美津島明編集「直言の宴」

政治・経済・思想・文化全般をカヴァーした言論を展開します。

昭和喫茶、雑感

2019年05月30日 18時40分46秒 | 文化
珈琲西武/新宿駅近くの由緒正しき純喫茶で憩いの時間を過ごす巻


ていねいな暮らし系女子が紹介する大きなコーヒーゼリー【らんぶる/新宿】#28/ Big coffee jelly ate in cafe.



タイトルの「昭和喫茶」とは、昭和の雰囲気を色濃く残した喫茶店というほどの意味合いです。それについて、ちょっと思うところがあり、雑文をしたためてみることになりました。

5月19日(日)第3回交観会BUNSO終了後、参加者のMさんと新宿の喫茶店「西武」に行ってみることにしました。そこの個室が当会の集いの場として使えるかどうかを確認するためです。「西武」には、これまで一度行ったことがあるのですが、個室があるとは知りませんでした。

「西武」に行ってみると、六つある個室がすべてふさがっていて、部屋の確認ができない状況であると、お店のスタッフから告げられました。それに加えて、個室を利用しようと待機している人たちが長蛇の列を成しています。私たちは、下見を断念せざるをえませんでした。個室以外の一般席も満杯状態のようでした。

せっかくここまで来たのだから、ということで、「西武」と同じく昭和の雰囲気濃厚の「名曲喫茶らんぶる」に行ってみることにしました。「西武」と「らんぶる」とは、目と鼻の先なのです。、

ところが、「らんぶる」もまた、驚いたことに、千客万来の状態だったのです。ちなみに「らんぶる」は、100名くらい余裕で受け入れることができるだけの座席がある地上一階・地下中1階・地下一階の大きな喫茶店です(お店の最大の魅力は、おそらく、地下中一階の存在でしょう)。私たちは、店に入ろうと列を成している五,六組の客の後尾に回り、一〇数分ほどして席に案内されました。

Mさんも私も業種は違うけれど、同じ第三次産業系の自営業者なので、「流行っているお店」に関しては、おそらく人一倍敏感な方なのではないかと思われます。で、二人してあれこれと、目の当たりにしたふたつの「昭和喫茶」の盛況ぶりについて話し合うことになりました。お客が揃いも揃って、若いこざっぱりとした服装の男女のカップルか、シングルであるという点も気になりました。

で、私たちはこう考えるに至ったのです。これは「令和現象」のひとつなのではなかろうか、と。

つまり、令和の御世になったことで、センスの良いおしゃれな若者たちにとって、「昭和」が明治・大正・昭和の「明治」のようなイメージになり、レトロとしての価値がグッと高まった。だから、「西武」や「らんぶる」などのような昭和テイストを色濃く残す存在が、とても素敵なプラス・イメージを帯びることになっているのではなかろうか、と。思えば、Mさんも当方も、今回の御代替わりを機に昭和・平成・令和の三世を生きてきた身となりました。前回の東京オリンピックだって、アップ・トゥー・デイトに体験しているのです。

「らんぶる」なんて、四〇年ほど前一介の貧乏学生だった当方からすれば、がらんとした地下に、モーツアルトなんぞを聴いている数組が物哀しく点在する、いつ潰れてもおかしくない感じの喫茶店だったのですよ。記憶のなかの「らんぶる」はそうなのです、正直なところ。世の中わからんものですね。

ちなみに、「らんぶる」は、コーヒー一杯七五〇円、とかなりの強気です。ウエイターやウエイトレスは、イケメン・「カワイ子ちゃん」の粒ぞろいでした。けっこうな応募倍率なのでしょう。

だからと言って、「これからは《昭和》の時代だ!」と早合点して、大慌てで昭和テイストを演出した店づくりやサービスを展開したからと言って、お店が流行ることなど、おそらくないでしょう。地道にまじめに「《昭和》をしてきた」物静かなお店に、上質で若々しい消費者の柔らかい洗練された視線が向けられるという社会現象が起こるだけなのでしょう。

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