新作 ～ 「妖精の結婚式」 その７２

続きでーす。


2014年6月10日～ブログ直接投稿　「妖精の結婚式」　その７２

　　ええ　と雨呼ビが言った
　　ここの方が・・毎年振舞ってくれて・・
　　雨呼ビは　梅がころんと転がるビンを
　　しんみりと　見つめた
　　今年また　お目にかかるとは・・・

＜つづき＞

ウメシュって何？！　と虫喰ライが騒いだ
いま君が口にしちゃいけないものだ
と　雨呼ビがきっぱり言った
体が弱って　練習にならなくなるからな
一なめでもしたら　小笛は君にやってもらうぞ

虫喰ライは　震えあがって口を閉じた
ウメシュというと・・　と石護リが言った
あのウメシュかね？　確かに今はまずいのぉ
ああ貴方は・・　と雨呼ビが言った
前にも参加されてたんでしたっけ

うむ　と石護リは言った
あれは　すこぶる愉快じゃった
旦那方の残りで　皆で呑んだんじゃが
それ　あの川べりに集まってな
石護リは　にやりと笑った

お前さんの親父さんは　女の子に
良い顔しようと　溺れかけての
雨呼ビは　恥ずかしそうにまばたいた
ちなみにその子が　お袋さんじゃが
と石護リは　楽しそうに続けた

あーそんな話　母から聞いた気が・・
しかし父は正反対の事を　言ってまして
と雨呼ビは　もごもご言った
良い想い出じゃよ　と石護リは言った
奴は　良いふぃどる弾きじゃった

はい・・　と雨呼ビは返した
そういうわけで　と石護リは言った
今はわしらも　呑まん方がええじゃろな
ビンの口から　中身をクンとかいだ
うむ　美味そうな匂いじゃ


＜つづく＞



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