高騰する中国不動産
順調に経済成長を続けている中国では、
1980年代後半から1990年代初期までの日本で起こったバブル景気を大きく凌ぐ勢いで不動産が高騰している。
近年、好景気に浮かれている大勢の中国人達に混じって、
何時はじけるかも知れないと言われているこの中国不動産バブルに
不安を抱きはじめている中国富裕層の人達の姿も見えてきた。
1.高騰する中国不動産
中国国内では2011年から中国政府が内陸部都市の開発を本格的に開始したこともあり、
沿岸部の都市だけでなく中国全土で不動産が高騰している。
中国国内の主要70都市で行った調査では
2010年においてマンション価格は月平均で10%も上昇したという報告もある。
これは。
数千万円のマンションが次の月には数百万円も高く取引され、
1年間で不動産価格は2倍以上にもなるという異常なものだ。
2.複数の不動産を所有する中国富裕層
このような不動産バブルの恩恵を享受しようと
投機目的で複数のマンションを所有する富裕層が急激に増加している。
当然であるが、購入者は投機目的で購入された2戸目、3戸目のマンションには住まず空室のままとなる。
これは、マンションが居住用としての需要があり建設されたものではなく、
投機目的で建設されたものであることを示すもので、
マンション価格の上昇が頭打ちとなった時点で、
供給過剰となっているマンション価格が暴落しバブルがはじけることは想像に難しくない。
3.次々に打ち出される中国政府の抑制策
中国政府はこのような事態に対し、バブルを抑制するための政策を次々に打ち出している。
抑制策として、他の先進国が金利を低く抑える中、
中国は利上げの継続を行い、
都市部において不動産所有者に対して不動産税をかけ不動産所有の負担を増加させた。
また、
2戸目の不動産を購入する際、住宅ローン金利を高くし、2戸以上の不動産購入をしづらくもした。
このような中国政府の抑制策により不動産価格の高騰もようやく減速の兆しもみられるが、
経済成長と共に依然として不動産の価格は上昇を続けている。
4.中国富裕層が興味を示す海外不動産
こんな中、富裕層は以前から海外の不動産にも興味を示している。
彼らは中国での不動産バブル崩壊を恐れ、安全な海外に資産を移すことを真剣に考えている。
彼らの中には既に海外不動産の購入や資産を海外に移しだしている人々も多い。
今まで彼らが主に興味を持っていた海外不動産は、カナダ、オーストラリアなどです。
中国人が、カナダやオーストラリアの不動産に興味を示す大きな理由として、
これらの国の移民政策にある。移民を受け入れない国で外国人がその国の不動産を所有するのは容易でないからだ。
20数年前に日本でも老後をオーストラリアで過ごすというライフスタイルが流行った時期があり
私の知り合いも行ったが、
中国人の中にも老後は気候の良い安全な街で過ごしたいと考えている人達は少なくない。
また、
中国政府が自分達に大きな被害が発生するような政策を行ったときには海外への脱出も考えていることは確かだ。
香港返還のときに香港からカナダに多くの人達が移り住んだことは記憶に新しい。
よって、
移民を受け入れている国の不動産を購入するというメリットは、
彼らの将来の生活を安定させるという大きな安心も含まれる。
5.中国富裕層から注目される日本の不動産
ここで、
日本の不動産が中国人からどのように見られているか。
先に述べた移民政策ですが、日本では現在原則として移民の受入を行っていない。
外国人が日本で永住権を取得できないわけではないが、
日本政府は積極的に外国人の受入を行ってはいない。
よって、
中国人を含め外国人が日本の不動産を所有し、
日本で生活をするということはかなり困難なようだと言える。
しかし、
カナダ、オーストラリアと比べ中国と日本の距離は近く、
生活の慣習についても隣国である中国と日本では似ており、
中国人が日本での生活に大きな我慢を強いられることは少ないと考えられる。
日本政府が中国人へのビザ発給条件を緩和したこともあり、
将来的に中日間での訪問に対する制約が少なくなるという期待もあるが。
これらを総合的に考えると、
中国富裕層が日本の不動産の購入に興味を示すのも当然と言えそうです。
6.中国富裕層向け日本不動産の販売実情
近年、日本の不動産会社は日本の別荘や投機目的の不動産を中国富裕層に販売するべく、
様々な方法でアプローチをしているようですが、
残念ながら一部を除いて期待する程の成果はでていないのが現状です。
ここで、
一部としたのは在日中国人を家族や親類に持つ中国人達で、
彼らは日本への入国も容易で不動産購入の手続きも親類を通して行うことができるなど、
日本の不動産を購入するにあたって大きな障害がない。
日本の不動産会社が思うように中国人向けの不動産販売の成果を出せない中、
別の観点から中国富裕層に向けて日本の不動産を販売しようとしている企業がある。
(以上日経より)
今回はここまで・
次回から・・その具体的手法・そのアプローチ方法とは。
続きは次回に・・
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