音羽様
お返事、ありがとう。
相当に読みづらい文字であった
はずなのに、あんなに丁寧に、
一字一句読んでくれて、お返事
も書いて下さって、本当にあり
とう。
とっても嬉しかった。便箋十枚
のお手紙。また一つ、わたしの
宝物が増えました。
お手紙の厚みが手のひらにあた
たかく、この重さはきっと、あ
なたの真心の重さと同じなのじ
ゃないかと思いました。
繊細で端正なあなたの文字と文
章。何度も読み返しては、その
たびに、泣きました。
お手紙から、音羽さんの熱が伝
わってきました。
持って生まれた、あなたの烈し
さ。けなげなところ、ひたむき
なところ、一途なところ。そし
て、お茶目なところや、可愛ら
しさも。
やっぱりあなたは紛れもなく、
あの、わたしが恋した、
夢中になった、大好きだった
順ちゃんの愛娘なのだと感じ、
心がふるえました。
今は亡き順ちゃんですが、今も
しっかり生きているのですね、
あなたのなかに。あなたの血管
のなかを、順ちゃんの魂が流れ
ているのね。
音羽さんのお手紙を読んでると、
わたしの耳にいつも音楽が聞こえ
てくるのです。
寄せては返す、波の音のように。
そう、わたしの耳が、貝殻になる
の。
『You White Bird, Released Into
My Azure Sky』
遠い昔、順ちゃんがわたしのため
に創り、演奏してくれた曲です。
テープにもレコードにもなってい
ないから、覚えている人は今はも
う、ほとんどいないのかもしれな
い。
けれど、わたしは覚えている。い
いえ、わたしだけが、覚えている
のです。
この曲のタイトルの由来を、音羽
さんにお教えしたいと思います。