この人生、なかなか大変だぁ

日々の人生雑感をつれづれに綴り、時に、人生を哲学していきます。

人生は問題の連続である

2009-11-19 21:58:21 | 人はなぜ生まれ、そして死んでいくのか
「人生とは困難なものである。
これは偉大な真実、もっとも大きい真実の一つである。ひとたびこの真実を悟ればそれを超越できるという意味で、それは偉大な真実なのである。一旦この真実を理解して本当に受け入れるならば、人生はもはや困難なものではなくなる。
大抵の人たちはこの真実を充分悟ってはいない。むしろ彼らは、たえず自分の問題、重荷や障害が大きすぎると、大仰にあるいはひっそりと嘆いている。まるで、人生は総じて楽なものだ、楽であるべきだというように、である。自分が直面している困難は、どこにでもあるような不幸ではない。どういうわけか、いわれもなく、よりにもよってこの自分に、あるいは自分の家族、部族、階級、国、民族、あるいは人類に課せられた不幸なのだと、大声で、あるいは小声で言う。私にはこのような嘆きがよくわかる。私も人並みに同じように嘆いてきたからである。
人生は問題の連続である。われわれはそれについて嘆きたいのだろうか。それとも問題を解決したいのだろうか。」

これは、精神分析医であるM・スコット・ペックの「愛と心理療法」の書き出しである。もう少し続けてみよう。

愛と心理療法
M.スコット・ペック
創元社

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「人生が困難であるのは、問題に直面しそれを解決する過程が苦しいからである。問題はその性質に応じて、われわれの内に欲求不満、悲しみ、寂しさ、孤独感、罪悪感、悔恨、怒り、恐れ、不安、苦悩、あるいは絶望をひき起こす。これらの感情はたいてい大変不快なものであり、時にはもっとも烈しい肉体的苦痛に匹敵する。われわれがあるできごとや葛藤を問題と呼ぶのは、それらが苦痛をもたらすからである。人生には次々と際限なく問題が生ずるので、それはつねに喜びと苦しみに満ちている。
しかし、問題に直面し解決する過程にこそ人生の意味がある。問題とは、成功と失敗を分かつ鋭い刃である。問題がわれわれの勇気と英知を呼び起こす。むしろ作り出すといってよい。問題によってのみ、われわれは心理的精神的に成長する。人間の精神的成長を促したいならば、人間の問題解決能力に挑み、促すことである。それは学校で、生徒たちに解くべき問題を慎重に与えるのと同じである。問題に直面して解決する際の苦しみによってこそ、われわれは学ぶ。」

「人生には次々と際限なく問題が生じるので、それはつねに喜びと悲しみに満ちて」おり、「問題に直面し解決する全過程にこそ人生の意味がある」と言い切る。
「人生の困難は―たとえそれがどれほど大きかろうとも、大きければ大きいほど―われわれの現存在の課題性を増大させ、またそのことによって人生の意味を一層大きなものにする」(V・E・フランクル「意味への意志」)
と、フランクルも言っているし、
「どんな問題も、解決されるためにあり、もう一歩深い認識に至るために存在するのだということ。人はつねに問題にぶち当たることになるが、それこそ、まさに今、そのひとが必要としている問題なのだということ」(「癒す力はあなたの胸に」E・リュックハイデ/シュミーク明子)
と、問題そのものがその人にとって必要不可欠のものであるとまで言明している。

確かに問題のない人などいない。わたしも定年前に職を失い、後半生をどう生きていったらよいか迷っている。いや、それ以上に生計をどう立てたらよいか切迫した問題を抱えている。なぜこんな時にこんな目に合わないといけないのかと思う。それも、わたしに起こる意味があるし、この問題の解決によって、精神的成長が得られる。自己実現がなされるというのである。フランクルで言うと「自己超越」が得られるというのだ。
先達にこう言われたらほっとする。挫けそうになるときでも、単なる苦難ではないのだ。わたしに与えられた課題なのだ、これを解決することが求められているのだと考える(志向する)ことによって苦痛ではなくなるのだ。

親戚にひとり息子を糖尿病で失った女性がいる。料理が得意で世話好きの人だが、義母を107歳の大往生でお送りしてさあこれからというときに、程なく息子は入院、脚の切断に見舞われてとうとう亡くなってしまった。小学校の音楽の先生をしていたお嫁さんは子ども好きだったに違いないが子宝に恵まれず、今は大きな邸宅の中で嫁と姑がひっそりと暮らしている。
また、私の友人に公務員の男がいるが、子どもたちも私立の有名校を経て大学に行き、もう悠々の人生かと思いきや、最近聞いた話だと網膜のなんとかという難病に罹っていて、手術のすべもないらしく全盲になるのも遠くないというのである。

人生なかなか辛いねぇ。
しかし、彼らにわたしの口から「問題によってのみ、われわれは心理的精神的に成長する」とはよう言えない。



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