静かな場所

音楽を聴きつつ自分のため家族のために「今、できることをする」日々を重ねていきたいと願っています。

ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団と9人の指揮者によるベートーヴェン/交響曲全集

2022年02月14日 19時16分18秒 | ベートーヴェン
70年代中頃、東芝EMIから(歴史的音源による)「9人の指揮者によるベートーヴェンの交響曲全集」というのが発売されました。3番がクレンペラーのモノ録音、4番がフルトヴェングラー指揮ウィーン・フィルの50年録音(SP録音の方)、7番はクナッパーツブッシュのかなり古い録音など、当時としては入手難の演奏がいくつかあったと記憶しています。私は購入しませんでしたが、知人に借りてカセットにコピーさせてもらいました。

参考サイト↓
https://recordsound.jp/twi/index.php?mode=detail&gid=26007



それと、どっちが先だったか憶えておりませんが、クーベリックが9つのオーケストラを振り分けた交響曲全集が発売され、いくつかの演奏はFMなどで聴きました。7番は、すでに出ていたバイエルン放送響ではなくウィーン・フィルとの再録音でした。ベルリン・フィルとの3番「英雄」のみ先行単独リリースされていました。私が全部揃えたのはずっと後、レゾナンス(廉価盤)で再発されてからでした。これは素晴らしい全集で、その後、CD、SACDと買い直しています。元はベルリン・フィルとの全集として企画されたのが変更になった、というような記事を読んだ記憶があるような無いような???


さて、今回聴いたのは、ひとつのオーケストラ(ロイヤル・コンセルトヘボウ)を9人の指揮者が1曲ずつ振ったセットです。

これは、聴いてみるとかなり面白い企画でした。演奏スタイルも新旧織り交ぜ。プロ野球に例えるなら 、 1イニングごとに ピッチャーが 交代して各回、全力で投げてくるみたいなもの。遊び球はひとつも無い。その勢いに気圧されて、ひとりの指揮者による全集に比べて、どんどん聴き進めることができました。

以下、例によって勝手な感想です。

なんと言っても、ダントツ1位はバーンスタインの振る2番でしょう。これはもう、全ての音符に火が点いたような超熱演。デリカシーや洒落たニュアンスも兼ね備えており、他を圧倒しておりました。
4番のブロムシュテットも素晴らしかった。小細工皆無にして高純度。テンポの速さが全く自然。天空を左から右へ一気に駆け抜けて行きました。
アーノンクールの3番は、聴いたことあったような?隅々までアーノンクール節が徹底された、胸のすく快演です。
クライバーの7番は映像(LD、DVD)で既出の演奏。あの、第4楽章で管楽器奏者の誰かにダメ出ししてる姿がはっきり映ってた演奏です。こうやって音だけで聴くと、天衣無縫な流麗さと極めてまっとうなアプローチはなおさらに伝わってきますが、同時にオケの危なっかしさもけっこうあるのが分かります。例えば、第1楽章の主部に入った辺り、管のスカスカ感はクライバーの求めるニュアンスが十分に出来ていない感じです。第4楽章の激流下りの凄まじさ、そのスリリングなことは、アンサンブル崩壊の危機感も一役買っていて、まあ、どこまでが意図されたものか分からないです。しかし「生きた音楽」という面では、やはり無類の演奏でしょうね。
順序が前後していますが、ジンマンの1番はジンマンらしく、5番のヤンソンスは、ヤンソンスらしい、いずれも好演。
6番「田園」のノリントンは(私としては)最悪。二度と聴かないでしょう。いろいろ小技繰り出してますが、全然、心に響かず。
ヘレヴェッヘのベートーヴェン、別オケとの全集をよく中古市場で見かけますが、1回目の「第9」以外は聴いたことがありません。ここでの8番、かなり好印象。特に奇抜なことをしておらず「おとなし目ピリオド」ですが、最初から最後まで不思議な鮮度、瑞々しさがあり、喜ばしい気持ちにさせられました。
こうやって続けて聴いてくると最後のドラティ(第9)は損してますね。8番までそれぞれ全力投球の演奏を聴いてきて、こっちはお腹いっぱい。ワンサイド・ゲームの9回表。前日に優勝をさらわれた千秋楽の鶴竜みたい(?)なもの。
というのはこっちの勝手な感覚ですが、とにかく第9に突入。
ドラティは、いかにもドラティで、手堅く職人的。う~ん、第1楽章でけっこう金管の改編やってるけど、あまり効果的じゃないみたい。以下、あまり盛り上がらず(こっちが)。やっぱりドラティを真っ先に聴いてたら印象違ったでしょうね。また、日を改めて聴き直します。ノリントンはもう聴かない(くどい)。

以上、勝手な感想でした。


最新の画像もっと見る

コメントを投稿