鳴が聞こえてきます。
あんなに一生懸命したのに、そ
の挙げ句、裏切られてしまって、
いったいどうしたら愛なんて、
信じることができるの?
あなたの必死の問いかけに、わ
たしは答えなくてはならないと
思っています。
だって、わたしはあの頃、あな
たのフィアンセの恋人と全く
同じ立場にいたのですから。
読みたくないかもしれないけ
れど、どうか読んでください。
奥さんがいても、わたしのこ
とを、順ちゃんは目一杯、愛
してくれました。
わたしも愛しました。短い時間
でしたけれど
非常に月並みな言葉を使います。
わたしは「愛人」でした。音羽
さんが、図らずも傷を負わせて
しまったその人同様、わたしも
順ちゃんの「愛人」だった。
不倫の恋人でした。
朝には冷める男の情熱の、欲望
の対象であった、と同時に、愛
の対象であった、ということで
す。
たとえ不倫であっても、誰から
認められることのない、正しく
なくて、歪んでいて、欲望にま
みれ、うす汚れていて、まった
く陽の射さない暗いものであっ
ても、それもまた、愛の一側面
であり、切り取られたひとつの
断面であるということなのです。
あなたがかつて彼を愛したよう
に、彼の恋人もまた、彼を愛し
ていた。どんなに苦しくても、
悔しくても、そこから目を逸ら
してはなりません。
この世の中には、間違ったこと、
曲がったこと、醜いこと、憎悪
や嫉妬や羨望、執着や煩悩、
そのために引き起こされる過ち
が、確固として存在しています。
避けようとすれば、そこに引き
込まれる。逃げようとしても、
それに追いかけられる。
そして愛もまた、その例外には
なり得ないのです。