徒然映画日記。

食わず嫌いは卒業し何でも観よう。思い切りネタバレありの「観た帳」です。

春のめざめ

2008年07月12日 | ★★★★




春のめざめ
おすすめ度
原題:Моя любовь 「わが恋」
製作:2006年 ロシア
製作:ドミトリー・ユルコフ コンスタンチン・エルンスト 三浦啓一 吉村隆
原作:イワン・シメリョフ
監督・脚本:アレクサンドル・ペトロフ
キャッチコピー:恋をする。16才の少年アントンが好きになった相手は、同じ年頃の少女パーシャと、そして、もうひとり…25才のセラフィーマ。

ロシアのとある町。貴族学校に通う16歳の少年アントンは、ツルゲーネフの「初恋」を読み、物語の主人公ジナイーダに夢中です。たびたび夢想に浸り、勉強も手に付きません。彼の家に住み込みで働く少女パーシャは、そんなアントンにひそかに恋心を抱いています。それに気づいた彼は、パーシャとの愛の行方を想像し、二人の間に本物の愛があれば何の支障もないと考えるのでした。しかし、同級生のジェーニカは「パーシャは、雑巾の女神。恋愛の対象になるような女ではない」とばっさり。アントンはそんな彼の言葉にいとも簡単に動揺してしまうのでした。そんな時、アントンは、隣の家に引っ越してきた美しい令嬢セラフィーマに出会います。

とことんこだわり抜いた職人気質なこの作品はまさに大人の為のアニメーション!思春期の少年の初恋と成長を描いた本作は、彼の揺れ動く気持ちがアレクサンドル・ペトロフの美しい映像により見事に表現されています。こんな絵画的なアニメーションは今まで観た事がありませんでした。微妙な色調を変化させる光と影はまるでモネの絵のようです。


少年と大人との間で揺れる16歳のアントン。
その表情にはまだあどけなさが残っています。


アントンは、ツルゲーネフの「初恋」を読み、すっかり物語の主人公に夢中に。
暇さえあれば物語の世界の中に自分を投影しています。


住み込みで働く少女パーシャ。
アントンに恋をしてすっかり綺麗になってきました。


アントンはパーシャこっそりガラスの小鳥をプレゼントします。
恋に恋するアントンは彼女の気持ちに気付き
早速彼女との恋愛をシュミレーション。


「生い立ちの違いなんて関係ない!」
そう思ったアントンは、友人ジェーニカに自分の熱い気持ちを訴えます。
ところが、友人からはシニカルな答えが…。


隣に引っ越してきたミステリアスな美女、セラフィーマ。
パーシャにちょっかいを出しながらも
大人の魅力溢れるセラフィーマにも興味津々。


おっと!ご近所の牧夫の嫁に迫られてます!
アントンってばモテモテですねっ。



この後、愛憎渦巻く大人の世界を垣間見る事になるアントン。
若いからか、男だからかは分かりませんが、アントンはイタイ失敗を何度かやらかします。そういうしょっぱい思いをしながら(させながら)少しづつ大人の階段を登っていく訳ですね。

冒頭にも書きましたが、繊細なタッチの絵が織り成す世界観と思春期特有の「ゆらぎ感」が素晴らしく調和しています。30分に満たない短い作品ですが、当時の生活が伺える描写もとても興味深く、印象に残るシーンがとにかく多い!観終わってすぐにもう一度観たくなる、そんな作品でした。



春のめざめ@映画生活
前田有一の超映画批評




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