美津島明編集「直言の宴」

政治・経済・思想・文化全般をカヴァーした言論を展開します。

「消費増税に反対、59.1%」。おおいに結構なことではあるが・・(2012・3・27 「イザ!」掲載より)

2013年11月08日 05時29分04秒 | 経済
*文中の「政府」や「彼ら」とは、当時の民主党野田政権のことを指しています。

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2012年3月26日の産経新聞HPは、

消費税増税法案の今国会成立、59・1%が反対 大連立「不適切」は半数近くに

という見出しで、次のように述べています。

産経新聞社とFNN(フジニュースネットワーク)が24、25両日に実施した合同世論調査で、消費税増税関連法案の今国会成立について59・1%が「させるべきではない」と答え、「させるべき」(38・2%)を20ポイント強も上回った。平成27年度までに消費税率を段階的に10%へ引き上げることについても、反対が前回調査(2月11、12日)から3・5ポイント増の52・4%と再び半数を超え、賛成は0・3ポイント減の43・2%だった。政府は対話集会などを展開しているが、増税への理解が広がっていない実態が浮き彫りになった。

政府と大手マスコミがやっきになって、国民を消費税増税やむなしの方向に誘導しようとしているのにもかかわらず、国民の約6割が、ガンとしてそれをはねつけている、ということですね。大変にたのもしいことでもあり、喜ばしいことでもあります。日本人もまだまだ捨てたもんじゃないよ、と。私は、この数字に国民の健全な生活感覚を感じます。

私が消費税増税をめぐってあれこれと理屈をこねまわしている根底にあるのも、同様の生活感覚です。「不況でただでさえ生活が苦しいのに、そのうえ消費税増税をされた日にゃあ、泣きっ面に蜂だよ。おエライ方々は、なんだかんだと屁理屈を並べる前に、このしみったれた景気をなんとかしちゃあくれねえかな。それからだったら話にのってもいいがね」というふうな。

私は、4割の増税容認の国民を悪くいう気にはなれません。大手マスコミがあれだけ寄ってたかって増税キャンペーンを繰り広げているのですから、それくらいの数字は当たり前です。むしろ、少ないくらいです。情報面での悪条件下で6割の国民が反対していることこそが、驚異的なのです。民度の高さを物語っているのです。政府にとっては、脅威でしょう。

関連法案に経済成長率など具体的な数値目標を盛り込むよう求めたのは74・2%。10%引き上げ後に追加増税する方針を法案に明示するのも反対は56・0%だった。

これもまた、国民の健全な判断を示しています。「景気の好転が条件、といったって、ちゃんとした数字がなきゃあ、なにも言っていないのと同じじゃあないか」ということですね。

将来的な10%超への引き上げも「必要」が51・3%で12・6ポイントも減少し、増税反対論が勢いを増している。

この数字の動きは、けっこう驚きものです。政府の「社会保障の水準を維持するためにこそ消費税増税を」という一見正しそうな主張にうさんくささを感じる国民がじわじわと増え始めて過半数を超えたわけですから。政府の殺し文句でさえ、過半数の国民は受け入れがたく感じている。

ここにあるのは、政治に対する根深い不信と既成政党に対する否定感情、もっと強くいえば破壊衝動である、と私は判断します。

私が申し上げたいのは、国民の根深い不信に取り巻かれ孤立感を深めた権力者が考えることは、ろくでもないことに決まっているし、侮りがたいし、その意味で警戒する必要が増したのではなかろうか、ということです。

彼らは、実のところ追いつめられているわけです。しかし、国民の良識に対して白旗を上げる気は、さらさらない。

とすれば、彼らとしては、一般国民に対して「逆襲」するよりほかにありません。

彼らは、近日中に、大手マスコミを総動員して、増税反対派に対するネガティブ・キャンペーンを展開し、増税しなければ国が滅ぶと恥も外聞もなく吹聴しまくり、それでも足りなければ、アメリカに泣きついて強力な援護射撃をお願いすると、私は判断しています。米つきバッタよろしく、「アメリカさん、お願いだから国を滅ぼすのを手伝ってくださいよ」とね。

この予想がはずれることを願わずにはいられません。

最後にひとつ、言い忘れたことを。

紙面に「政府は対話集会などを展開しているが、増税への理解が広がっていない実態が浮き彫りになった。」などという文字がもっともらしくありますけれど、〈国民が増税の理由をよく理解していないからこんな数字になっている〉という思いがにじみ出た物言いを、姑息にも、さりげなく織り込むところは、さすがは亡国マスコミ、忘れていません。あっぱれですね。

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