
*テキサス大学オースティン校教授のジェームズ・K・ガルブレイスによる序文の続きです。
財政赤字と国債、財政赤字と民間部門の貯蓄、貯蓄と投資、社会保障、貿易赤字といった諸テーマをつなぐ共通の導きの糸それ自体は、実にシンプルです。
それは、「現代貨幣は、spreadsheetすなわち表計算ソフトウェアである」という命題です。
政府が支出を増やしたり市場から借り入れをしたりするとき、政府は、市中銀行の諸口座の数字を増やすだけなのです。課税するときは、同じ口座の数字を減らすだけです。政府が民間から借り入れをするとき、政府は資金を準備金口座と呼ばれる普通預金から有価証券勘定と呼ばれる貯蓄に移しかえるだけなのです。実際的な諸目的のためになすべきことは、ただそれだけなのです。政府の支出に財源などないのです。そのために生じる犠牲などまったくない。
それゆえ、政府が財政的に行き詰まるなどということはありえなのです。
お金は、政府の支出かもしくは銀行の貸付(借り手にとっては預金)によって作り出されるものです。税金は、私たちにそのお金を欲しがらせるのに役立ちます。私たちは、税金を支払うためにそのお金を必要とする、ということです。課税は、社会的な全支出を調整するのに役立ちます。私たちが、出回っている価格でのそれ以上の出費を抑制するのに、言い換えれば、物価をつり上げる要因すなわちインフレ要因を調整するのに、課税は役立つのです。
しかし、社会的な支出、つまり、消費と投資を促進すべき局面において、課税は必要ではありません。というより、そうしようと思ってもできないでしょう。というのは、政府が支出するより前に課税のためのお金などまったくないから。
*ガルブレイス先生、短い文章なのに、ずいぶんと中身の濃いそうして本質的なことを述べていらっしゃいますね。当方としては、お腹一杯になりましたので、続きは次回に。