美津島明編集「直言の宴」

政治・経済・思想・文化全般をカヴァーした言論を展開します。

前代未聞の記者会見 あっと驚く石原党首発言 (イザ!ブログ 2012・12・1 掲載)

2013年12月04日 21時26分55秒 | 政治
石原慎太郎は、日本維新の会の代表です。つまり、れっきとした党首です。しかし、以下に掲げる記事によれば、彼はなんと自党の選挙公約の内容をまったく知りません。それどころか、その内容を記者たちから知らされると(それにもビックリですが)、それに反対の意を表するというオマケまで付きました。また、日本維新の会の経済政策はすべて竹中平蔵の発案であり、自分は竹中氏を嫌っているとも発言しました。これで、少なくとも次の四つが判明したことになります。

①日本維新の会は、その党首が自党の選挙公約を知らないデタラメな政党であること。そこには、政治倫理のカケラもありません。

②日本維新の会の事実上のリーダーである橋下徹氏は、票集めのためだけに石原氏を党首に据えたこと。彼は、理念も政策もどうでもいいと政 治を舐めきり、腹の底で国民を愚弄し切ったヤクザな政治家であること。

③日本維新の会の経済政策を牛耳っている竹中平蔵氏は、貧困問題に取り組む気などまったくない、冷血なゴリゴリの新自由主義者であるこ  と。

④石原慎太郎氏は、中央官僚憎し、自民憎し、息子可愛やの私情だけで、あまり深い考えもなく国政に打って出たこと。

③については、竹中氏の次の文章を付け加えておきます。

私が、若い人に1つだけ言いたいのは、「みなさんには貧しくなる自由がある」ということだ。「何もしたくないなら、何もしなくて大いに結構。その代わりに貧しくなるので、貧しさをエンジョイしたらいい。ただ1つだけ、そのときに頑張って成功した人の足を引っ張るな」と。(toyokeizai.net/articles/-/11927「新世代リーダーの条件 私のリーダー論」11月30日)

私には、これが正常な価値観の持ち主によって書かれた文章であるとうは到底思えません。

私は、こういう事実を知ってもなお維新の会を支持し続ける人たちの気が知れません。そういう人々が、有権者のなんと10%以上を占めているのです。デフレ不況という異常事態が常態化したことに基因する、一種の社会病理現象として捉えるのが妥当なのではないかと思います。

そういう人々の意思決定には理屈などありません。私はそこに、心理学者ユングのいう自律化した無意識のコンプレクスの所在を感じます。政治における「暴力」を不自然なほどに排除し続けてきた戦後支配思想の「意識の一面化」によってもたらされた、という側面も無視し難いものとしてあるのかもしれません。

それとは別に、石原慎太郎という人はどこか憎めないところがあります。小細工を弄さない人なのです。それが、彼の人気の源泉なのかもしれません。維新の会の正体を図らずもバラしてくれた人、第三極の虚構を思わず知らず暴き出した人として、私は拍手を送ります。

彼は、都知事の職を放り出してやみくもに国政に打って出ることで、晩節を汚してしまいました。「石原、老いたり」の感慨が湧いてきます。これから死ぬまで、彼には恥まみれの日々が残されているだけなのではないでしょうか。そうやって、人生のバランス・シートは帳尻が合うようになっているようです。

**********

石原代表は30日、自由報道協会主催の記者会見で、

同党の衆院選公約に明記された解雇規制の緩和や最低賃金制の廃止について「知らない、なんて書いてあるの?」と述べ、公約内容を把握していないことを明らかにしました。

石原氏は、記者からこれらの政策を実行すれば「貧困が底なしになる」と指摘されると、「それはまずいわね」と表明。

石原氏はまた、「俺は竹中(平蔵慶応大学教授)って好きじゃないんだよ。あれが、こういうものを全部書いている」と内幕を明かしました。

竹中氏は貧困と格差を拡大させた小泉「改革」の中心人物。日本維新の会では衆院選候補者の選定委員長を務めています。

石原氏は、小泉改革と同様になるのではと問われると、「まったくそうですよ。あんまり竹中を信じるなと言っているんだ」と述べました。



http://www.jcp.or.jp/akahata/aik12/2012-12-01/2012120104_04_1.html

また、こんな記事もありました。ひどいもんです。維新支持者は、これらの事実を知っているのでしょうかね。私が石原慎太郎だったら、恥ずかしくって穴があったら入りたくなること請け合います。いまの彼には、国政を担う能力などまったくありません。彼から言霊は去ってしまったのです。

********************

維新新・石原代表

“原発ゼロ”公約知らず 最賃廃止知らない
記者失笑

日本記者クラブ主催の党首討論に参加した「日本維新の会」代表の石原慎太郎前東京都知事。衆院選公約で「既設の原発は2030年代までにフェードアウト(消失)」するとしていることを記者から問われ、「それは違う。公約は書き直させた」と答えると、失笑をかいました。
自党が掲げた公約にもかかわらず、「フェードアウトってどういうことですか」と記者に問いただす石原代表。原発ゼロは「願望」などと批判して「公約は直させました」と強調。「直っていないから直してください」といわれて、「わかりました」と答えると記者席からどよめきが起こりました。


石原氏も同席して、橋下徹代表代行・大阪市長と、衆院選公約「骨太2013―2016」と「政策実例」を発表したのは党首討論の前日のことです。その公約を簡単に投げ捨てるとはあまりにも有権者を愚ろうする態度です。


橋下代表代行も公約発表の席で、「マニフェストってどこまで重要視しなきゃいけないんですか」と無責任な姿勢を示していましたが、有権者そっちのけの離合集散を繰り返す党の本質を表しています。
  www.jcp.or.jp/akahata/aik12/2012-12-01/2012120104_04_1.html


情報ソースは、いずれも「赤旗」なんですね。赤旗も、たまにはいい仕事をするのですね。

有権者にとってトップクラスの重要性を有する情報を、大手新聞五社は、いずれも報じていないわけです。これも、維新を後押しする露骨な偏向報道のひとつの形です。先ほど私は、「こういう事実を知ってもなお維新の会を支持し続ける人たちの気が知れません」と申し上げました。私は、「こういう事実」をなるべく知らされないことで、一般国民は維新支持を変更する正当な機会を、大手マスコミから奪われていると言い直すべきでしょう。背中に薄ら寒さを感じるのは、私だけでしょうか。

そこで、次の記事。古賀氏は、明言はしていませんが、石原発言に腹を据えかねての発言であると受けとめるべきでしょう。これから維新の会で、ひと悶着ありそうです。主義主張の異なる者たちの寄り合い所帯の弊害を、私たちは、民主党政権の三年間で、思い知らされたはずではありませんか。維新は、選挙後に、民主党以上の醜態を晒すのではないかと私は思っています。「たちあがれ」のご老人たちと橋下氏とでは水と油に決まっているでしょう。

*************

古賀顧問「橋下氏は老人たちと決別を」

2012.12.1 23:38 [west政治]

大阪府市特別顧問の古賀茂明氏

大阪府市特別顧問の古賀茂明氏は1日、日本維新の会代表代行の橋下徹大阪市長に対し「間違えたということはよくお分かりだと思う。理念も政策も違う石原慎太郎さんや旧たちあがれ日本の老人たちと決別してください」とする文章を短文投稿サイト「ツイッター」に投稿した。 (産経msnニュースより)


ちなみに情報ソースとしての彼のツイートは次のとおりです。

古賀茂明‏@kogashigeaki
橋下さんへの切なるお願い その1: 間違えたということはよくお分かりだと思います。理念も政策も違う石原さんや旧たちあがれ日本の老人たちと決別してください。そして、みんなの党と選挙協力をやり直してください。そうすれば、国民は付いて来ます。

古賀茂明‏@kogashigeaki
橋下さんと石原さん。「ロミオとジュリエットの許されない愛みたいだ。結婚しようとすると悲劇になる。」と大阪ABCのキャストでだいぶ前に警告しましたが、心配が的中してしまいました。維新の家訓とたちあがれの家訓は真逆。離婚するなら、早い方がいいと思います。最後の頑張りに期待します

一部に、彼を中央官僚の横暴に反旗を翻した人として英雄視する向きがあるようです。しかるに私は、彼を中央官僚に対するルサンチマン(うらみつらみ)で心がいっぱいのつまらない人だと思っています。言いかえれば、ノーブレス・オブリージュ(エリートとしての高度な責任感)の欠如した、志の低い人であると思っています。『TPP亡国論』の中野剛志さんは、通産官僚に戻る前に「アイツと俺を一緒くたにされては困る」という趣旨の発言をしています。どうでしょう、古賀さんって、見るからに根が暗そうではありませんか?

近ごろ、国政に関わるリーダーの必須の要件の一つは、健全な「余裕ある」心の持ち主であることではないかと思い始めています。ジュリアス・シーザーは、おそらくそういう人物だったのではないでしょうか。

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 特別寄稿・宮里立士氏 「晩... | トップ | 小浜逸郎 中立性という名の... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

政治」カテゴリの最新記事