秋の日は釣瓶落とし、なんてぇことを言います。朝5時に目を覚ましても、まだ外は真っ暗、この時期になるとガーデニングの開始は6時半くらいです。夕方もあっというまに暗くなりますから4時半には終了です。もはや晩秋、園芸の秋ですが、一方では食欲の秋、秋に限らず、このところ数年食べるものが美味しく感じられて仕方ありません。
適度に体を動かしていることや健康状態が良好なのは言うまでもありませんが、何よりストレスが無く、日々思うように暮らせているお陰であります。
若い頃から朝ご飯抜き、昼はまずい社員食堂か脂っこいランチ、夜はお酒とつまみ、シメのラーメン、などと酷い食生活、加えて甘いもの好きでもありました。
長年にわたる不摂生のせいで、健康診断では各項目軒並み「要再検査」の結果が続いていました。高血圧の薬を飲み始めたのが10数年前、それから血糖値が上がり、血液がどろどろで、このままではどこかが(脳血管か心臓)が詰まる、と脅かされ、その度に貰う薬の種類が増えてきましたな。
こういうのを、年寄りの病気自慢(薬自慢)といいますな。60歳になって、すっぱりと勤め人を辞めたのが転機とはなりました。健康的な生活を始めたのです。残念ながら食欲だけは旺盛で、いつでもどこでも食べられる状態、しかも胃腸が丈夫なのです。体重が徐々に増え、血糖値もいつしか危険水域に達していました。
糖尿病になると、食べた糖質や炭水化物が血液内に溢れます。分解して栄養として取り入れることが難しくなるのです。すると、一生懸命体外に排出するように腎臓がフル回転し、尿と一緒に糖分を出していくのです。いくら食べても、体に活動源の糖質が吸収できないので、喉が渇きお腹が空き、甘いものが食べたくなるという悪循環で一気に病気が悪化いたします。
それからというもの、また飲み薬が増え、体重を落とすために食べる量を減らし、特に甘いものには手を出さないよう気をつけております。インシュリン注射を打つことも無く、軽度の飲み薬一つでどうにか血糖値はコントロール出来てはおります。自分で病気は直す、これが自助、重要なんですね。
昨日は中華街のそばで韓国料理の店を開いた友人の奥様が訪ねてきました。ワタシのオフィスの空き部屋に、その会社の住所を登録しているので郵便物を取りに来たりするのです。昨年10月にオープンしました。あまり詳しくは聞けませんが、せっかく常連客が増えてきた矢先にコロナが発生し、今年に入ってからは壊滅的な状況になったようです。家賃も払えないような売り上げの減少で苦しんだと思われます。
用件は特に何も無いような口ぶりでした。でも、彼女が「1年経ってその記念のお祝いも出来ない」と言ったのを聞いて気がつきました。韓国から来て、会社を立ち上げお店を出すまでに、わずかな協力や援助をしたワタシに、わざわざ勤める会社を休んで、律儀にお土産を携えて「謝意」を伝えに来たのです。
御主人が出したのは「はすドッグ」というアメリカンドッグのお店です。真面目で控えめ、努力家の韓国人夫婦なのです。家庭料理でお店の看板商品「キンパ」をお土産に頂きました。韓国海苔巻きです。これは以前デパ地下などで見かけてはいましたが、おいしそうには見えませんでしたね。一度食べたこともありますが、日本の海苔巻きのほうが断然うまいと思いました。
ところが、こちらの本場キンパは、それはそれは美味しいものです。具材をふんだんに入れて丁寧に作っています。おコメの部分は僅かで、卵焼きにごぼうニンジン、ホウレンソウなどがぎっしり。これを蜂蜜などを使った特製のたれに付けていただくと、歯ごたえもいいのです。
ワタシにできることは何もありません。話を聞いて励まし、お昼をご馳走するくらいのもの。とんかつ屋さんの持ち帰り用トンカツ、ウチの畑の柚子とフェイジョアの果実をもたせました。キンパは4パック頂いたので、二つはウチで取れたシイタケと一緒に、お隣さんに差し上げました。ワタシは半分食べれば十分、晩御飯と朝に分けていただきます。すると、今度はお隣さんから餃子とかポトフなどが届きます。
自分の畑で作った農産物は、自分で食べ、少しを近所にお分けします。お返しの料理も届きます。お店で出すものを頂き何かを持たせる、こんなことが「自助・共助」というものの一つの形なんでしょうか。古来から、人と人の繋がりや営みはこうしたものの棲み重ねであったのでしょう。なんでもお金で計り、お金で片づけようとすることより、こうしたことが愛おしく大事にすべきものであろうと思います。
総理大臣に言われなくても、ワタシの周りにいる多くの方々は、一生懸命に生活し頑張ってますよ。