今日、やっと読了しました。主に、病院の待合などでぼちぼちと読み進めていたので、いったいどれくらいの期間を費やしたのか、さっぱり分かりません。また、読みながら、あちこち先を読んでしまったり前に戻ったり、ということも何回もしてて、前後関係が混乱してしまったところもありました。
これは、朝比奈氏本人と、彼に関わった多くの人たちの声、(たぶん)入念な取材と裏付けのもとに綴られた、朝比奈隆と大阪フィルの「等身大の」歴史です。おそらくは、氏の存命中だったらとても明るみにはできないようなところも多く書かれています。都合のよいところだけをつないで「ヨイショ」とまとめられたものてはありません。弱点も批判を受けた部分も「栄光」の部分と共に語られていて、それゆえに、人間「朝比奈隆」の魅力がかえって底光りして感じられました。著者は朝比奈氏のことを「晩年に絶頂を迎えた幸せな指揮者」と記しています。
この本で初めて知ったのですが、朝比奈千足氏の言葉によると、氏は「90歳を越えてからは、指揮がてきる状態ではなかった・・・」とのことです。長く癌を患っていたことは、本人には最期まで知らせなかったそうです。夫人に知らせたのは、最後の名古屋公演の時だったとのこと。
2001年の四月に(CDにもなった)ブルックナーの5番をザ・シンフォニーホールで聴きましたが、あれは本当に心に染み入る演奏でした。
あのとき、氏の体のいたるところが癌に蝕まれていたなんて、一体、誰が想像できたことでしょうか。
また、ひさしぶりに朝比奈氏のCDを聴きたくなりました。
オーケストラ、それは我なり/朝比奈隆 四つの試練
中丸美繪 著
文藝春秋社刊
【内容】
プロローグ 最後の演奏会
第一の試練 <隠された出自>
もらいっ子・知らぬは自分だけ・偉いおじさん・「それが出生の秘密だ」・東京高等学校・
勝った方が泣いている・京都帝国大学へ・エマニエル・メッテル・和声学入門・
ロマンティシズム・サラリーマンは落第ですな・ボヘミアン・石の上にも三年・
ダイクバンザイ・指揮者への道
第二の試練 <上海の栄光と満州引き揚げ>
新交響楽団での挫折・上海交響楽団へ・日の丸を背に・音楽こそは文化の象徴・
ハルビンへ・逃亡・「ここはお国の何百里」を逆に歩いて・
関西交響楽団設立・新世界より
第三の試練 <NHK大阪中央放送局との確執>
局長の苦言・BK楽団は関響に出演させない・忠臣蔵ですな・五十四時間眠らなかったことも・
ベルリン・フィルを指揮・フルトヴェングラーとの会話・関西交響楽団自主解散・
オーケストラは指揮者のもの・ブルックナーとの出会い・ファンが送り出した欧州演奏旅行・
ザンクト・フローリアンの鐘・おい、めしでも食いにいこうか・聖書と歴史書
第四の試練 <指揮とは何か>
指揮の奥義・大フィルサウンド・フルトヴェングラーか朝比奈か・よきにはからえ・
労働組合結成・人の親やったわ・内部の混乱・ストライキ・朝比奈と大フィルの復活・晩年の栄光・
オーケストラ、それは我なり
これは、朝比奈氏本人と、彼に関わった多くの人たちの声、(たぶん)入念な取材と裏付けのもとに綴られた、朝比奈隆と大阪フィルの「等身大の」歴史です。おそらくは、氏の存命中だったらとても明るみにはできないようなところも多く書かれています。都合のよいところだけをつないで「ヨイショ」とまとめられたものてはありません。弱点も批判を受けた部分も「栄光」の部分と共に語られていて、それゆえに、人間「朝比奈隆」の魅力がかえって底光りして感じられました。著者は朝比奈氏のことを「晩年に絶頂を迎えた幸せな指揮者」と記しています。
この本で初めて知ったのですが、朝比奈千足氏の言葉によると、氏は「90歳を越えてからは、指揮がてきる状態ではなかった・・・」とのことです。長く癌を患っていたことは、本人には最期まで知らせなかったそうです。夫人に知らせたのは、最後の名古屋公演の時だったとのこと。
2001年の四月に(CDにもなった)ブルックナーの5番をザ・シンフォニーホールで聴きましたが、あれは本当に心に染み入る演奏でした。
あのとき、氏の体のいたるところが癌に蝕まれていたなんて、一体、誰が想像できたことでしょうか。
また、ひさしぶりに朝比奈氏のCDを聴きたくなりました。
オーケストラ、それは我なり/朝比奈隆 四つの試練
中丸美繪 著
文藝春秋社刊
【内容】
プロローグ 最後の演奏会
第一の試練 <隠された出自>
もらいっ子・知らぬは自分だけ・偉いおじさん・「それが出生の秘密だ」・東京高等学校・
勝った方が泣いている・京都帝国大学へ・エマニエル・メッテル・和声学入門・
ロマンティシズム・サラリーマンは落第ですな・ボヘミアン・石の上にも三年・
ダイクバンザイ・指揮者への道
第二の試練 <上海の栄光と満州引き揚げ>
新交響楽団での挫折・上海交響楽団へ・日の丸を背に・音楽こそは文化の象徴・
ハルビンへ・逃亡・「ここはお国の何百里」を逆に歩いて・
関西交響楽団設立・新世界より
第三の試練 <NHK大阪中央放送局との確執>
局長の苦言・BK楽団は関響に出演させない・忠臣蔵ですな・五十四時間眠らなかったことも・
ベルリン・フィルを指揮・フルトヴェングラーとの会話・関西交響楽団自主解散・
オーケストラは指揮者のもの・ブルックナーとの出会い・ファンが送り出した欧州演奏旅行・
ザンクト・フローリアンの鐘・おい、めしでも食いにいこうか・聖書と歴史書
第四の試練 <指揮とは何か>
指揮の奥義・大フィルサウンド・フルトヴェングラーか朝比奈か・よきにはからえ・
労働組合結成・人の親やったわ・内部の混乱・ストライキ・朝比奈と大フィルの復活・晩年の栄光・
オーケストラ、それは我なり
オーケストラ、それは我なり―朝比奈隆 四つの試練 | |
中丸 美繪 | |
文藝春秋 |
オーケストラ、それは我なり - 朝比奈隆、四つの試練 (中公文庫) | |
中丸 美繪 | |
中央公論新社 |
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