行雲流水の如くに

かんぽ生命不適切販売の遠因を探る

日本郵政グループのかんぽ生命で顧客に不利益を与えた契約は9万件以上あることが判明した。
不適切販売のやり方は極めて稚拙である。
旧契約を解約して新保険に乗り換える手口だ。その乗り換え期間に、二重徴収や無保険期間が発生するわけだ。
顧客が外交員を信用して任せてしまえば「オレオレ詐欺」よりも簡単に引っかかってしまう。
かんぽ生命に加入している顧客は、日本の庶民の原点ともいえる「おじちゃん、おばちゃん」が主体だ。
郵便局の職員も毎日のように郵便物を届けに来るから顔なじみになっている。
絵にかいたような昭和年代の懐かしい、ほのぼのとした風景が目に浮かぶ。

釈尊は次のように述べている。
「汝ら、過去の因を知らんと欲すれば、現在の果を見よ。未来の果を知らんと欲すれば、現在の因を見よ」

かんぽ生命の現在のような状況(果)はすべて2005年の小泉内閣による「郵政解散」を因とする。
郵便局は全国津々浦々庶民とともに生きてきた。ある種の日本の土着文化とつながりがある。
郵便を配りながら、小口の貯金や保険を取り扱ってきた。
そこにある考えは「お客とともにある」だ。顧客を騙す考えなど入り込む余地はあるまい。
郵政解散の結果、郵便局の民営化が始まった。

2005年前後が、日本型資本主義(顧客、従業員重視し株主は軽視)と決別してアメリカ型の資本主義(株主重視、従業員はコスト)に踏み込んだ分岐点だろうか?
非正規雇用の増加もこのころから始まった。

おそらく今回も「ノルマをこなすために現場の職員が暴走した」というシナリオが用意されているのだろう。
しかし民営化を行い、その結果株価や株主への配当金を経営の第一課題にすれば、今のようなありさまは必然の結果である。
郵便というシステム(それに付随する郵便貯金とかんぽ保険)は「アメリカ型資本主義」になじまないのだ。

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