徒然映画日記。

食わず嫌いは卒業し何でも観よう。思い切りネタバレありの「観た帳」です。

犬神家の一族

2008年07月05日 | ★★★★





犬神家の一族
おすすめ度
製作:1976年 日本
製作:角川春樹 市川喜一
監督:市川崑
原作:横溝正史
脚本:長田紀生 日高真也 市川崑
出演:石坂浩二 高峰三枝子 三条美紀 草笛光子 あおい輝彦 地井武男 川口晶 川口恒 金田龍之介 小林昭二 島田陽子 坂口良子 小沢栄太郎 加藤武 大滝秀治
キャッチコピー:金田一さん事件です!

横溝正史の同名小説を映画化した市川崑監督の「犬神家の一族」です。2006年にリメイクされた作品を観る前に復習の意を込めて、1976年バージョンです。

犬神財閥の創始者、犬神佐兵衛(三國連太郎)は、自分の死後の惨劇を予期したかのような不可解な遺言状を残して他界します。犬神家の顧問弁護士、古館恭三(小沢栄太郎)の助手、若林は、金田一耕肋(石坂浩二)に助力を得るために呼び寄せますが、金田一と顔を合わさない内に、何者かに毒入り煙草で殺害されてしまいます。佐兵衛は生涯妻子を持たず、松子(高峰三枝子)、竹子(三条美紀)、梅子(草笛光子)という腹違いの三人の娘があり、松子には佐清(あおい輝彦)、竹子には佐武(地井武男)と小夜子、梅子には佐智(川口恒 )という息子がいます。そして、犬神家には佐兵衛が事業の成功を手助けした大恩人である野々宮大式の孫娘、珠世(島田陽子)も住んでいます。問題の遺言状は佐清の復員を待って公開されることになっていましたが、戦争で顔を負傷した佐清は、仮面をかぶって一族の前に現われました。遺言状の内容は、犬神家の全財産と全事業の相続権を意味する三種の家宝、斧(よき)、琴、菊を佐清、佐武、佐智のいずれかと結婚することを条件に、珠世に譲渡する、というものでした。

子どもの頃、何度かテレビで観ていた1976年版。ただただおどろおどろしい印象しか残ってない…(呆)。って事でこの度久しぶりに観ました。今回観て改めて思ったんですが、初めて観た時はストーリーを殆ど理解出来てなかったんじゃないかと…。主要登場人物が多いし、その相関も今観てもなかなかややこしい。内容も結構「大人」だし(笑)。

とりあえず感想は

脚本も、キャストも、演出も。どれをとっても無気味で怖い!よく出来た作品だな〜。フラッシュバックやスローモーションを効果的に取り入れたり、回想シーンにモノクロ画像の挿入するなど市川監督らしい実験的でスタイリッシュな映像は素晴らしく、とっても見応えがあります。



犬神佐兵衛。
揉め事を作った諸悪の根源はこの人。
生涯正妻をもたず、女を取っ替え引っ換え。
やりたい放題。
しかも死んでからもまた揉ます揉ます。



改めて一族が集まり「遺言書」の発表です。
みんな自分が幾ら貰えるのか??と固唾を飲んで見守ります。
でも、でも、でも、でも!弁護士が発表したのは驚愕の内容。
「珠世が3ヶ月以内に佐清、佐武、佐智のうちのいずれかと結婚すれば全財産を相続する。珠世が死去などにより、相続しない場合は佐清、佐武、佐智が1/5ずつ、青沼静馬が2/5…。」
そりゃ死人も出るって話です。
こわいこわい。



出ました!佐清!
怖いですね〜。このマスク。
市川監督の佐清マスクは気合いが入っています。



ヒロイン珠子は島田陽子。
あーかわいらしい。



珠子の後ろに猿蔵あり。
土ワイの悦っちゃんみたいです。
こわいこわい。



菊人形に据えられた生首の胴体(佐武)。
湖にぷっかと浮かんでます。




この手形。
戦争に行く前に神社に奉納された佐清の手型。
こういう「小道具」がいちいち不気味です。



若き日の佐兵衛の「過ち」が子や孫の世代の運命まで変えてしまいます。


激しい情念を燃やす一族の姿が愚かで悲しい。人間の心の中に潜むどろどろした感情や闇がとてもよく表現されています。そんな息が詰まるような緊張感と、事件の行方を見守る(?)金田一耕助のどこかとぼけた雰囲気の緩急も絶妙で良いですねえ。湿度の高い邦画らしい邦画だなあ。こういう濃い愛憎劇、大好きです。

犬神家の一族@映画生活
前田有一の超映画批評



にほんブログ村 映画ブログへ