ここ数日、本当にいい天気でした。
秋の透き通った青空から日が暮れて、風が肌に少し寒く感じられる頃になると聴きたくなるのが「第9」、メサイア、ボエームです。・・・・単にクリスマス(暮れ)関連というだけじゃないかって?まあ、そんなもんです。
ベートーヴェン/交響曲第9番「合唱」
アイリーン・ファーレル(S)
ナン・メリマン(MS)
ジャン・ピアース(T)
ノーマン・スコット(BS)
ロバート・ショウ合唱団
管弦楽:NBC交響楽団
指揮: アルトゥーロ・トスカニーニ
録音:1952年
トスカニーニのベートーヴェンと付き合って、もう37年。
彼の「第9」は、手元に4種あるけど、一番古いお付き合いの、この録音を空がきれいな昨日の午後に聴いた。
以前は、演奏には引き込まれていたけど、とにかく乾いた録音であり、なんかギスギス、パチパチしていた印象も強かった。
しかし、今回買い直したこの全録音BOXを聴いてみて、「えっ、こんな豊潤な音だったかな」と、嬉しい驚きであった。
すごい演奏だと、ずっと思っていた「第9」も、その後いろいろ出た演奏を聴いてしまっては、録音当時は「斬新」だったかも知れないが、今やかなり「普通」に聴こえてしまう。
だが、それでも、やっぱり偉大な演奏だとあらためて感じた。
トスカニーニは、やはり、こうなんだ。
器用な小細工はほとんど無し。
香るような自在な音色の変化も、ないことはないが控えめ。
地道に、百年一日の如くに、自分の信じる道をひたすら歩き続けるような頑固で融通のきかない先を急ぐ演奏に、よくよく聴けば混じりっ気のない透き通ったものが絶えず流れている。
第1楽章後半からずっと持続するその不思議な気配に、今回なんか感動してしまった。
第3楽章のカンタービレも直線的であるが、無垢な思い入れに貫かれている。
微細な範囲の中でのデリカシーも、しっかりと聴き取れる。
ストレートとカーブしか投げないけど、そのバリエイションは実に多様である。
そして、熱を帯びた終楽章は、多くが一生懸命に盛り上げようとしている所だけでなく、全部の音を目一杯大事に鳴らし、リズムは弾けているものの、あっさり切り上げる所は切り上げる爽快さ。
最後も徒にテンポを上げず、全パートをたっぷりと鳴らして幕を下ろす誠実さが心地良い。
これからも、トスカニーニは時々聴きたくなる指揮者だ。
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