まかろんのお茶会

日々の小さなことを詩モドキにしてます。
皆さまのお茶菓子代わりに楽しんでもらえたら嬉しいです。

新作 : 「乱櫻鬼譚 ~ カミ咲けるヒト」その16

2014-03-28 21:24:04 | 「乱櫻鬼譚~」 2014桜
春分過ぎてから、急に暖かくなりましたね。

この勢いで、何とか春気分を乗せてお届けできると良いのですが・・・

週末に期待です。

どうぞ、楽しい週末をお過ごしください♪


2014年3月21日~ブログ直接投稿 「乱櫻鬼譚 ~ カミ咲けるヒト」その16

  ナヲキさんは 厨房に飛び込んだ
  もう来ていた 他の人たちが驚いて
  異様な顔つきの ナヲキさんを見た
  けど ナヲキさんは構ってられなかった
  何かせずには いられなかった

<つづき>

ナヲキさんは 改めて
ケーキ作りに 打ち込んだ
一瞬でも 止まってられなかった
どす黒い何かを 振りはらうように
ただただ 手を動かしつづけた

その日も 朝からどんよりしていた
数日前に雪が降り それから
連日 小雨がぱらついていた
大雪になるでしょう と予報は言ってた
できるだけ 外出はお控えください

ナヲキさんは独りで 厨房にいた
早めに上がっていいですか
と スタッフたちが言ってきていた
好きにしろ とナヲキさんは言った
人と話すのも わずらわしかった

カランカランと ドアのベルが鳴った
誰だろう とナヲキさんは思った
少し待っても 誰も応対する様子がない
舌打ちしながら 厨房を出た
クローズの札を 誰か出し忘れたな

そこにいたのは 旧知の女性
死んだ父親の代に この店で働いてた
派手ではないけど 優しくて着実
その笑顔のような 味を出していた
久しぶり と笑っていた

いらっしゃい とナヲキさんは笑った
久方ぶりに 笑った気がした
今日は・・・ああバースデイケーキだね
そう と女性が照れ笑いをした
ウチのオーブン 壊れちゃってー

<つづく>

人気ブログランキング ※本作品の内容・名称は全て個人の創作・フィクションであり、 実在の個人・法人・企業等とは、全く一切関係ありません。


※変更:2016年1月9日
死んだ父親の代に この店で働いていた → ~ この店で働いてた
その笑顔のような 味を出してた → ~ 味を出していた

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新作 : 「乱櫻鬼譚 ~ カミ咲けるヒト」その15

2014-03-28 21:18:31 | 「乱櫻鬼譚~」 2014桜
ども、お今晩は~。
皆さま今週はいかがお過ごしでしたか。

本作品、ジツはまだ書き終わってないのですが、
創作って孤独なものだなー、と最近思ったりします。

いや、独りで寂しい、とかそーゆー意味じゃなくてですね。

どんなに人が助けてくれても、アドバイスとかくれても、最後は独り、というか
「何が自分の作品にとって最も適切なのか」は自分にしか分からないし、
見出せるのは自分しかいない、んだなぁ、って思うのです。

これ、創作に限らず、スポーツとか他の分野でもそうですよね。

というわけで、裡にあるはずのまかろんの「書きたいこと」、
早く外に出て!お願い!!

さ、続きでーす。


2014年3月21日~ブログ直接投稿 「乱櫻鬼譚 ~ カミ咲けるヒト」その15

  他人を踏みつけたって 構わない
  ごうごうと 幾千幾万の声が合唱した
  やらなきゃやられる 周りは敵だ
  利用しろ ぶっつぶせ
  俺の私の 場所を空けろ守らなきゃ

<つづき>

怒号が 暗い炎を上げていた
桜はその中で 誇らしげに枝を伸ばし
炎から飛ぶ火の粉を 一輪
また一輪と 花と変えて
つややかに その身を装っていた

黒い太陽のような 火の桜に
蛇は するすると近づいていた
その白い背中は 黒い炎の前で
あまりにも小さく 頼りなく見えた
ナヲキさんは 首に手をやった

冷たく 決して感じは良くなかったけど
離れた今 妙に首が寒かった
大事な何かが 転がり落ちて
今それが 永久に喪われていく
そんな気がした

ナオキさんは 頭を振った
俺には関係ない と目をつぶって思った
俺は ただのパティシエで
俺の使命は ケーキを作ることで
俺はきちんと 役目を果たしてる

俺は・・・ とナヲキさんは
店に向かって 駆けだした
俺は 俺の仕事を果たさなきゃ
もう振り返らなかった 背後の気配にも
雪が ちらちら舞いだした

ナヲキさんは 厨房に飛び込んだ
もう来ていた 他の人たちが驚いて
異様な顔つきの ナヲキさんを見た
けど ナヲキさんは構ってられなかった
何かせずには いられなかった

<つづく>

人気ブログランキング ※本作品の内容・名称は全て個人の創作・フィクションであり、 実在の個人・法人・企業等とは、全く一切関係ありません。

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