美津島明編集「直言の宴」

政治・経済・思想・文化全般をカヴァーした言論を展開します。

美津島明 ふたつの『I dreamed a dream』  (イザ!ブログ 2013・3・24)

2013年12月11日 23時53分30秒 | 音楽
由紀草一さんからご寄稿いただいた『「レ・ミゼラブル」雑感』を昨日アップしました(http://blog.goo.ne.jp/mdsdc568/e/e8fc8d70c900521af4267868a3b58065)。そのなかで由紀さんは、同ミュージカルの中の有名な『I dreamed a dream』にまつわって、岩崎宏美が紅白歌合戦で同曲を歌ったことや、スーザン・ボイルが同曲で一躍スターダムにのし上がったことにふれていらっしゃいます。

いずれも、そこには奇跡的と言っても過言ではないようなドラマが生まれています。それをまだご存知でない方もけっこういらっしゃるのではないでしょうか。それは勿体無い、という「小さな親切・大きなお世話」ごころがむらむらと湧いてきました。それで、ふたりの歌いっぷりをご紹介しようと思い立ったのですね。

まずは、岩崎宏美。由紀さんからは、円熟期の岩崎宏美をご紹介いただきました。安定感と深みのある歌いっぷりですね。彼女が一九八七年の第三九回紅白歌合戦で同曲を歌ったのは二〇代最後の頃のことです。驚くべきは、ファルセット(裏声)を一切使わずに同曲を歌い切っていることです。彼女自身「自分でもびっくりした」と後年語っています。ピアノの故・羽田健太郎も、何かを感じ取って入魂の演奏をしているように見えるのは、私の錯覚でしょうか。


夢やぶれて Susan Boyle (スーザン・ボイル)の岩崎宏美版


次は、スーザン・ボイル。こちらも岩崎宏美に負けず劣らずドラマティックな歌いっぷりです。また、会場が感動の渦に巻き込まれていく様も、それに劣らずドラマティックですね。冴えない中年女が、その才能によって一躍華々しくスポットライトを浴び、称賛の的になる場面には、作り物のドラマ以上のドラマが感じられます。もちろん、この場面にも、番組を作る側の、いろいろとこまかい演出や計算があるのでしょうが、それをはみ出した部分があるという幻想を、私たち視聴者が抱いてしまうくらいに、圧倒的なものがここにはありますね。地味な人生を甘受するほかないわれわれの秘められた願望に訴える番組構成になっているようです。

Susan Boyle - Britains Got Talent 2009 Episode 1 - Saturday 11th April | HD High Quality

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