このところ「佳き事」が多いのです。
三男の結婚式披露宴の出席者全員に、自分で彫った印を贈ろうと思っております。次男が横浜で今春挙式した時、一応好評であったのです。自画自賛でありますが、篆刻の腕は、刻する印の数に比例して徐々にそして確実に上達していると思います。今回は、寿・福というおめでたい漢字一文字に加え、出席者さんたちの人物像や年齢などに応じていくつか趣向を凝らした篆刻印を用意しています。
カ「嘉」、めでたくりっぱなこと。
ワタシの初孫は嘉介と言う名前であります。いつの間にか小学校4年生、親がトライアスロンを始めさせて、今年で2回目の大会にも出ているようです。早生まれでひ弱な細身の子供でしたが、運動をするようになって見違えるように体幹がしっかりし、たくましくなっていました。彼の為に「嘉」の印を彫りました。
カ「華・花」。
今朝、夜に咲き朝には萎れる儚い花「満月美人」の撮影をするために3時起きでした。株が1mくらいまで育たないと開花せず、1年に一度しか咲かない、一夜限りという花を見るためにずっと待ってきたのです。株が充実すればあと数回は咲いてくれるはずなのです。
また、さらに嬉しいことに遂に「地湧金蓮(チユウキンレン)」の花蕾が付きました。苦節6年であります。7年前に花付き鉢1万円と奮発しました。一度咲くと半年以上咲き続けるという珍しい花で、40年ほど前に花博で日本に初登場し中国雲南省原産、芭蕉科です。購入以後花がつかず、3年前に「株分け」しました。
株分けして一つは地植えしましたが、これも丸まる3年間葉が大きく茂るのみで花が咲かなかったのです。しかし先日ついに黄色く輝く花蕾を発見しました。欣喜雀躍、辛抱強く育てた甲斐がありました。これから花が開くが待ち遠しいものです。
キ「喜・祈」。九州で闘病中の兄が、このブログに「いいね」を押してくれました。ここ数年糖尿病からがんを発症、更に感染症にかかって入院し、一時は食事がとれなくなってしまいました。LINEも既読にならない事が何日も続いたり、食事を吐き戻してしまうとか、心配な状態が半年続いていたのですが、ようやくパンを3食食べていて体重も増え始めたというのです。身内の重篤な病気が快方に向かう、こんな嬉しいことがありましょうか。一年でも長く生きてほしいと願う「祈」ばかりであります
ク「苦」。生きていていい事ばかりではありません。むしろ悪い事苦しい事の方が多いくらいであります。兄の病気だけでなく、私自身も持病を抱え、ひどい腰痛に苦しみ、長年の酷使による手指の痛みもこのところ悪化して、湿布薬も多用するようになりました。今年生まれたメダカの稚魚が大量死しました。自治会他で厄介な人間関係に直面し、自分の時間を大きく雑用公用に割くようになっています。趣味三昧、書道と篆刻に埋没で来た時間を大幅に失っています。しかし、痛いかゆいは生きてる証拠、悲しみも人生の一つなのでしょう。
ケ「慶」。冒頭に書いた様に、三男がやっと結婚式を挙げます。不器用で出来が悪いのに子供のころから苦学し、人の何倍も勉強してやっと大学を卒業しても、就職先ではうまくいかず大変な思いをしてきたのをつぶさに見てきました。彼の苦しみや悩みの半分も理解してやれなかった。それが佳き人に巡り合い、新たな人生をスタートさせるのです。これを慶事と言わずになんといいましょう。10月には鎌倉で挙式、そのために、全霊を傾け40個の印を彫っています。
コ「幸」。私自身、様々な転機があり、数えきれないほどの失敗や後悔をし、いくつかの試練、身内の死などを経験してきました。しかし、いい伴侶と3人の子供に恵まれ、ここまでまがりなりにまっとうな生き方をしてきました。今、いくつかの悩みや懸案事項はありますが、畢竟大変「幸せ」であるとしみじみ思うのです。