日本製鉄による米鉄鋼大手USスチール買収案件が暗礁に乗り上げている。
141億ドルの巨額資金を投じるようだが、バイデン大統領が買収禁止命令を出した。
民間取引に大統領が口を出すのは異例だが、もはや政治問題となったと理解すべきだろう。
日鉄はバイデン大統領らを提訴するようだ。
このところの日鉄経営陣の発言を聞いていると冷静さを失っているようだ。
バイデン大統領の決断は、理不尽かもしれない。
しかし、「USスチールというのは良きアメリカのシンボル」だった。
同盟国とはいえ日本から仕掛けられた買収に感情的な反発があるのだろう。
一方で、日鉄が衰退の過程にあるUSスチールに巨額の資金を投入して「本当に大丈夫か」という懸念はぬぐえない。
この際潔く身を引いてアメリカに貸を作った方が得策のような気がする。
それにつけても思い出すのは、2006年東芝がアメリカの原子力発電機メーカーウエスチング・ハウスを買収したのだが、結局WHは破綻してしまった。
ババ抜きのババを引いた感じがしなくもない。
東芝は1兆2千億の損失を出し、虎の子の半導体事業を売りに出さざるを得なくなった。
日本政府はあまりのめりこまないほうが良い。
子供のけんか(民間同士)に相手は親が出てきたのだが、こちらの親も出ていくことはあるまい。
「損して得取れ」という格言がある。
バイデンに戦いを挑んでも「損して恥をかく」ことになるだろう。