「好事魔多し」ということわざがある。
岸田首相は、G7サミットを無難に乗り切り、意気揚々と解散総選挙に打って出る気十分だったかもしれない。
しかし連立を組んでいる公明党との東京28区の選挙区調整が不調に終わり暗雲が漂い始めた。
公明党は、10増10減で東京の選挙区が5増えるのに伴い東京28区での擁立を熱望していた。
ところが自民党は頑として受け入れず、ついに決裂。
公明党は東京28区擁立を断念、そのかわり東京都の自民党議員に推薦を出さない。
公明党の支援がないと10人前後は危うくなると言われている。
東京都議会での協力も解消するという。
自民党の交渉窓口は茂木敏充幹事長、公明党は石井啓一幹事長。
共に東大卒の理論家だから、理屈の言い合いになればまとまるものもまとまらない。
この辺が頭の良いと言われている人の弱点か。
「議論を通じて勝利を得たように思えても、それは結局、ピュロスの勝利(大きい犠牲を払って得た引きあわない勝利)にすぎない。
相手は一時的に意見を変えるかもしれないが、心にかきたてられた怒りと悪意はずっと根強く残っていく。それよりも、一言も発することなく、行動で相手を納得させるほうがはるかに強力である」
ロバート・グリーン+ユースト・エルファーズ
もともと自民党と公明党は政策が合致するから一緒になっているわけではない。
それぞれの利害が一致した結果だ。
自民党は選挙の票、公明党は宗教政党としての安全パイの確保であろう。
しかし第2次安倍政権以降の自民党の動きを見ていると、体質がかなり変化している気がする。
「敵を作ること」にこだわらなくなった。
これが国内だけでなく国外に向かえば大きなリスクを抱えることになる。