「年の終わりと年の初めと」
昨年の12月28日に立てた門松を、昨日外した。10日間だけ我が家の前を飾った二本の
松はまだ元気である。でも明日の「ゴミの日」には捨てることになる。長かったような短かったような、この年末年始。わたしの詠んだ歌はたった五首である。
✿ 年の初めと年の終わりと 松井多絵子
年末に危篤の老女の手をとればわが手を離さぬ昼のひととき
言うなかれ今際の言葉を聞いたなら我の重荷になるではないか
いずれ又あの世で会える、病棟を去り電飾の街へ入り行く
晴天の元旦、風のなきひと日、テレビは火災の現場を見せる
十歳になりしゴムの木見上げれば我を見下ろす居間の窓際
1月9日 松井多絵子