猛烈な暑さであります。
アメリカでは、40度を超えて山火事が発生し、多くの人が熱さのために気を失ったとか。ヨーロッパでも同様であちこちで山火事が起きているのだそうです。中国では記録的な猛暑、降雨と熱波に見舞われています。
こうした異常気象、温熱化によって直接死ぬ人はさほど多いわけではありません。しかし、長期的に見れば確実に地球温暖化がすすみ、温帯地方が熱帯に近くなり南極・北極の氷は解け、永久凍土・氷河も溶けています。
すると、年々海水温が上がり、水位も上がって、地球全体の国土が水没し始めているのです。一方環境破壊で、アマゾンは山林が焼かれ、アジア・ユーラシア大陸で大きな湖が消失、とんでもない勢いで中国の西部で「砂漠化」も進行しています。こうした環境変化によって農作物も打撃を受け「世界規模の食糧危機」も懸念されるようになりました。
それなのに、どの国も本気で地球温暖化を食い止めようといたしません。支配者たちは自分の利益だけを追い求め、また国民も然り。国同士では何一つ学習効果が無く、相変わらず領土や宗教・資源をめぐって諍いと戦争の繰り返しであります。
地球が誕生してから、46億年だそうです。人類は30万年くらい前に猿人から進化して誕生したとされています。有史始まって以来いつのまにか、地球上の王者になったと勘違いした人類は、それまでの様々な動物の種を滅ぼし、植物生い茂る山野を切り開いてコンクリートやアスファルトでかためた文明を作り出しました。人種間の覇権争いに宗教を利用し、他の国から国土や財産を奪い人を殺しました。結果としてわずか地球史ではわずか1/15333という目瞬き程度の時間で、地中埋蔵資源を掘り荒らし自然を破壊して、地球規模の環境を変化させました。
人間は万能なの?そんなに優秀なの?。種族間で殺し合うのは類人猿と人類だけだそうです。それが何万年経っても変わりません。
例えば100m短距離走の世界記録は9秒58 です。子供の時に観た東京五輪でのボブヘイズが確か10秒でした。50年でわずか0.42秒縮まったに過ぎません。その間スポーツテクノロジー・用具・栄養学・筋肉増強薬剤などがどれだけ進化しても、その程度であります。
ワタシにとっては、人類は何も進歩していない。むしろお金や富を絶対視するために、共存して助け合うという精神をだんだん失った分、退化しているとさえ思います。
暑いです。例によって話は飛びますが印泥は、何百年経っても品質が変わらないというのが基本であります。書作品に捺した朱がそのままの色合いで保存されるのです。しかし、近年では「印泥の質が落ちて何年も経たないうちに黒ずんでくるようになった」と嘆く専門家の先生がいます。先日も、さる印泥コレクターさんから、自分の自慢の印泥を中国人の先生に見せたら「腐ってる」と指摘され大変落胆したそうです。
印泥が腐るのは、印泥に含まれる有機質「艾(もぐさ)」かひまし油の腐敗や酸化によるものだと思います。従来、印泥の成分には朱砂 ・辰砂=硫化第二水銀 とひまし油、艾で、これに「八宝」として、麝香・真珠・紅宝石、紅珊瑚、金箔、 瑪瑙、珊瑚 」などを加えるのですが、それらは基本変質するものではありません。ひまし油は、植物性の天然油で純度が高く、長期間貯蔵した良質の油を使えば変質が抑えられるようです。
理論的・経験的に印泥は簡単には腐敗しない、それなので数十年~100年以上経過した古印泥は珍重されてきたのです。私自身、数十個の印泥を所蔵していますが「腐敗する」とは思ってもいなかったのです。中国でも、共産党政権になり国営化が始まってから、急速に印泥の質が落ちて色が悪くなりベタベタになる、油が分離するといった品物が増えたのです。それには、秘伝の製法が途切れ、良質な材料が枯渇したと言われています。つまりもともと質が悪いから時経るに従って劣化したのだと考えていました。
しかし最近では、考えを変えました。印泥が腐る元は「気温の上昇」にあるとにらんでおります。中国で、今から50年以上前には冷蔵庫などありません。室温(室内の冷暗所)で保存していても印泥は腐らなかったはずです。しかし、地球温暖化で中国全土の平均温度が上昇しているのは間違いないことです。印泥を高温多湿の中で放置していれば腐るか油が分離してベタベタになる、これが問題だと思うようになりました。
すると、古い印泥をもう一度全部チェックし直し、赤黒くべたべたになったものは思い切って捨てましょう。未使用分は構わずセロファンを剥がして試し捺しし、良質で十分使用に耐えるものと、この数年程度で製造販売された高級品は、冷蔵庫に保管する、しかないかと考えています。
電気料金が上がり政府が節電を言う中、家人は扇風機でなんとか間に合わせようとしております。そこで、ワタシが新たに印泥専用の冷蔵庫を買い求め、一年中冷やして保存する、としたら何を言われるか。それが目下の問題であります。