植物園「 槐松亭 」

バラと蘭とその他もろもろの植物に囲まれ、野鳥と甲斐犬すみれと暮らす

ヤフオクの品物 玉石混淆そのものであります

2023年10月10日 | 篆刻
先日「印材5点 まとめて」というのを即決価格8千円をヤフオクで落札しました。それは、明らかに普段目にしている佳石・銘石とは異なる、場合によっては人造石と思しきものが3個含まれているものでした。それなので、多分誰も見向きもしません。ワタシは、4個付随している「布張り印箱」と自然石(印材に適している)が二個あったので、これで十分ペイするだろうと考えたのです。

印箱は大型で10㎝くらいの印が収められ、新品を買えば1個700~800円するものです。これで3千円程度。

石は左が「雅安緑」でだいたい1個千円から2千円位でしょうか。もう一つの石は見たことがない緑石でした。印材として使えるか(硬くて刃が立たないか)が心配でありましたが、実際なんとか彫れそうです。石の種類は広東緑とか、黒・白の小さな点が多数集まる巴林石、あるいは丹東緑の一種かもしれません。緑の縞模様に黒い墨のような点が散在するのが面白く、これも数千円位してもおかしくないのです。これだけでだいたい7千円として、あとの3つの石が、もしちゃんとした印材ならば損はしないだろう、透明感がある凍石ぽい石が本物ならば、お買い得だろうと考えました。

はたして、その3個はなんとも微妙で、はっきりしているのは①ごく最近の角材で、もし天然石としても安物 ②人工石の疑いあり ③とりあえずそのうち二個は印材として彫れる でありました。

まぁ、予想通りで当たりでも外れでもなかった、とは思いますが、黄色い石二つがもしかしたら、凍石かもしれない、と軽くギャンブルしたのが外れたといったところで、8,000円は少しもったいなかったかもしれませんね。

それで、その数日前に届いたヤフオク落札額4,110円の石であります。入札で6人が競いましたが、いずれも評価点が700~17000点の猛者・専門家でありました。しかし、その側款が「泰山刻」とありますが、著名な方とは思えず字自体がさほど上手と思えなかったので、思ったより高値の札が入らなかったのです。石の種類はぱっと見では「田黄か」と思える艶や透明感があり、石の上部全体にやんわりと波のような薄意(浮彫)があって、なかなかの品であることは明らかでした。上の3本の怪しげな石と比較したら、誰が見てもその価値の差は歴然としていますね。
「昭和甲戌(きのえいぬ) 孟春」、その通りに解釈すると1934年(昭和9年)の旧暦の正月に彫ったということになります。今から約90年前の篆刻印はもはや「骨董品・美術品」のカテゴリーですね。石印材は基本変質しませんが、この時代には、中国から渡って来た佳石が多いのです。種類は連江黄か杜陵坑と見ました。高価で得難いレベルの印材であったから丁寧で流麗な薄意が施されているのです。これは、数万円以上しても不思議が無い銘品と言って差し支えないものです。ワタシにとっては「当たりくじ」でありました。「古谷氏家蔵」と彫られているようです。

先に紹介した千円のこの石も、ワタシにとっては大変なお宝なのです。


1本何万円もするものに何万円もかけて集めるのは、預金を株や投信に切り替えたに等しいもので、面白みはありませんね。数千円で、たまにお宝が入手できると「シアワセ感」に包まれる、だから石印材集めはやめられません。

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