昨日のガイアの夜明けでは、日本の外食産業のトレンドを紹介していた。はやらない店の立て直しをするコンサルタントの活躍と、外国有名レストランの誘致に活躍するサラリーマンを中心に構成されている。
広島の居酒屋でのシーンでは、50坪なら月商2000万円の売り上げを上げなければと叱咤されている。坪あたり40万円の売り上げか。そうすると坪あたり毎日平均して3,4万円を売り上げなければならない。これはかなり厳しい水準だ。いつも満員にしないと無理だろう。
この店ではさらに、壁にはってあるお品がきにも注意が与えられている。パソコンでメニューとお代が書いてあるのを、手書きにするよう注意されている。この店の場合、韓国ではやっている焼肉店の導入で話が落ち着いたが、番組構成を面白く作りすぎているなと感じた。居酒屋だってはやっている店を多く知っている。この番組をみていると、なんだか日本中の古くからの外食産業が廃れてきている印象だ。
もう一方の外国の有名店を呼び寄せる方は、「本物を導入する」と盛んに強調していた。形だけ外国のものを真似した店が多いが客はこない、飽きられる。それより外国の老舗をそのまま日本の一等地に開店させようとするプロジェクトだ。
日本人は食に保守的だ、いや世界中の人々が食は保守的だ。食べなれたものでおいしいものを好む。日本料理店が海外でブームになりつつあるが、大都市の中に数件ある程度で、圧倒的に多いのは地元系レストランだ。
さらに言えば日本人は、宗教でも、建築でも、日本人に合った様式に変えてしまう。食事も、牛肉が入ってきたときには、すき焼きや牛丼、しゃぶしゃぶにして、和風にして食った。もちろんステーキも定着したが、いまだ他に比べて頻度は少ないだろう。外国レストランも適正水準の数におさめないと、あっというまに閉店という予感も。
紹介された2つのストーリーは興味深いが、本当かなと疑ってしまう。はやらない本質は新しい食を導入しないからではなくて、その店の味にセンスがないからだろう。効率化を求めすぎる余り、必要な味の水準が維持できないが、それに気がつかないマネージャーに率いられている。あるいはマンネリ化して味がわからなくなっているのだろうと思う。
外食産業が大量にチェーン化する理由も味のわかるマネージャがすくないことと関係がある。私の経験でも味のわかる人、味覚の鋭い人は多くない。人口調味料の影響か、だんだん減ってきているともいう。しかし、店の採用時に味がわかる、わからないは、採用試験ではみえてこない。そうなると、味のわからないマネージャに率いられた店は廃れる。したがって、工場で一律に作った味で統一する方が間違いがないし、有利だ。しかし、工場出荷の料理を食うのはなんだか悲しい。
北大路廬山人は、料理人志望の子供をチェックするのに、舌を出させて味蕾をみたという。いまどきこんなチェックをしたらだれも来なくなってしまうが。しかし、これに似た採用テスト、たとえば、料理を並べてどれが一番うまいかをテストするとか、なにか方法はあるだろう。
平凡な食材の良質なものに感動する。料理はシンプルなほどおいしい。こうした料理を出してくれる店ならどこの国の料理でも歓迎だ。そしてそんな店はきっとはやる。しかし、大量に作れない。それで私は一向かまわない。
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