(1972年)チューリップがレコードデビュー
シングル&アルバム『魔法の黄色い靴』をこの日同時発売。
今で言うインディーズで既にレコードをリリースしており、地元・博多ではアマチュア時代でもかなりの人気を得ていたが、メジャーデビュー後暫くはヒットに恵まれなかった。
彼らのブレイクは、苦心の末生まれた翌年の3rdシングル『心の旅』まで待つことになる。
ビートルズの影響を受けたバンドは無数にあるが、当時そのフォロースタイルは初期のストレートなロックに倣うのが通例だったのに対し、チューリップの場合は中期(『ヘルプ』~『ラバーソウル』)から後期にかけての凝った音作りを手本としたことに革新性があった。
これはビートルズの中でもとりわけポール・マッカートニーの作品に傾倒していたリーダー・財津和夫さんの趣向によるところが大きい。
彼らのようなサウンドの楽曲は、それまで日本ではほぼ存在しないに等しかった。
時代の先を行く彼らの創作スタイルは業界で高く評価され、まだ一般の認知度が低かったデビュー当初でもいわゆる〈ミュージシャン'sミュージシャン〉として一目置かれていたという。
ビートルズを独自のかたちで吸収しつつもオリジナリティーに溢れたその作品は、ロックともフォークとも定義出来ない、文字通り〈ニューミュージック〉の誕生だった。