女子ゴルフのメジャー大会の一つ、「エビアン選手権 」が終わりました。かつてメジャー大会になる前女子ゴルフを牽引した宮里藍(155)ちゃんが2回優勝を飾った、日本人にとってなじみが深いフランスでの大会であります。日本からはLPGAに出続けロレックスランキング7位の畑岡奈紗(158)、これにゴールデンエイジと言われる、若手ゴルファー、一昨年全英女子オープン 優勝者の我らがしぶこ、こと渋野日向子(167)、昨年エビアンで4位に入った古江彩佳(153)や西村優菜(150)、 ジャンボ尾崎ゴルフアカデミーの1期生 笹生優花(166)西郷真央 (156) などのいずれ劣らぬ実力者が参戦しました。( )内は身長であります。
渋野は残念ながら、130人ほどの選手の中でほぼビリで予選落ちしました。最近のツアー7試合で5回の予選落ち、体調不良とかいろいろですが、要はスイング改造の失敗にあります。かつて全英で優勝した時、極端なハンドダウン(前傾が強く、長い手を下に下ろすと、腕とシャフトがくの字に曲がる角度がきついスイングでした。体が柔らかく体幹が強いので、多少くせのある打ち方でも強く正確なショットを放つことが出来ていました。
ところが、その後さらなる飛躍と飛距離の向上を目指してスイング修正を図ったのがいけませんでした。一説によると石川遼選手のアドバイスで、シャロースイングを目指したのです。浅いトップでクラブヘッドの位置が低く、横殴りに近い打ち方で、強く低いドローボールが打てると、男子選手の間で人気というのです。
しかし、ワタシ達素人から見てもこの打ち方は、ミスショットを生みやすくタイミングがゆっくりと打つ女子選手には不向きであります。男子ならば筋力が凄いので浅く早いバックスイングで切り返すことが出来ますは、女子は大きくゆっくりクラブを引き、大きなスイングアークと遠心力でボールを飛ばします。
結果として、早く切り返すために、ためがなく間が取れずショットの安定感を失いました。またヘッドが立って被ってくるのでボールを捕まえても、ドロー回転が強くなるために、大きくフックする球筋になります。ゴルフでグリーンに乗せるためにやってはいけないのが、フックボールを打つことで距離が出すぎ、ボールが止まらないために奥にオーバーさせたり極端に左に曲げてトラブルになります。
やっと乗せても、狙ったところにボールがおけなければ、当然パットも打ちにくいラインや長い距離が残ります。アプローチやパットも精度が落ち、そのうち自分に自信がなくなって、思い切りの悪いショットになってきました。その結果が今如実に表れているのです。
冒頭の選手説明に( )で身長を記したのは、意味があります。渋野選手は日本の女子にしては背が高いという利点があります。身長が高ければ上からボールを叩く縦振りが出来ます。ゴルフの正確性の決め手の一つが上から真っすぐクラブが下りることで真っすぐ曲がらないショットが打てるということです。身長があれば、きれいなバックスピンが掛けられ方向性も距離感も合わせやすくなります。今からでも遅くないのです。前かがみでわざわざシャロースイングにしないで、背筋を伸ばして大きく確り上からダウンスイングするように変えるべきだと思いますが。
一方、小柄な日本人選手たちは、そのハンディをものともせず、上位に食い込みました。 優勝したヘンダーソン選手は167㎝、3位シガンダ・Cハル選手なども170㎝前後、Nコルダに至っては178㎝であります。 プラチナ世代のホープと目される20歳の西郷真央さんは、そうした外国人大型選手の中で堂々3位タイでホールアウトしました。はたから見たら大人と子供であります。当然体の力やスイングの速さも比較にならず、飛距離では後れを取りました。それでも強い精神力と正確なパッティングで上位に食い込んだのです。古江彩佳、西村優菜、畑岡奈紗各選手も堂々20位以内に残ったのです。みんな150㎝代の小柄な女子です。
ゴルフに限らず大方の球技は体が大きい方が有利です。テレビの解説では、背が低い分、ボールもカップも近く大きく見えて優利などと言っていましたが、冗談がきつい(笑)。小さくても技術や工夫で克服できるのはその通りで、この大会もそれを示しました。しかし、その3位の西郷さんも、最終日アイアンを2度ばかり大きくフックさせて、OBやトラブルになりました。特にエビアンのようなフェアウエーの傾斜がきついコースでは、左右に曲げるショットが増えます。前上がりのライならば、相当気をつけてもフックボールになるので、渋野選手はまんまとそれにはまってしまいました。
渋野選手は、身長167㎝と大変恵まれています。また、世界でもとても人気の高い選手であります。気さくで笑みを絶やしません。あっけらかんとした性格は、世界共通で好かれるのでしょう。私設ファンクラブの一人として、彼女にはいいコーチがついて教えて貰いたいと思うのです。