
道尾さんの本もそれなりに読んできたつもりでしたが、まだこんなに面白い本を見逃していたとは

という感じでした。
「本格ミステリ大賞」を受賞した作品です。
母親を病気で亡くしたばかりの少年凰介。
その傷がまだ深いうちに、次々と不幸な事が襲い掛かってきます。
家族ぐるみで仲良くしていた少女亜紀の母親が自殺。
亜紀自身も事故にあって怪我をしてしまいます。
さらに、精神医学の医者である、凰介の父親の様子がなんだかおかしくなってきて・・・
そこから衝撃のラストまで、だれる事なく一気に読めてしまいました。
読んでいる間中ずっと、道尾さんの巧みな文章に翻弄されまくりでした。
凰介と亜紀の二人がすごく良い味出しています。
まだ子供の二人にはあまりにも重い現実が、次々とあきらかになっていきますが、二人とも正面から真面目に誠実に立ち向かっていこうとします。
特に凰介の、その強さに憧れます。
もちろん最初から強いわけじゃなくて、試練を乗り越えて強くなっていくんですが、真実を知ることを恐れず突き進む凰介が格好良かったです。
逆に周りの大人達の方が・・・
いえ、大人だからこそ余計に、簡単にもろく崩れていってしまうのが、とても切なかったです。
様々に張り巡らされた伏線が道尾さんらしいですが、最後に全てがつながった時の感動は、何回味わってもたまりませんね

あとがきで、道尾さんは「人間」を描くためにミステリという手法を取っている。と紹介されていましたが、なるほどなぁと思いました。
そうなんですよね。優れたミステリーって、人間ドラマを描いているんですよね~
あっと驚くトリック+深い人間模様
ミステリーが二重三重に面白い訳ですね

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次は米澤穂信さんの「犬はどこだ」を読みます。
この本、2010年の「このミス」作家別獲得票1位だったらしいですね

米澤さんは「ボトルネック」しか読んだ事がないんですが、なかなか面白そうな作家さんだなと思っていたので楽しみです。
米澤さんの「折れた竜骨」という本もおもしろそうなんですよね・・・
いつか読まなきゃ。
ハードカバーなのがちょと辛いんですが。