日日の幻燈

歴史・音楽・過ぎゆく日常のこと

【note】戦国武将に負けるな、古き良き武蔵武士団!

2017-05-02 | 日日の幻燈



■「武蔵武士団」
■関幸彦 編
■吉川弘文館 2014年

家の近く、八幡八雲神社の境内に横山党の根拠地跡の案内板(東京都指定旧跡)があります。平安時代末から鎌倉時代にかけて武蔵に勢力を張った横山党は、武蔵七党と呼ばれた武士団のうちのひとつです。

ふ~ん。

そうなんだ。

ちょっとは知っていたけどさ。

でも八王子で武士といえば、八王子城主・北条氏照。それに比べるとあまりにもマイナーすぎるというか、注目度がかなり下がるのは否めないですね。

家の近くに居たという横山党に、ちょっと興味がそそられ始めていた、そんなときに見かけたのが、この「武蔵武士団」。
昨今の戦国武将ブームにも乗れず、草葉の陰で悔しい思いをしている(?)であろう彼ら。
横山党が属したとされる武蔵七党。都から下った秩父平氏と、その流れをくむ畠山氏、河越氏などなど。「平家物語」「太平記」に記された、彼らの足跡を追った地方史。個人よりも武士団という集団全体にスポットを当てています。

序:武蔵武士団への招待
Ⅰ:源平の争乱と武蔵武士
 第1章:秩父氏の庶流と源平争乱
 第2章:武蔵七党と『平家物語』の世界
 第3章:鎌倉期の血縁、婚姻関係
Ⅱ:南北朝動乱と武蔵武士
 第1章:鎌倉幕府の滅亡と武蔵武士
 第2章:南北朝動乱と『太平記』
 第3章:南北朝武士団の諸相
 第4章:南北朝期の血縁、婚姻関係
Ⅲ:武蔵武士団のその後
 第1章:東国武士の移動と移住
 第2章:東遷した武士団
 第3章:西遷した武士団・中国方面
 第4章:西遷した武士団・鎮西方面
Ⅳ:武蔵武士を歩く
 第1章:古戦場
 第2章:館・城・街道
 第3章:信仰と板碑
あとがき

以上、目次をみてもらえば、内容もズバリわかるというもの。章ごとに別々の研究者が執筆する構成となっています。


さてここからは、私の個人的イメージ。

平安時代後期、武士団たちが生き抜いた草深い東国って、アメリカの西部開拓時代と重なって見えます。一攫千金を目指して遠く西部の地を目指した開拓民と、都を離れ遙か東国に生きる道を求めた武士団の始祖たち。東国には牧が多く、朝廷に献上する馬が群れていたと聞くと、まさにカウボーイじゃないかって。

そんなことを思いながらこの本を読んだら、どんな思いで彼らは生活していたんだろうなぁ?と、遠く千年の昔に想いを馳せてしまいました。
そしたら、無性に「平家物語」「太平記」が読みたくなって(もちろん古文は無理なので、現代訳されたものとか小説化されたものです)、近くの書店に探しに行ったのですが、あれれ?どちらも置いてませんでした。「平家物語」「太平記」、歴史的に有名な割には、戦国物に比べるとここでもマイナーな扱いなのでした。


そうそう、「青葉の笛」という唱歌がこの本で紹介されていました。1番で平敦盛、2番で平忠度の最期を哀愁たっぷりに歌い上げていますが、敦盛を討ち取った熊谷直実、忠度を討ち取った岡部六弥太忠澄、ともに東国の武士。
Youtubeで探してみたらありました。何でも出てくるYoutube、スゴイよな。これがなかったら、気にはなっても、そのうち忘れて聞かずに終わった歌だったと思います。




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