まさおレポート

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Qアノンの陰謀論とカラマーゾフの兄弟の大審問官

2020-10-14 | 小説 カラマーゾフの兄弟

陰謀論は論争でラベル貼りで相手をやりこめる技術で、類似に洗脳やカルト宗教等がある。一発で相手を粉砕した気分になるが実はラベル貼りはディベートでは禁じ手だ。ラベル貼りは根拠なき決めつけでそれ以上の議論にならないからだ。次元が異なるレベルの反論といってもよい。だから不用意に陰謀論といってはいけない。ひとつの仮設とすべきだろう。

ドストエフスキーの「カラマゾフの兄弟」でイワンが大審問官について述べるのも壮大な陰謀論とも呼べるが、世界の読者におおいなる啓発を送り続けている。だから誰も大審問官の話を陰謀論とは呼ばない。

ではどう呼べば客観的な言葉となるか。今のところ適切な言葉がないようだ。したがってとりあえず陰謀論で通すことにする。

ところで「カラマゾフの兄弟」でイワンが大審問官を創作しているが、QAnonのディープステートを解釈する一つの補助線になるような直感がある。

大審問官はイワンがアリョーシャに語って聞かせる彼の創作になる物語だ。舞台は15世紀、スペインに降臨したキリストに対して大審問官は捕えて火あぶりの刑を宣告する。地下牢に一人で現れた大審問官はキリストに向かって、いまだ自由を扱いきれない人間に対し自由を与えることでパンを奪い合い、返って人類を不幸にしたと批判する。

自由にすると互いにパンを奪い合って結局は破滅する人間は、奇跡と権威と神秘つまり悪魔の力を借りてコントロールしないと破滅すると大審問官はキリストにいいつのる。

大審問官をディープステートと読み替えるとわたしにはすんなりと入ってくる。両者をとつなぐにはまだまだ多くの説明を必要とするだろうから、別の機会に譲りこのあたりで止めておく。

 

QAnonとは何かををネットから探ってみる。できるだけ色を付けないようにして掲げてみたが、どうやら人類のもつ根深いところにある暗部に触れるような気がする。まだまだ不可解な存在だ。

トランプ大統領は「私はQAnon運動についてあまり知らないが、彼らが私を非常に愛していることは知っている。大いに感謝している。彼らは我が国を愛する人々である」と答えている。トランプ大統領もしかとは把握できていないようだ。

一見味方のようでもあり、足をすくわれそうでもありといった感じが「あまり知らないが」によく出ている。

 

以下は今後の検討のメモです。

1850年代にカトリック教徒の移民が増えたが陰謀論者はローマ・カトリックがカトリック教徒をアメリカに移民させアメリカ大陸からプロテスタントを放逐する隠れた目的があると主張した。

それに伴いカトリック教徒の排斥と弾圧が始まりそれを支持する政党「ノー・ノッシング」が結成された。

白人至上主義者集団KKKの指導者も公共の場に姿を現しトランプ大統領を礼賛し始めた。SNSのオンライン上にQAnonが誕生した。

QAnonはリベラル派の政治家や官僚が「Deep State(影の国家)」でアメリカ、世界を陰で支配し操っていると主張する。

気候変動やコロナウイルス感染、主要メディアのフェイク・ニュースの報道はすべてDeep Stateの陰謀であるという。

Deep Stateを支配するエリートたちは少女を誘拐しその血を飲んでいると陰謀論を展開している。

コロナウイルス感染もDeep Stateが仕組んだトランプ大統領追い落としの陰謀だと主張する。

G5陰謀説、反ユダヤ主義、反移民主義を唱えている。

QAnonは基本的にネオ・ナチであり、女性の基本的な人権を否定する。

QAnonは、自分たちの目的はDeep Stateを操るエリートに対する反革命を行うことだと主張する。

こうした主張は保守派の主張と共鳴し、保守勢力の中で一定の政治的影響力を持ち始めている。

QAnonは、トランプ大統領は国家の最高機密を知る立場にある諜報・軍事関係の人物「Q」に選ばれ、Deep Stateを破壊する使命を与えられているという。

QAnonはQの信奉者や追随者を意味する。

QAnonは、オンライン上でQから“暗号(code)”を受け取り、それを仲間内で議論し、解釈し、行動するグループである。

2019年5月30日にアメリカのヤフー・ニュースがスクープしたFBIのレポートは「政府高官と思われるQがDeep Stateの関係者や、子供を性目的で誘拐する幼児性愛者の国際組織に加担するエリートによる陰謀を排除するために、トランプ大統領が密かに行っている努力を明らかにするためにオンライン上に機密情報を掲示している」と、QAnonの目的の目的を明らかにしている。

QAnonはトランプ大統領の政治集会で「Q」と大きく書かれたプラカードや「We are Q」と書かれた横断幕を掲げ、胸に「Q」と印刷されたシャツを着て、存在を誇示する行動を取り始めた。

共和党の連邦議会候補の予備選挙で同調者を推薦し、政治に直接的な影響力を与える動きを見せ始めた。

9月28日の『ニューヨーク・タイムズ』にコラムニストのケヴィン・ローズ氏は「QAnonとは何か。トランプ支持派のウイルス性の陰謀論か」と題する記事を寄稿している。

QAnon現象は一過性のものではないと考えている。

現在、下院共和党の中に100名を超すTea Party議員団が結成されるまでになり彼らは共和党内の穏健派議員放逐の急先鋒に立っている。

主流派メディアは当惑しながら「QAnonは何か」と自問し始めている。

『Mother Jones』誌は8月20日「QAnonが主流になった夏」トランプ大統領の政治集会で存在感を示したQAnonの姿を報じている。

7月4日、トランプ大統領の国家安全保障担当補佐官を務め、ロシア疑惑で辞任したマイケル・フリン氏がビデオをオンライン上に掲示し、その中に「Where we go one, we go all」というQAnonのモットーを掲げ、QAnon運動を支持する姿勢を明らかにした。

「フリン一人ではない。トランプ大統領の外交政策顧問のカーター・ペイジもQAnonのモットーをSNSに掲示している。今月、大統領の息子のエリックも、Qの発したコンテントを掲示した(すぐに削除したが)」と。トランプ政権内部からも公然とQAnonを支持するようなコメントが相次いで出てきた。

ブルームバーグ 8月22日「QAnon:アメリカの政治に忍び込む陰謀論」

ニューヨーク・タイムズ 8月4日「QAnonは21世紀の最も危険な陰謀論か」

インターネット・トラフィック・データ QAnonが主流派の一角に足を踏み入れたことは確かだ

QAnonは、トランプ大統領はこの世界に善性(goodness)を取り戻すために選ばれた人物であると信じている。

2月から3月にかけて行われた調査では、QAnonを知っているかという問いに対して回答者の76%がまったく知らないと答えている。少し知っているは20%、良く知っているはわずか3%に過ぎなかった。アメリカ国民にとってQAnonは未知の存在といえる。QAnonの持つ危険性に気づいていないのである。流していると主張するトランプ大統領に共感を覚える層でもある。

FBIのフェニックス支局の捜査員から提出された報告書は、「陰謀理論に基づく国内の極右勢力の脅威が増大している」と指摘し、QAnonを「民主主義の脅威」と明確に規定している。

FBI報告は、陰謀論はアメリカの歴史では特に珍しいものではないが、陰謀論を巡る状況は以前よりも悪化していると分析。その理由として、「インターネットとソーシャル・メディアの誕生で、陰謀論の推進者がオンライン・プラットフォームを通じて、多くの情報の消費者が迅速かつ容易にアクセスできる膨大な量の情報を提供し、共有することができるようになった」

シンクタンクISD(The Genesis of Conspiracy Theory: Key Trends in QAnon activity since 2017)「QAnonは、幼児性愛者のエリート・グループが何十年に渡って世界を支配していると主張し、トランプ大統領はこのグループを裁きの場に引き出す秘密の計画を持っていると信じている広範な陰謀理論のグループである」

QAnonの活動の目的は「トランプ大統領の政治的な敵を誹謗中傷し、トランプ大統領の支持者を偶像化することである」QAnonの陰謀論がアメリカだけでなく、イギリス、カナダ、オーストラリアでも確実に拡散している

最も多くQAnonが登場するのはTwitter(2020年3月~5月:1202万件)伸び率が多いのはFacebook(同18万8855件)。

陸軍士官学校のコンバッティング・テロリズム・センター『CTC Sentinel』(2020年7月号)「The QAnon Conspiracy Theory: A Security Threat in the Making」「QAnonは、将来、国内のテロの脅威により大きな影響を与えるようになり、公共の安全にとって脅威となるだろう。西欧社会でテロリストの暴力が記録的に増加し、QAnonが主流派の政治的議論により大きな影響を与えるようになっていることを考慮すれば、QAnonの脅威は本物である」

トランプ大統領が「ワシントンを17回訪れた」と繰り返し発言たことを受け、「17」という数字に特別な意味づけをし、アルファベットの17番目の文字である「Q」が使われたという説が一般的である。

QAnonのコンセプトが創られたのは2017年10月28日で、4Chan上のチャット・フォーラムに匿名で、IDがQの最初のメッセージが掲載された。「嵐の前の静寂(Calm before the Storm)」というスレッドが「Q Clearance Nationalist」という匿名の人物によって立てられた。「嵐の前の静寂」という表現は、トランプ大統領が2017年10月5日に行った演説の中で使われた言葉である。QAnonは、常にQの発する暗号とトランプ大統領の発言を関連付けている。

Qは国家機密に近づける諜報機関、安全保障担当部門に所属する人物と思われている。この人物は”Q Clearance”と呼ばれ、機密情報にアクセスする権限が付与されている人物を意味する。

QAnonは、リベラル派のエリートに対する反革命を「大覚醒(the Great Awakening)」と呼んでいる。

QAnonは、リベラル派の嘘をすべて明らかにする「大覚醒」を「福音的真実(gospel truth)」と捉えている。アメリカの歴史で2度の宗教的な「大覚醒」があったが、それになぞらえた言葉であると思われる。

QAnonは、このDeep Stateに対する反革命を「善」と「悪」の最終戦争であると主張する。これは『聖書』に書かれた世界終末の最終戦争ハルマゲドン(Armageddon)の考え方に通じる。その過程を経て、トランプ大統領はアメリカを“再び偉大な国家”にするというのが、QAnonの考え方である。ちなみに多くのアメリカ人は、世界を善と悪と戦いの場であると考える傾向が強い。最後の審判であるハルマゲドンが必ず起こること信じているのである。

Qから断片的に提供された情報は「drops」と呼ばれるルートを通して提供される。この情報は暗号化(code)されており、「crumbs(パンくず)」と呼ばれる。

このパンくずを集め、分析する解釈者は「baker(パン屋)」と呼ばれる。パンくずを集めたパン屋は、Qが提供した情報に特定の解釈を与える。その解釈を巡って、チャットルームでQAnonは議論を行う。その議論はあたかもインターネット上のゲームのようなもので、参加者は謎解きに加わり、仲間と同志的な共感を得るようになり、次第にQAnon運動に取り込まれている。

QAnon運動は「オンライン宗教」であるとの指摘もある。社会から疎外され、不安を抱く若者が自分の場所を得る場所であり、自己主張できる場所でもある。これは日本の新興宗教にも似た側面がある。

ジャーナリストのボニー・クリスチャン氏  QAnonはエバンジェリカルや原理主義キリスト教徒の一部に共通する終末論的な発想に基づいている「Is QAnon the newest American Religion」『The Week』2020年5月21日)

コンコーディア大学のQAnon研究者マーク・アンドレ・アルゼンチーノ氏「QAnon運動の一部のグループは、QAnonの陰謀論を通して『聖書』を解釈している」と指摘する(「The Church of QAnon: Will conspiracy theories form the basis of a new religious movement」、『The Conversation』2020年5月18日)。

QAnonの交流の場になっているサイト”Reddit”はあたかも秘密教団のメンバーが“共通の神”について語り合う教会のような役割を果たしている。

 

ジョージア州第4選挙区でQAnon支持を公然と語るマージョリー・グリーン候補が予備選挙で勝利を収めている。また上院議員選挙でも、オレゴン州の共和党はQAnon支持者のジョー・パーキンス氏が予備選挙で勝利し、正式な候補者に指名されている。

「私はトランプ大統領と共にある。私はQAnonと共にある。QAnonに感謝する。一緒に我が共和国を救おうではないか」

QAnonは、FBIが指摘するように、暴力的なテロ行為に走る懸念も否定できない。キリスト教の指導者の中には、世界を救うためにQAnonを評価し、武装訓練の必要性を説いている人物もいる。QAnonが、アメリカの民主主義にとって、潜在的な脅威になっていることは間違いない。QAnonを奇妙なオカルト政治集団として過大に評価するのも問題だが、軽視するのは、それ以上に危険かもしれない。

陰謀論の世論調査

・民主党予備選はバーニー・サンダース上院議員を勝たせないよう不正に操作された 35%

・政府はワクチンと自閉症とのつながりを隠蔽しようとしている 22%

・悪魔的な儀式の中で子供に拷問を加え、性的に虐待するグローバルネットワークが存在する(Qアノンの陰謀論) 22%

・ワクチン接種によって体内に埋め込まれた追跡用チップは後で5G携帯ネットワークによって稼働される 21%

・トランプ大統領は政府高官と有名人の大量逮捕を密かに準備している(Qアノンの陰謀論) 18%

・米大統領選へのロシアの介入を捜査したロバート・モラー氏は児童買春人身売買ネットワークを捜査中(Qアノンの陰謀論) 15%

・新型コロナウイルスはデッチ上げだ 15%

・有名人は子供の体から(止血作用がある)アドレノクロムを摘出している(Qアノンの陰謀論) 12%

 

金で支配する一握りの人が大審問官か?


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