歴史だより

東洋と西洋の歴史についてのエッセイ

≪囲碁の手筋~原幸子氏の場合≫

2025-03-02 18:00:02 | 囲碁の話
≪囲碁の手筋~原幸子氏の場合≫
(2025年3月2日投稿)

【はじめに】


 今回のブログでも引き続き、囲碁の手筋について、次の小事典を参考にして考えてみたい。
〇原幸子編『新・早わかり 手筋小事典 目で覚える戦いのコツ』日本棋院、1993年[2019年版]
 「目で覚える戦いのコツ」という副題にもあるように、攻めや戦いをテーマにした手筋を中心にまとめた小事典である。
 編集にも工夫が凝らしてある。
 たとえば、第1章「目で覚える手筋いろいろ」で、これだけは是非とも心得ておいてほしい実戦型、基本型をまとめて特色をうち出したそうだ。ねらいは、手筋、急所の発見には直感力が重要視されるので、その感覚養成にあるとする。そして、第1章では、わざと細かい説明を省いている。じっと図をながめながら、「ナルホド」とか「アレ?どうしてかな」と何か感じてもらえば十分だという。
 また、アマチュアには、理解しにくい「利き筋」についても、問題を通して理解しやすいように工夫されているように感じた。

【原幸子氏のプロフィール】
・1970年生まれ、東京都出身。日本棋院東京本院所属。
・1988年入段、1999年、四段。2008年、200勝達成。
・2016年~2019年、日本棋院常務理事。
・NHK杯などの囲碁番組で司会・定期出演していた。
・夫は依田紀基九段。次男の依田大空氏も囲碁棋士。
・依田九段が主催する『依田塾』(現:日本棋院こども囲碁サロン支部)の塾長代行を務めている。
※依田紀基九段は、原幸子さんの力を高く評価しており、学業に専念すれば一流大学に行けただろうし、囲碁においてもアマチュアへの指導やイベント等を控え、囲碁に集中していればいくつもの女流タイトルを取っていたのではないかと語っている。
〇You Tube「戦いの極意」(囲碁学校:石倉昇八段[当時]のアシスタントを原幸子氏が務めている)
 第1巻 攻め     (2018年5月21日付)
 第2巻 ツケ     (2018年5月29日付)
 第3巻 打込みと消し (2018年6月3日付)
 第4巻 中央の打ち方 (2018年6月25日付)
 第5巻 捨て石とコウ (2018年7月9日付)
 第6巻 味を残す打ち方(2018年7月23日付)


【『手筋小事典』(日本棋院)はこちらから】





本書の目次は次のようになっている。
【目次】
はしがき
本書の構成について
第1章 目で覚える手筋いろいろ
 ●攻めの急所と守りの急所(第1型~第16型)
●よい形と悪い形(第17型~第40型)
●筋のいろいろ(第41型~第106型)

第2章 目で解く筋と形 その1~15
第3章 手筋と俗筋   その1~14
第4章 実戦の手筋   その1~19



  ≪日本棋院『手筋小事典』≫目で覚える手筋いろいろ
  第1章 目で覚える手筋いろいろ
型番 手筋いろいろ
  ●攻めの急所と守りの急所(第1型~第16型)
1 攻めの急所
2 守りの急所
3 攻めの急所
4 守りの急所
5 攻めの急所
6 守りの急所
7 攻めの急所
8 守りの急所
9 攻めの急所
10 守りの急所
11 攻めの急所
12 守りの急所
13 攻めの急所
14 守りの急所
15 攻めの急所
16 守りの急所
   
  ●よい形と悪い形(第17型~第40型)
17 黒よい形
18 黒悪い形
19 黒よい形
20 黒悪い形
21 黒よい形
22 黒悪い形
23 黒よい形
24 黒悪い形
25 黒よい形
26 黒悪い形
27 黒よい形
28 黒悪い形
29 黒よい形
30 黒悪い形
31 黒よい形
32 黒悪い形
33 黒よい形
34 黒悪い形
35 黒よい形
36 黒悪い形
37 黒よい形
38 黒悪い形
39 黒よい形
40 黒悪い形
   
  ●筋のいろいろ(第41型~第106型)
41 ノビの筋
42 トビの筋
43 ハネの筋
44 二段バネの筋
45 オサエの筋
46 二段オサエの筋
47 ツギの筋
48 ツギの筋
49 ツギの筋
50 ツギの筋
51 コスミの筋
52 コスミの筋
53 ゲタの筋
54 ゲタの筋
55 攻め合いに勝つ筋
56 シチョウの筋
57 a、b両ニラミの筋
58 二子にして捨てる筋
59 サバキの筋
60 カケてシボる筋
61 カケてシボる筋
62 ツケの筋
63 ツケの筋
64 急所にノゾく筋
65 急所にノゾく筋
66 急所にノゾく筋
67 急所にせまる筋
68 眼を取る筋
69 トビツける筋
70 ハナヅケの筋
71 キリチガエの筋
72 キリコミの筋
73 ツケコシの筋
74 ツケコシの筋
75 ツケコシの筋
76 ツケて取る筋
77 ツケて取る筋
78 ツケヒキの筋
79 ハサミツケの筋
80 切りの筋
81 切りの筋
82 オキの筋
83 オキの筋
84 オキの筋
85 サガリの筋
86 コスミツケの筋
87 ワタリの筋
88 ワタリの筋
89 ハネの筋
90 ワリコミの筋
91 ワリコミの筋
92 ワリコミの筋
93 アテ込みの筋
94 アテ込みの筋
95 追い落としの筋
96 オシツブシの筋
97 石の下の筋
98 コウにする筋
99 ナラビの筋
100 トビの筋
101 ホウリ込みの筋
102 左右同形の筋
103 アテてツグ筋
104 モタレの筋
105 封鎖の筋
106 ツケバネの筋

第2章 目で解く筋と形
その1 石のツギ方(1)
その2 石のツギ方(2)
その3 石のワタリ方
その4 石の取り方
その5 攻め合いの急所
その6 コウねらいの急所
その7 眼の取り方
その8 眼の作り方
その9 石の攻め方
その10 石のシノギ方
その11 定石問答(1)
その12 定石問答(2)
その13 石の形
その14 しのぎの手筋
その15 しぼりの効果

第3章 手筋と俗筋
その1 捨て石活用
その2 切断の妙
その3 切りへの対策
その4 注文をはずす
その5 攻めとサバキ
その6 守り方のコツ
その7 好形の感覚
その8 形の整え方
その9 ハネの巧拙
その10 両にらみ戦法
その11 好形と愚形
その12 厚い打ち方
その13 死活の心得
その14 進出止めの筋

第4章 実戦の手筋
その1 方向とリズム
その2 連打できめる
その3 受けの手筋とは
その4 サバキと攻めの原則
その5 死石の活用
その6 タイミングの術
その7 決め方とがめ方
その8 緩急自在な判断力
その9 第一感の筋
その10 ダメ空きの筋
その11 発想の飛躍
その12 粋な手順
その13 攻めのテクニック
その14 欠陥透視術
その15 分断のテクニック
その16 構想力
その17 侵略のテクニック
その18 名サバキ
その19 利き筋のあやつり方




さて、今回の執筆項目は次のようになる。


・氏のプロフィール
・はしがき
・手筋とは何か?
・本書の構成について
〇第1章 目で覚える手筋いろいろ
〇第2章 目で解く筋と形~同様の形が千変万化
・第2章 目で解く筋と形その1 ▼石のツギ方(1) 問題1
・第2章 目で解く筋と形その3 ▼石のワタリ方 問題9
・第2章 目で解く筋と形 その10▼石のしのぎ方 問題29
・第2章 目で解く筋と形 その11▼定石問答(1)問題31
〇第3章 手筋と俗筋
・第3章 手筋と俗筋 その1▼捨て石活用 問題1
・第3章 手筋と俗筋 その5▼攻めとサバキ 問題9
・第3章 手筋と俗筋 その7▼好形の感覚 問題1
・第3章 手筋と俗筋 その12▼厚い打ち方 問題24
〇第4章 実戦の手筋
・第4章 実戦の手筋 その4▼サバキと攻めの原則 問題7
・第4章 実戦の手筋 その18▼名サバキ 問題36
・第4章 実戦の手筋 その19▼利き筋のあやつり方 問題37
・【補足】隅の死活~『死活小事典』より
・【補足】手筋としてのツケ(ケイマと二間ビラキのスキをつく)~You Tube「戦いの極意」より







はしがき


・手筋と形は、敵味方いずれにとっても、それが双方の活力を生かすか、殺すかの要点に当たる。
 プロは碁を打つ上で、最も大切な手筋と形には特に注意を払う。
 たとえば、盤面に並んだ石の形、石の流れを見ただけで、その勝敗を直観し、石のはこびが筋に適うか否かによって、その碁の運命を正しく予言し得るほどである。
よく“打てば響く”というように、相手の言動にたちどころに反応するのがカンであり、碁ならば“第一感の急所”がいわゆる手筋である。

・本書では、第1章「目で覚える手筋いろいろ」で、これだけは是非とも心得ておいてほしい実戦型、基本型をまとめて特色をうち出した。
 ねらいは、手筋、急所の発見には直感力が重要視されるので、その感覚養成にある。
・つづく第2章「目で解く筋と形」は、まずその基本応用問題である。
・第3章「手筋と俗筋」では、よくいう“一路となりが俗筋なり”の問題をよくできる実戦問題で比較し、上達の指針とした。
・第4章「実戦の手筋」は第一感がはじめにきて、それからヨミで裏づけるという順序にしたがって古今のプロ大家の実戦手筋も収録、手筋の粋を楽しめる講座にしたという。
※本書は、1982年日本棋院刊『早わかり手筋小事典』を底本とし、増補したものであるようだ。
(原幸子編『手筋小事典』日本棋院、1993年[2019年版]、3頁)

手筋とは何か?


手筋とは何か?
・“第一感の急所”がいわゆる手筋(3頁)
・手筋とは、急所を衝き、相手がいかに変化しても戦果をあげ得る最も能率のよい手のことである。(7頁)
・手筋とは、その部分における最善の手。すなわち勝つ手である。(27頁)
・手筋とは、石と石の関係が重大であるが、俗筋が隣にあることの多い不思議な存在である。一路かわれば筋もかわる。筋とはきわめて流動的であり、浮気者でもある。(91頁)
・手筋とは、プロなら盤面にならんだ石の姿、石の流れを一瞥しただけで、その勝敗を直感し、その碁の運命を予言し得るほどのもの。(149頁)

本書の構成について


・第1章では、わざと細かい説明を省いている。
 じっと図をながめながら、「ナルホド」とか「アレ?どうしてかな」と何か感じてもらえば十分だという。
 神経が筋に対して敏感に働いた証拠だから、そこが本章のねらいでもあるようだ。
・第2章以後は問題形式になっている。
 あらかじめわかっている筋をさがしていく形の分類式ではなく、各問題にテーマをもうけ、どの筋でいくかを読者に考えてもらう方法をとったという。(興味も増し、本当の力がつくと思われる)

・第3章と第4章の難易度記号について
 ★ひとつは、感覚で知っておきたい基本手筋の応用問題。
 ★★ふたつは、筋の発見、手順、ヨミが要求される問題。
(原幸子編『手筋小事典』日本棋院、1993年[2019年版]、6頁)

第1章 目で覚える手筋いろいろ


【手筋でいきいき】
・敵と味方の石が接触するといろんな形ができるが、よい形というのは、打った石が全部活躍して、それぞれ能率的に役割りを演じている。
・いままでフラフラして安定感のなかった石が、手筋の一手、急所の一手によって、見違えるように姿が整う。

・悪い形というのは、打った石が非能率的に、黒白密集の中に入ってしまった形である。
多くの石を用いても、その働きが不十分なとき、愚形とかコリ形といって、悪い形の見本となる。
・攻めの急所、守りの急所は形とはすこぶる密接な関係にあって、その一点が双方の必争点に当たる。
 急所の一手が、双方の好形、悪形を左右するだけではなく、時としてはそれが致命傷に
つながる。
・なお、守る場合の急所を形、攻めるときの急所を筋、または手筋と呼ぶこともあるが、判然たる区別はなく、同一物の表裏と考えてよいとする。
※この章は、目で覚え、体得して欲しいというのが主眼のため、解説は省略したという。
(原幸子編『手筋小事典』日本棋院、1993年[2019年版]、8頁)

第1章 目で覚える手筋いろいろ
●攻めの急所と守りの急所(第1型~第16型)
●よい形と悪い形(第17型~第40型)
●筋のいろいろ(第41型~第106型)


≪日本棋院『手筋小事典』≫目で覚える手筋いろいろ
第1章 目で覚える手筋いろいろ
型番 手筋いろいろ 備考
●攻めの急所と守りの急所(第1型~第16型)
1 攻めの急所
2 守りの急所
3 攻めの急所
4 守りの急所
5 攻めの急所
6 守りの急所 黒1は緩手
7 攻めの急所 白1は不用意。白3愚形
8 守りの急所
9 攻めの急所 白ツギ方に困る
10 守りの急所
11 攻めの急所 三子の真ん中
12 守りの急所
13 攻めの急所 白の形をくずす
14 守りの急所
15 攻めの急所
16 守りの急所 黒1は緩手

●よい形と悪い形(第17型~第40型)
17 黒よい形
18 黒悪い形 アキ三角
19 黒よい形
20 黒悪い形 ダンゴ
21 黒よい形 白石が動けばシボる
22 黒悪い形 車のあと押しで重い
23 黒よい形 働きのあるカケツギ
24 黒悪い形 働きのないカタツギ
25 黒よい形 だまってカタツギ
26 黒悪い形 頭突き。石の重複
27 黒よい形 まず自陣を備えて
28 黒悪い形 白に4、6と利かされわずかの利。白好形。
29 黒よい形 白屈服
30 黒悪い形 お手伝い。白がよい形に
31 黒よい形 ケイマのツケコシ
32 黒悪い形 ケイマのツキ出し
33 黒よい形 外回り
34 黒悪い形 働きに乏しいダンゴ形
35 黒よい形 ネバリ
36 黒悪い形 陣笠。重くて働きに乏しい
37 黒よい形
38 黒悪い形 サカレ形
39 黒よい形 安定
40 黒悪い形 不安定

●筋のいろいろ(第41型~第106型)
41 ノビの筋
42 トビの筋
43 ハネの筋 二子の頭
44 二段バネの筋
45 オサエの筋 二子の頭
46 二段オサエの筋
47 ツギの筋 カタツギ
48 ツギの筋 カケツギ
49 ツギの筋 ケイマツギ。外に働き
50 ツギの筋 タケフ。他の石にひびかせる
51 コスミの筋 守りの形
52 コスミの筋 侵略。黒aなら白b
53 ゲタの筋
54 ゲタの筋
55 攻め合いに勝つ筋 以下白a黒b白c黒3白5黒dの石塔シボリで黒勝ち
56 シチョウの筋
57 a、b両ニラミの筋
58 二子にして捨てる筋 黒a、bなどが利き厚くなる
59 サバキの筋
60 カケてシボる筋 死に石の活用
61 カケてシボる筋
62 ツケの筋 形をくずす
63 ツケの筋 黒aと打つより大いに働く
64 急所にノゾく筋 形をくずす
65 急所にノゾく筋 いじめ
66 急所にノゾく筋 白受け方に困る
67 急所にせまる筋 いじめ
68 眼を取る筋 三目の真ん中。白死
69 トビツける筋 1でaは俗。モタレ戦法がよい
70 ハナヅケの筋 a、bを見合う
71 キリチガエの筋 かなめの白2子を取る
72 キリコミの筋 分断かシボリ
73 ツケコシの筋 外勢を得るaの筋もある
74 ツケコシの筋 攻め
75 ツケコシの筋 シノギ
76 ツケて取る筋
77 ツケて取る筋
78 ツケヒキの筋 大ヨセ
79 ハサミツケの筋 ヨセの大
80 切りの筋 先手のワタリ止め
81 切りの筋 手を伸ばし攻め合いに勝つ
82 オキの筋 切りかワタリか
83 オキの筋 ヨセの得
84 オキの筋 白aなら黒bで取れる
85 サガリの筋 攻め合いに勝つ
86 コスミツケの筋 白取られ
87 ワタリの筋
88 ワタリの筋
89 ハネの筋 ワタリ
90 ワリコミの筋 分断
91 ワリコミの筋 鶴の巣ごもり
92 ワリコミの筋 分断
93 アテ込みの筋
94 アテ込みの筋 黒はaのワタリかbの切りが打てる
95 追い落としの筋
96 オシツブシの筋
97 石の下の筋
98 コウにする筋
99 ナラビの筋
100 トビの筋
101 ホウリ込みの筋
102 左右同形の筋 生きの急所
103 アテてツグ筋 ツグ調子を求める
104 モタレの筋 白2で3なら黒a
105 封鎖の筋 ツケコシと切り筋のコンビ
106 ツケバネの筋 単に切る手、ツケコシ、二段バネと手筋の連続

第1章 目で覚える手筋いろいろ


第1章 目で覚える手筋いろいろ
●攻めの急所と守りの急所(第1型~第16型)
●よい形と悪い形(第17型~第40型)
●筋のいろいろ(第41型~第106型)

【31▼黒よい形】
(ケイマのツケコシ)

【32▼黒悪い形】
(ケイマのツキ出し)

【95▼追い落としの筋】

【96▼オシツブシの筋】

【97▼石の下の筋】(黒7(3))

【98▼コウにする筋】

【101▼ホウリ込みの筋】

【102▼左右同形の筋】(生きの急所)

【103▼アテてツグ筋】(ツグ調子を求める)

【104▼モタレの筋】(白2で3なら黒a)

【105▼封鎖の筋】(ツケコシと切り筋のコンビ)

【106▼ツケバネの筋】(単に切る手、ツケコシ、二段バネと手筋の連続)


「第2章 目で解く筋と形」


【同様の形が千変万化】
・プロとアマの碁の違いをひと口でいうと、プロの碁は芸が細かくて、アマの碁は考え方にムラがあること。
 たとえば、どうでもよさそうなツギ方一つをとってみても、プロは少しでも得をはかるよう全神経を集中して第一感を煮つめていく習慣があるように、あらゆる面で碁の内容が緻密にできている。
・このような背景のもとにできあがってきたのが、正しい手筋と形のお手本である。
・手筋の実戦応用の範囲は布石からヨセまでと広く、同じものでも、形をかえ、品をかえていろんな状態になって盤上に現われる。
 しかし、思ったほど手筋の種類というものは数は多くないので、ただ活用範囲が広いのと、同種の形がさまざまの変化を示すのは驚くばかりである。
・長い間の経験によって、形を一見しただけで、この形はどの筋で解けるか、急所がピンとひらめくようになるはずであるという。
 このカンは、その形に多くぶつかるほど正確度が高くなり、応用自在になる。
(原幸子編『手筋小事典』日本棋院、1993年[2019年版]、28頁)

「第2章 目で解く筋と形」の問題

「第2章 目で解く筋と形◎その1 ▼石のツギ方(1)」

【問題1 黒番】
≪棋譜≫(29頁の問題1)

・石のツギ方にもいろいろあるが、基本の心得が大切。
・黒の断点を、どう補うかがポイント。

【問題1 解答:カタツギ】
≪棋譜≫(30頁の1図)

・黒1とカタくツイでおくのが正着。
※この一手と心得よ。味がよい手。

【失敗:利かされ】
≪棋譜≫(30頁の2図)

・黒1とカケツぐのは、白2のノゾキを利かされて、不利になる恐れがある。
※黒1で2の方にカケツぐのも同様。

【参考:星の定石】
≪棋譜≫(30頁の3図)

☆問題図の成立手順を示しておく
・白1の打ち込みから13までと進行した形。
・黒a(5, 六)のツギによって、強力な厚みができる。
(原幸子編『手筋小事典』日本棋院、1993年[2019年版]、29頁~30頁)

「第2章 目で解く筋と形」


「第2章 目で解く筋と形◎その3 ▼石のワタリ方」

【問題9 黒番】
≪棋譜≫(37頁の問題9)
・隅の黒は仮死状態であるから、本体に連絡するより方法がない。
・白の弱点をどう突くか?

【問題9 解答:アテ込み】
≪棋譜≫(40頁の1図)
・黒1のアテから3のアテ込みが手筋。
※三角印の黒(4, 一)のサガリと呼応した鋭い感覚である。

【続き:切り札】
≪棋譜≫(40頁の2図)
※このアテ込みの手筋は時に実戦死活の切り札といってよいほどの威力を発揮する。
・白4なら黒5にサガって、白a(5, 一)と打てないのがポイント。

【失敗:コスミはアマの発想】
≪棋譜≫(40頁の3図)
・連絡方法を知らないで、黒1にコスむのがアマの発想。
※隅の出入りは二十目以上の大きさであるから、勝負あった!となるだろう。
(原幸子編『手筋小事典』日本棋院、1993年[2019年版]、37頁、40頁)

「第2章 目で解く筋と形」


「第2章 目で解く筋と形」の問題
「第2章 目で解く筋と形◎その4 ▼石の取り方」

【問題12 黒番】
≪棋譜≫(41頁の問題12)

・黒は切り結んだ白のカナメ石を取らないと、紛糾必至。
・簡単なアイデアによって、白を捕獲してほしい。

【問題12 解答:カケの筋】
≪棋譜≫(44頁の1図)
・黒1と切り、白2のとき黒3とカケる常用の筋で解決できる。
つづいて――
【続き:グルグルマワシ】
≪棋譜≫(44頁の2図)白10ツグ
・もし、白4以下脱出しようともがいてくれば、むろん黒5以下がヨミ筋で白を取ることができる。
※これは実戦で常に応用のきく筋である。

【参考:シャレた筋】
≪棋譜≫(44頁の3図)
・この形では黒1とカケて白2なら、さらに3とカケるシャレた筋もある。
・3のあと、白a(6, 五)以下符号順にもがいても、脱出は不可能。
(原幸子編『手筋小事典』日本棋院、1993年[2019年版]、41頁、44頁)

第2章 目で解く筋と形 その10石のしのぎ方 問題29


第2章 目で解く筋と形 
【その10石のしのぎ方 問題29】黒番
・白△にノゾいたところ。
 うっかり打つと大変なことになりそう。
・そこでシノギの名手筋を!

【1図】(ツケコシ)
・黒1のツケコシが自慢の手筋。
・以下黒5のとき、白6なら黒7で堂々の生き。

【2図】(中央に先着)
・前図白6と封鎖する手で、本図1の抜きなら、黒2と中央に先着できて、一安心。
※この先手を得ることができたのも、黒▲の手筋あればこそ。

【3図】(失敗)
・筋に暗いと大損する代表例。
・つまりすなおに黒1とツグのでは、白2を先手で利かされた上、白4と先着されて「アッ」というわけである。
(原幸子編『手筋小事典』日本棋院、1993年[2019年版]、65頁、67頁)

第2章 目で解く筋と形 その11定石問答(1)問題31


第2章 目で解く筋と形 その11定石問答(1)

その11定石問答(1)


【問題31 黒番】
≪棋譜≫(69頁)
①この形は、どんな手順で生まれたか。
②手筋は、A(3, 七)のハサミツケか、B(6, 六)のツケか?

<問題31 解答>
【1図:星の大ゲイマ定石の成立手順】
≪棋譜≫(70頁)
〇星の大ゲイマ定石
・白1のカカリから3と打ち込んで、以下白13まで。

【2図:ツケが手筋】
≪棋譜≫(70頁)
・黒1とツケて、a(6, 四)のキズを補っておくのが手筋。
・白2とハネれば、黒3とノビるのが正しく、7までが定石。
※白2でb(5, 七)なら、黒3が形。

【3図:ハサミツケるのは俗筋】
≪棋譜≫(70頁)
・黒1とハサミツけるのは俗筋。
・白2、4と抵抗する手段があって、黒がうまくいかないのがポイント。
・白10となって、黒感心しない形。
(原幸子編『手筋小事典』日本棋院、1993年[2019年版]、69頁~70頁)

その11定石問答(1)


【問題32 黒番】
≪棋譜≫(69頁)
①この形は、どんな手順で生まれたか。
②手筋は、A(8, 二)の切りか、B(7, 四)のツギか?

<問題32 解答>
【1図:定石の成立手順】
≪棋譜≫(71頁)
・白3のツケは古来よく打たれ、黒を凝らせようというのであるが、時に面白いであろうという。

【2図:ツギが手筋で正着】
≪棋譜≫(71頁)
・黒1とツグのが正着。
・白2のツギなら、黒3、5と隅を守る呼吸。
※白2でa(9, 三)のヒキは、黒b(6, 二)で十分。

【3図:切りは俗筋】
≪棋譜≫(71頁)
・黒1のアテから3とカカえる発想は、感心できないという。
※白は一子を捨て石に、6までと外勢が厚くなる。
(原幸子編『手筋小事典』日本棋院、1993年[2019年版]、69頁、71頁)

その11定石問答(1)


【問題33 黒番】
≪棋譜≫(69頁)
①この形は、どんな手順で生まれたか。
②手筋は、A(2, 六)の二段バネか、B(3, 六)のノビか?

<問題33 解答>
【1図:定石の成立手順】
≪棋譜≫(72頁)
・白3と隅を荒らそうという手法なら、黒4とこちらからオサえるのが常法。

【2図:二段バネが常用の手筋】
≪棋譜≫(72頁)
・黒1の二段バネが常用の手筋。
・すると黒7までのふりかわりが定石。
※黒は実利、白も好形で、まあまあのワカレ。

【3図:ノビは俗筋】
≪棋譜≫(72頁)
・黒1と平凡にノビるのは俗筋の代表。
・白2と打たれて、黒がさっぱり。
※前図の「二段バネおぼえて初段間近なり」が心得。
(原幸子編『手筋小事典』日本棋院、1993年[2019年版]、69頁、72頁)

第3章 手筋と俗筋


・筋と形は、戦いの中の急所であるから、碁を打つうえで最も大切な要素の一つである。
・自分の打った石の活力を有効に働かして、反対に敵の打った石の活力を制約するような手が手筋なら、手筋の石に隣接するような上下左右の四点は、たいてい筋違いの俗筋になる。
・悪い形の中にも、コリ形、裂かれ形、重い形など、いろいろあるが、俗筋、いも筋、筋ちがいの手を、一局ごとに指摘されて悩む人も多い。
 実戦によくできる形をテーマに、手筋と俗筋を比較しながら、研究するのが、この講座のねらいである。
◇どう打てば治まり形につくことができるか、石のサバキ方、一手で決まる急所の選択など、比較的基本となる問題をできるだけ豊富にとり入れた。
◇楽しく理解できるよう、問題形式にして、裏面に解説をつけた。
◇俗筋を卒業し、手筋に明るくなることが、上達への近道である。
(原幸子編『手筋小事典』日本棋院、1993年[2019年版]、92頁)

第3章 手筋と俗筋 その1 捨て石活用 問題1


【問題1】黒番
・上辺には白からAの打ち込みがねらいに残っている。
・白1とハネたとき、そのねらいを消す妙手順は?

【1図】(切り)
・白△のハネにaと応えずに、黒1の切りが鋭い手筋で、グッド・タイミング。
※捨て石の活用で、幸便にbの弱点を補強する発想が生れれば、高段の腕前。

【2図】(好手順)
・白2は当然。
・続いて黒3と二子にして捨てるところ。
・黒5のハネを利かすことによって、白からaの打ち込みを防ぐ手法に注目する。
・黒7、9まで理想の整形。

【3図】(打ち込み)
・白△のハネに、黒1と受ける定型は思慮のない応手。
・黒3と備えたとき、白4の打ち込みが厳しい。
・黒5はやむをえず、白6、8の目的達成で、上辺を破る。

第3章 手筋と俗筋 その5 攻めとサバキ 問題9


【問題9】黒番
・黒1、3と整形しつつ、攻めをねらうのは戦いのコツ。
・好形のように見える白に、実は欠陥がある。
 さて?

【1図】(オキ)
・黒1のオキがエグリの筋で、白の欠陥をついた。
・白2とさえぎったとき、黒3のツケが関連した筋。
※白aと打つ手がなく、しびれた形。

【2図】(攻勢)
・白はワタリを妨げることはできないから1、3であるが、黒の得た実利が大きい上に、黒4から6と打って攻めながら自陣を整備できる。
※実戦向きの手筋。

【3図】(調子)
・黒1に対し白2とコスミツけて受ければ、黒3、5とエグって、白はカケ眼。
※1の筋を知らず、黒aのコスミは白3の受けで、後の攻めは期待できない。
(原幸子編『手筋小事典』日本棋院、1993年[2019年版]、109頁~111頁)

第3章 手筋と俗筋 その7 好形の感覚 問題13


【問題13】黒番
・白が1とカタをついたのは消しの常法。
・黒2とオシ上げて白7まではよくできる形。
・上辺重視の黒の好形とは?

【1図】(好形)
・黒1とハズして打つのがピッタリした手筋。この一手でワタリ形になる。
・白2のツギなら、黒3とコスんで連絡する呼吸。
※白2でaならやはり黒3。
 黒は根拠も安定し好ましい姿。

【2図】(重い発想)
・平凡に黒1と切るのは俗筋の見本。
・白2のアテから4とオサエ込まれた形は大いに悪く、重複している上に、まだ全体も不安定。

【3図】(参考)
・黒1とカタく打つ手は悪手ではなく、局面次第では有力なこともある。
 ただし、本図では白aなどとツケられるのがいやらしいので、広く働きたい所。
(原幸子編『手筋小事典』日本棋院、1993年[2019年版]、117頁~119頁)

第3章 手筋と俗筋 その12 厚い打ち方 問題24


【問題24】黒番
・白1のツケは上手の用いるサバキの筋。
・黒6まで進んだとき、白7と紛糾を求める。
・さて、黒の正しい応接は?

【1図】(捨て石)
・黒1と上からオスのが正しい打ち方で、白2に切られたとき、格言「二子にして捨てよ」で、3がポイント。
※3でaは、白3とカカえられ、bの三々が残るから不満。

【2図】(シメツケ)
・黒1の意図は、白2以下を誘って先手のシメツケにある。
※二子を捨て石に築いた勢力はすばらしい。
・9のハサミに回れば、必勝の構図といえる。

【3図】(混戦)
・素直に黒1とツグ手では、白2とツケて黒3、白4などとサバかれ、黒がつらい。
※この形「ノゾキにツガぬ馬鹿はなし」の格言は失敗。
(原幸子編『手筋小事典』日本棋院、1993年[2019年版]、137頁、139頁~140頁)

第4章 実戦の手筋


【手順の大切さ】
・プロは石の形を日頃から研究しているから、愚形は打たないよう心がけている。
・中盤にできる「筋と形」は、まさに一局の運命を決める一手となるが、その急所を発見するカンは、形に対する鋭い眼力を養うことが条件になる。
・よく「力が強い」ということがいわれるが、力とは前後を考えずに、石を取りにいくことではない。むやみに打ち込んでいくことでもない。
 力とは、正しい観察力と、今一つには手筋の運用を知ることにある。
・碁は同じ手段を打っても、手順の前後で成功したり失敗したりするところから、「手順がよい」また「手順が悪い」とかいうが、「手順」を要約すると、定石とか手筋などの整理された形にみちびくための、最善のはこび、ということになる。
◇問題には、プロの実戦にできた素材からも多くとりいれたという。
◇むずかしい問題は、裏面の解説から、手筋の威力を味わってほしい。
(原幸子編『手筋小事典』日本棋院、1993年[2019年版]、150頁)

第4章 実戦の手筋 その4 サバキと攻めの原則 問題7


【問題7】黒番
・上辺を黒がどうサバくかが焦点。
※相手の石にもたれ、利き筋を最大に活用するのが、サバキの原則。
・さて?

【1図】(ツケ)
・黒1、白2から黒3のツケが筋。
※これで二子のトリと隅の荒らしを見合いにする。

【2図】(隅で利)
・前図白4なら黒1のハサミツケがこの形の手筋。
・白2なら黒3以下9までと隅を食い破り、黒大成功。
※黒1で2は白1で不十分。

【3図】(治まり形)
・前図は白つらいから、黒1には白2と受けるくらい。
・黒3ワタリに、隅を重視するときは白4から切るが、9まで黒十分のサバキ。

【4図】(両にらみ)
・黒3のとき、白4と隅を守れば、黒5が成立し、二子を取ることができる。
※つまり、3の手筋は、aと5を両にらみしている。

【5図】(しぼりの筋)
・白4とマガってくれば、黒5とオサえ、白6切りに7、9とシボって打つ。
・白10ツギに、黒11から15と突破して、黒大成功。

【6図】(重いサバキ)
・黒1、3と決めるのは俗手の見本。
・白6までを想定すると、白の軽快な姿に比べ、黒の重いサバキが目立つ。
※発想の転換が大切。
(原幸子編『手筋小事典』日本棋院、1993年[2019年版]、163頁~165頁)

第4章 実戦の手筋 その18 名サバキ 問題36


【問題36】黒番
・サバキの巧拙は、局面の流れを左右するので、どうしても手筋がものをいう。
・黒の巧みなサバキは?

【1図】(手筋)
・黒1とアテ、白2ノビを誘って、黒3とカケるのがサバキの手筋。

【2図】(理想形)
・つづいて、白4には黒5とノビるのがポイント。
・白6をまって、黒7とシボるのが主眼で、黒11までは白の愚形、黒の理想形。

【3図】(白好形)
・黒1のツケを先にして3とカカえれば、白一子を取ることはできるが、白4,6と左右を打つことになって、白の不満のない形。

【4図】(無理形)
・「キリチガイ一方ノビよ」で1と打つ手も考えられるが、白2の動きとなって、むずかしい戦い。
・白aのねらいも厳しくなる。

【5図】(黒苦戦)
・手強く黒1とノビるのは、白2のコスミで戦い。
・いずれにしても隅の黒がニラまれて、苦しい姿。
※2図との差に注目。

【6図】(俗手)
・黒1のトビで脱出を図るのは俗手。
・白2が厳しい反発で、戦いになり、正解図にくらべると、混戦になる。
(原幸子編『手筋小事典』日本棋院、1993年[2019年版]、227頁、231頁~232頁)

第4章 実戦の手筋 その19 利き筋のあやつり方 問題37


【問題37】黒番
・黒▲を活用するいろいろの利き筋をみて、黒1と大技をかけたところ、白はまんまと2から4とワナにはまってきた。あとをきめてほしい。

【1図】(アテからツケ)
・「サバキはツケから」とよくいわれるが、問題図につづいて、黒1のアテから2のハナヅケが眼目の手筋。
※この3の点は利き筋のひとつ。
・ここに石がきたので、白がもし4とノビれば、

【2図】(白ツブレ)
・黒5から7と打って、見事に白六子を取る。
・白aに黒bで黒▲がカケツギの役目。

【3図】(構想)
・黒1のツケに白2と変化すれば、やはり黒3のアテからもっていく呼吸がポイント。
・白4のとき、黒5のツケが好手で、すると黒11までは一本道。
※1図の仕掛けがものをいって、絵に描いたように白三子を打ち抜く。
 手筋と捨て石活用の妙である。

【4図】(利き筋)
※この定石は黒aから攻め取るぐあいで、黒bからgまで、このへんがすべて利きになっていることに注意すべきである。

【5図】(シボリ)
・例えば、黒▲に石がくると、白は手抜きはできない。
・常に黒1以下のねらいが伏線になっているからで、白2の動き出しもこの場合は、黒3以下シボリの筋でシチョウになる。
・であるから、利き筋に石がきたら、白は1の点に用心が大切。

【6図】(大味)
・黒1、3と無造作に決めてしまうのは、味がない。
(原幸子編『手筋小事典』日本棋院、1993年[2019年版]、233頁~236頁)

【補足】隅の死活~『死活小事典』より


「第1章 隅の死活」
【第7型 白番】
≪棋譜≫(17頁)

・白は無条件で生きなければいけない。
・不安のない形をつくるには、どこが急所か。

【第7型・白先白生き】
【1図正解:白のカケツギ】
≪棋譜≫(18頁の1図)
・白1のカケツギが正着。
※これで黒がどう攻めてきたとしても、無条件で生きることができる。

【2図白生き】
≪棋譜≫(18頁の2図)
・前図のあと、黒1のツケには白2のハネから、4、6で完全な二眼。

【3図変化:オシツブシの生き】
≪棋譜≫(18頁の3図)
・黒1のオキからくる手には、ちょっと注意が必要。
・黒3とサガったとき、白4にホウリ込むのが肝要で、白6までオシツブシの生き。
※黒a(16, 十九)には白b(17, 十八)にツイで不安はない。
(日本棋院編『死活小事典』日本棋院、1993年[2008年版]、17頁~18頁)

【第8型 黒番】
≪棋譜≫(17頁)
・前型から、白が三角印の白(16, 十九)にサガった形。
・これなら黒は無条件に殺すことができる。
⇒黒1、3の手順が大切。

【第8型・黒生白死】
【1図正解:黒のオキ】
≪棋譜≫(19頁の1図)
・黒1のオキがこの形の急所。
・白2の受けなら黒3と外ダメをつめていて、もう白に打つ手はない。

【2図隅のマガリ四目】
≪棋譜≫(19頁の2図)
・前図のあと、白が三角印の白(17, 十八)にツイだとしても、黒は放っておいてかまわない。
・白1、3と広げてきても、黒4とハネれば、隅のマガリ四目の形であるから白死。

【3図失敗】
≪棋譜≫(19頁の3図)
・黒1のツケでは筋ちがい。
・白2が急所になり、4までは白生きの形。
(日本棋院編『死活小事典』日本棋院、1993年[2008年版]、17頁、19頁)


【第9型 黒番】
≪棋譜≫(17頁)
・三角印の白(18, 十六)と黒(18, 十五)の交換はダメヅマリの悪手。
・手順よく攻められば、コウにすることができる。

【第9型・黒先コウ】
【1図正解:黒のオキ】
≪棋譜≫(20頁の1図)
・三角印の白と黒の交換があるときは、黒1のオキが急所になる。
・白2で生きているようだが、黒3とサガれば、黒のダメヅマリが露呈する。

つづいて、
【2図コウ】
≪棋譜≫(20頁の2図)
・白1には黒2。
※このあと白a(17, 十八)でもb(19, 十七)でもコウは避けられない。

【3図外ダメの差】
≪棋譜≫(20頁の3図)
・前々型のように、白a(18, 十六)、黒b(18, 十五)の交換がなければ、黒5のアテに白6とツイで8までのオシツブシ。
※本型では白は8とは打てない。
(日本棋院編『死活小事典』日本棋院、1993年[2008年版]、17頁、20頁)

【補足】手筋としてのツケ~ケイマと二間ビラキのスキをつく~You Tube「戦いの極意」より


 冒頭に紹介したように、原幸子氏はYou Tube「戦いの極意」(囲碁学校:石倉昇八段[当時])のアシスタントを務めていた。
〇You Tube「戦いの極意」
 第1巻 攻め     (2018年5月21日付)
 第2巻 ツケ     (2018年5月29日付)
 第3巻 打込みと消し (2018年6月3日付)
 第4巻 中央の打ち方 (2018年6月25日付)
 第5巻 捨て石とコウ (2018年7月9日付)
 第6巻 味を残す打ち方(2018年7月23日付)

石倉昇氏は、「戦いの極意第2巻ツケ」(2018年5月29日付)において、手筋としてのツケとして、ケイマと二間ビラキのスキをついて、荒らす手(黒1)を紹介している。
(1時間02分~1時間11分あたり)

≪棋譜≫ケイマと二間ビラキのスキ~「戦いの極意第2巻ツケ」

【変化1】黒が捨て石を使って隅で得~「戦いの極意第2巻ツケ」

【変化2】上辺で黒が荒らし生きる~「戦いの極意第2巻ツケ」





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