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MMT理論の急先鋒:ステファニー・ケルトン教授
次に、さいとうあやさんから近況報告がありました。
それは、5月17日に参加なさった、自民党衆議院議員・安藤裕氏主催の「日本の未来を考える勉強会」における三橋貴明氏の講演会「MMTポリティクス〜現代貨幣理論と日本経済」についての報告でした。
当講演会の模様については、youtubeにアップされているので、それを下に掲げます。
「日本の未来を考える勉強会」ーMMTポリティクス〜現代貨幣理論と日本経済〜ー令和元年5月17日 講師:経世論研究所 所長 三橋 貴明氏
当講演会の内容をかいつまんで申し上げると以下のようになります。
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MMT(現代貨幣理論)に対する批判の多くは、「自国通貨を持つ政府は財政的な予算制約がない」と言っているのを「予算制約がない」という曲解のうえに成り立っている。三橋氏はそう述べます。MMTは、そんなことは言っていない、単に「財政的な制約がない」と言っているだけで、それとは別に「供給能力不足に起因するインフレ率という制約がある」と言っている、と。
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上のふたつの図は、現代的な「銀行業」が成立した歴史的瞬間を概念的に表したものです。すなわち、ゴールドスミス(金匠)は、実際の貴金属の保有高とは「無関係」に、「金匠手形」という単なる紙っ切れ=「おカネ」を貸し出すことで、金利収入を得ることが可能になった、そのことに気付いた、という歴史的瞬間を。
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中野剛志氏の『富国と強兵』で有名になった「万年筆マネー」です。銀行は、貸出をすることで、おカネを新たに生み出している、つまり「信用創造」をしている、ということです。以下の画像は、その貨幣論の正当性を印象付けるものです。
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要するに、銀行は、何らかの借用証書と引き換えに、銀行預金という「おカネ」を発行している、ということです。文字通り「無から有を生んでいる」わけです。
これを言い換えれば、「預金が借金を生んでいるのではなくて、借金が預金=おカネを生んでいる」となります。以下は、その視点からの「日本の家計の預金と企業の借り入れと政府の借り入れ」との相互関係のとらえ直しです。
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要するに、財務省の主張、すなわち「国民の預貯金が国債に当てられている」というのは真っ赤な嘘であって、「政府が国債を増やしているから、国民の預貯金が増えている」というとらえ方のほうが正しい、ということです。MMT貨幣論からすれば、そういうことになります。
以上を踏まえて、正統派経済学の「貨幣ベール観」=「おカネのプール存在説」に基づく諸見解が全くの嘘であると、三橋氏は主張します。
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そのほか、興味深いお話はほかにもいろいろとありますが、それは本編に譲ることにして、掲げられたそのほかの画像を列挙しておきます。それを熟読するだけでも、頭のなかがリフレッシュされ、経済の本当の動きを目の当たりにすることができるのではないかと思われます。
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以下のふたつの現象は、正統派経済学の貨幣観ではとうてい説明しきれないものです。「負債と金利とは関係ない」「日銀当座預金をいくら増やしてもインフレ率に影響はない」とするMMT理論によってはじめてすっきりと説明されうるものです。
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上記のグラフは、下記のように、インフレ率は、金融政策ではなくて消費増税という名のマイナスの財政政策によってコントロールされるものであることも明らかにしています。
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下の図から、2013年4月から約6年間続いている、いわゆる「異次元緩和」によって、日銀の国債保有率は、約46%という驚異的な数字に膨らんでいることが分かります。
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MMTの、政府と日銀を一体とする「統合政府」という考え方からすれば、日銀保有の国債、すなわち1000兆円の46%は、政府発行の国債と相殺されます。財務省発大手マスコミ垂れ流しの「国の借金1000兆円」は、真っ赤な嘘、あるいは、悪質なデマ、となります。これは、MMTのみならずIMFが言っていることでもあります。
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上記の画像にちなんで、三橋氏が、出席した議員さんたちに対して「あなたたちは、財源などまったく気にすることなく弱い人たちを救うことができる絶大な力を持っていることに気付いてほしい」と訴えているのが、とても印象的でした。
MMT理論の概要については、従来から三橋貴明氏や中野剛志氏の議論に親しんできた者としては、それほど新鮮さを感じないのではありますが、なにせ、「黒船MMT号」という強力な援軍を得たことは間違いないので、素直に喜びたいと思っております。
(次回につづく)
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