バブル崩壊後の就職氷河期世代(主に1970年代)を「失われた世代」というらしい。
誰がつけたのか良くわからないが、やや浅薄な発想である。
逆に楽勝だったこの世代より10年くらい前の世代は、浮かれた世相を反映して中途退職者が大量発生した。
今は還暦前後で、この国を指導すべき最前線だと思うが、「浮かれた世相」を引きずっていないか心配だ。
就職がもっと厳しい時代と言えば1930年前後の昭和恐慌の時代だろう。
この時代に社会に出た人たちが戦後復興を担った。
厳しい時代を生き抜けば強靭な「心構え」が出来るのだと思う。
「失われた世代」などという言葉に惑わされないでほしいものだ。
「今日より明日が暗い時代」を戦後初めて生きることになった最初の世代(1975年生)、と脳科学者の中野信子さんは語る。
このような優秀な人は、若い人を元気づける言葉を語ってもらいたい。
ご本人は「ポジティブな考え方」は余り好みではないようだが。
ちなみに昭和6年、昭和恐慌の真っただ中に早稲田大学を卒業した松原泰道禅師は友人と卒業旅行に出かけた。
友の一人が、古木の桜樹の傍らに苔むした歌碑を見つけた。
「あれを見よ深山の桜咲きにけりまごころつくせ人知らずとも」と刻まれていた。
この言葉が若い松原泰道師たちの生き方を支えてくれたという。