Netflixで見る映画に立て続けに二本も「選ばれし人」が登場した。そして「選ばれし人」は何をしても許されるというセリフが飛び出した。「ザ・ファミリー 大国に潜む原理主義」と「the chosen one 選ばれし人」だ。
脳裏にカラマゾフの兄弟の次男イワンが浮かんだ。イワンも同じセリフを吐いている。そしてドストエフスキーはイワンの狂死を暗示している。
キリスト教の原理主義の思想と危険性をドストエフスキーはすでに示していたということになる。恐るべき予見性だ。
イワンとスメルジャコフの会話。イワンの言動がスメルジャコフに影響を与え、それが、イワンの罪として認識される瞬間を描く。理性はイワンの深い良心に勝てないことを作者は言いたいのだろうか。
「あのころは、いつも大胆でいらしたのに。(すべては許されている)とかおっしゃって。なのに、今はもうすっかり怯えきって!」p322
イワンの説である「賢い人はすべてがゆるされている」の説明。すべてがゆるされているのも今後1千年間と期間限定、暫定的であることが強調されている。