≪板六の死活問題~『新・早わかり格言小事典』より≫
(2021年8月29日)
今回のブログでは、日本棋院から出版されている工藤紀夫編『新・早わかり格言小事典 役に立つ囲碁の法則』(日本棋院、1994年[2007年版])に見える「板六の死活問題」について解説してみたい。
【『新・早わかり格言小事典 役に立つ囲碁の法則』日本棋院はこちらから】
新 早わかり格言小事典―役に立つ囲碁の法則
さて、今回の執筆項目は次のようになる。
「板六は生き」
・ただ単に「板六」と言った場合は、辺の6目形をさす。
(ほかに、「クシ六」「隅の板六」と似かよった形がある。それぞれの項を参照のこと)
【板六の形】
≪棋譜≫
棋譜再生
☆この黒の形が「板六」である。
・ダメは空いていても構わない。黒の内側がこのような6目になっていれば、そう呼ぶ。
・「板六は生き」というのだから、黒はこのままで生きている。
≪棋譜≫
棋譜再生
・白が攻めるとすれば、1あるいは2だが、1には黒2で、白2には黒1で生きている。つまり、この二点が見合いである。
【板六の形でない場合】
≪棋譜≫
棋譜再生
・「板六」ではない。
・右上の角の黒石が欠けているからである。手抜きは白1、3の死。
(工藤紀夫編『新・早わかり格言小事典 役に立つ囲碁の法則』日本棋院、1994年[2007年版]、30頁)
※通常「板六」といえば、辺のものを指す。それは生きである。
「隅の板六」は一概に言えないようだ。
ここでは「隅の板六は死に」と断定しているが、この言い方は誤解を招きやすく、問題であるという。つまり、「死」はあるケースに限って言っているからである。
〇ゴロの悪さを無視して、正しくいうと、「辺の板六は生きだが、隅の板六は、生きたり、死んだり、コウになったり」であるとする。
なんだか、何でも有りみたいであるが、実際にそうなのだから仕方がない。
☆その運命を分けるのは、外ダメの空き具合である。
【外ダメが二つの場合(三つ以上も同じ)】
≪棋譜≫
棋譜再生
【外ダメがひとつの場合】
≪棋譜≫
棋譜再生
【ダメなしの場合】
≪棋譜≫
棋譜再生
⇒端的に言ってしまえば、外ダメが二つ以上の場合は生き、外ダメがひとつの場合はコウ、ダメなしの場合は死となる。
☆では、どういう手順でそうなるか?
(外ダメに注意して、読み切ると次のようになる)
【ダメが二つ以上の場合】
≪棋譜≫
棋譜再生
・ダメが二つあるからこそのオシツブシである。生き。
(黒2なら白1で、黒2の両側が見合い)
【ダメがひとつの場合】
≪棋譜≫
・黒1のオキが正しい攻めで、5までコウ。
棋譜再生
【外ダメがすべてつまった場合】
≪棋譜≫
棋譜再生
・ダメアキの形では失敗になっていた黒1ツケが、こんどは正しい。
ダメヅマリのため、白は黒1の右に打つことができない。
(このケースで黒2のオキは失敗でコウ)
(工藤紀夫編『新・早わかり格言小事典 役に立つ囲碁の法則』日本棋院、1994年[2007年版]、115頁~116頁)
【クシ六(クシ形)の場合】
≪棋譜≫
棋譜再生
・クシ(櫛)形である。
この形は手を抜いても、このままで生きている。
・黒A(5, 十八)には白B(5, 十九)、黒B(5, 十九)には白A(5, 十八)。つまり、AとBが見合いである。
(工藤紀夫編『新・早わかり格言小事典 役に立つ囲碁の法則』日本棋院、1994年[2007年版]、65頁)
(2021年8月29日)
【はじめに】
今回のブログでは、日本棋院から出版されている工藤紀夫編『新・早わかり格言小事典 役に立つ囲碁の法則』(日本棋院、1994年[2007年版])に見える「板六の死活問題」について解説してみたい。
【『新・早わかり格言小事典 役に立つ囲碁の法則』日本棋院はこちらから】
新 早わかり格言小事典―役に立つ囲碁の法則
さて、今回の執筆項目は次のようになる。
・はじめに
・「板六は生き」
・「隅の板六は死に、辺の板六は生き」
・「クシ六(クシ形)は生き」
「板六は生き」
「板六は生き」
・ただ単に「板六」と言った場合は、辺の6目形をさす。
(ほかに、「クシ六」「隅の板六」と似かよった形がある。それぞれの項を参照のこと)
【板六の形】
≪棋譜≫
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☆この黒の形が「板六」である。
・ダメは空いていても構わない。黒の内側がこのような6目になっていれば、そう呼ぶ。
・「板六は生き」というのだから、黒はこのままで生きている。
≪棋譜≫
棋譜再生
・白が攻めるとすれば、1あるいは2だが、1には黒2で、白2には黒1で生きている。つまり、この二点が見合いである。
【板六の形でない場合】
≪棋譜≫
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・「板六」ではない。
・右上の角の黒石が欠けているからである。手抜きは白1、3の死。
(工藤紀夫編『新・早わかり格言小事典 役に立つ囲碁の法則』日本棋院、1994年[2007年版]、30頁)
「隅の板六は死に、辺の板六は生き」
※通常「板六」といえば、辺のものを指す。それは生きである。
「隅の板六」は一概に言えないようだ。
ここでは「隅の板六は死に」と断定しているが、この言い方は誤解を招きやすく、問題であるという。つまり、「死」はあるケースに限って言っているからである。
〇ゴロの悪さを無視して、正しくいうと、「辺の板六は生きだが、隅の板六は、生きたり、死んだり、コウになったり」であるとする。
なんだか、何でも有りみたいであるが、実際にそうなのだから仕方がない。
☆その運命を分けるのは、外ダメの空き具合である。
【外ダメが二つの場合(三つ以上も同じ)】
≪棋譜≫
棋譜再生
【外ダメがひとつの場合】
≪棋譜≫
棋譜再生
【ダメなしの場合】
≪棋譜≫
棋譜再生
⇒端的に言ってしまえば、外ダメが二つ以上の場合は生き、外ダメがひとつの場合はコウ、ダメなしの場合は死となる。
☆では、どういう手順でそうなるか?
(外ダメに注意して、読み切ると次のようになる)
【ダメが二つ以上の場合】
≪棋譜≫
棋譜再生
・ダメが二つあるからこそのオシツブシである。生き。
(黒2なら白1で、黒2の両側が見合い)
【ダメがひとつの場合】
≪棋譜≫
・黒1のオキが正しい攻めで、5までコウ。
棋譜再生
【外ダメがすべてつまった場合】
≪棋譜≫
棋譜再生
・ダメアキの形では失敗になっていた黒1ツケが、こんどは正しい。
ダメヅマリのため、白は黒1の右に打つことができない。
(このケースで黒2のオキは失敗でコウ)
(工藤紀夫編『新・早わかり格言小事典 役に立つ囲碁の法則』日本棋院、1994年[2007年版]、115頁~116頁)
「クシ六(クシ形)は生き」
【クシ六(クシ形)の場合】
≪棋譜≫
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・クシ(櫛)形である。
この形は手を抜いても、このままで生きている。
・黒A(5, 十八)には白B(5, 十九)、黒B(5, 十九)には白A(5, 十八)。つまり、AとBが見合いである。
(工藤紀夫編『新・早わかり格言小事典 役に立つ囲碁の法則』日本棋院、1994年[2007年版]、65頁)
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