「小島ゆかり&中沢直人」
「未来1月号」の★今月の歌は小島ゆかり、歌壇の明星である。大切な客人の五首。
☀☀☀ 歌集『純白光』より五首 小島ゆかり
チーターとしてめざめたる夢覚めてしろいひかりのなかにまたたく
出てゆきし娘の部屋の掃除してしばらくすわる娘の椅子に
こめかみに力をあつめ腹筋の運動をする夫を見てをり
捕まえた蝉ふところに隠すときわが猫は宝船のごとし
曇天に絮が飛ぶなり霜月のからださびしく行く犬と人
※作者と読者により短歌が生まれることが多いような気がする。よい読者はよい歌を生むのではないか。小島ゆかりの五首を中沢直人は次のように鑑賞している。
一月二日の朝、めざめるとチーターになっていた。それももちろん夢だった。豪快な初夢から覚めた作者を白い光が包む。娘たちの自立、全国を飛び回る忙しい日々のなか、夫と猫をいとおしむ歌があたたかい。身近な人々や動植物に注がれる優しいまなざしが印象的な歌集。
(中沢直人)
目覚めたら白い光に包まれてみたい真冬の私 1月22日 松井多絵子