独仏のうち、まずはフランスから。
フランス政府と欧州委員会の電力に関する交渉は最終的な決着段階に近づいています。4月上旬には合意の詳細が決まることになっていましたが、検索しても見つからないところをみると、まだ交渉中なのでしょうか。
課題になっているのは、フランス電力の3分割と、原発で生産される電気をEUができるだけ高値で買ってくれることの承認です。
フランス政府としては、当然のことながら、フランスの原発電力をできるだけ多く、できるだけ高い固定価格でヨーロッパの電力会社に売りたいと考えています。現在、フランスの原発電力は年間350から400テラワット時を発電し、現在のところ、100テラワット時までを固定価格での入札で売ることができます。現在の固定価格は、1メガワット時あたり42ユーロです。これよりより多くより高く買ってほしいということで、フランス政府は、欧州委員会と最終交渉をしているのです。
フランス以外のEU諸国の多くは、原発から出た高濃度放射性廃棄物をフランスに中間保存してもらっているので、フランスはこの仕組みを使って、自国の原発電力を高く売ることができるのです。
しかし、原発大国フランスは、2050年までに原発ゼロ、再生可能エネルギー100%を目標にしようとしています。そのためには、電力供給の安定化を推進する必要があるので、2021年2月から国内の送電網を70%まで対外開放できるようにしています。ヨーロッパは、送電網やガスのパイプラインが国境を越えて張り巡らされているので、各国でエネルギーを融通することが可能であるという特殊事情をふまえての措置のようです。フランスは、再生エネルギー発電100%の実現に向けて、原発の整理に地道に真剣に取り組んでいるのです。
そのことの報道が、日本ではほとんどなされていないような印象です。
脱原発に向けた真剣な取り組みがなされているのは、ドイツでも同様です。ドイツ政府は、脱原発で生じた損害を補償するために、総額24億ユーロを支払うことで電力4社と合意しています。3月5日のことです。
次回は、ドイツのエネルギー事情に触れましょう。
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