植物園「 槐松亭 」

バラと蘭とその他もろもろの植物に囲まれ、野鳥と甲斐犬すみれと暮らす

寒さの効用(紅葉)

2019年12月09日 | 植物
 朝方、屋上のメダカの世話をしたり、植物たちの水遣りなどでバケツに手を入れると、その冷たさに驚くような季節になりました。気温も10℃を下回ると、メダカたちも途端に活動が弱くなってきます。餌をやっても水面近くに浮上してきません。食いつきが極端に悪くなるので、夕方近くになって水温が上がれば餌やりします。もし食べ残しが生じるようになったら、掬って綺麗にし、様子を見ます。屋上の温室に置いてある「ミユキメダカ」は、電気ヒーターのおかげで水温が10℃以上に保たれているので、食欲があるようです。この子たちはこの秋に生まれた赤ちゃんですから、体力が付き、ある程度成長する春までは、温室育ちにしようと思います。

 寒くなると、植物たちにとっても大きな影響と変化をもたらします。大きくは3つになります。
 まず、自然と寒さに備えて防御していく変化。それには地上部が枯れるもの、落葉するもの、紅葉するものなど葉の変化です。地下茎や球根・根だけで越冬するのが負担が少ない方法なのです。また、葉を落とすのは成長が止まる寒冷期に弱い日照により光合成するより葉を落とした方が植物全体自体にとって、エネルギーを温存できるわけです。降水が減り根も活動が弱まるので冬眠するようになるのです。
 中には紅葉しても落葉せずに冬を越すものもあります。春になるとまた葉が緑になるのですね。葉緑素が失われ糖分が増えて赤く発色するのです。オタフクナンテンとかコプロスマなどがよく知られております。寒冷地の野菜が甘みを増すのも寒暖の差が激しい地域の果実が甘いのも同じ理屈です。

これがオタフクナンテン、霜にあたると真っ赤になります

こちらはコプロスマ。春から秋までつややかな照葉は緑が濃いのです。

一方、寒くなると枯れておしまい、という植物も数多くあります。一年草といわれる植物たちは、主に寒さ(霜や凍結)で自動的に枯れますが、種を残して翌年には新しい個体を産みます。温かい時期に、すべての精力を開花・結実に集中して、身は滅びるのです。また、熱帯性、耐寒性のない植物たちは環境の変化にはついていけませんから、ほおっておけば枯れ死します。これは、人間が人為的に移植したものですから、育てる側の責任であります。

 もう一つは、冷気にさらされることで翌年の花芽をつけるという大事な時期でもあるのです。概ね植物は一年の季節を日照と温度で感じ取ります。多年性の植物は、寒さを感じることで、危機感を抱いて花を咲かせ子孫を残そうとするのです。厳しい寒さにさらされることもなく、ぬくぬくと親の庇護のもとに暮らす若者が結婚したがらないのと似ています。その証拠に、屋内で育つ観葉植物は、滅多に花を咲かせません。
 ランを育てていると、寒さがはっきりする今の時期からだんだんとステム(花茎)や花蕾をつける種類が多くなります。今は、カトレアやシンビジウムなどですが、暖かいところを好む胡蝶蘭ですら、数週間は18℃以下の温度にあてないと開花しないのです。蘭の愛好家にとっては、これからが「ランの恋の季節」なんですね。一年間せっせと育て、一度だけの花を見て顔がほころぶ、これがワタシたちの至福なのです。

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