川瀬有希の時の旅


「今日は何の日」と題し、過去のその日に起こった出来事を、自由気ままに語るブログです。

6月14日/ 今日は何の日

2012-06-14 00:15:00 | 誕生日

(1961年)原秀則誕生日

漫画家。
彼の作品は『冬物語』しか知らないが、受験生時代を飾る印象的な一作として記憶に残る。
今までのところ、僕が最後に読んだ「新作」漫画(笑)。

1990年の冬、大学受験の為上京する際に困ったのが宿泊施設。
時はバブル真っ只中。
どんなに安いホテルでも一泊1万円以上で、十日前後の利用だとかなりの出費となり、ただでさえ貧乏なのに、進学どころか受験の段階で門前払いかと頭を悩ませていたところ、クラスの友達から何とも有り難い情報を入手した。
代々木にある国立オリンピック記念青少年総合センターという施設が僕のような受験生の為に、その時期格安で部屋を提供するという。
一泊二食付きで確か3000円!もしなかったと思う。
受ける大学にも比較的近く、そんな嘘みたいな値段設定の所は他にないので、その友達と共に迷わず申し込んだ。
小田急線参宮橋駅から歩いて数分の場所に位置し、代々木公園の一角なので昼間でも大変静かで且つ広い自習室まで用意されていた。
名称から判る通り、建物自体は古いが、受験勉強に打ち込むには最適な環境だった。

僕が泊まったのは四人部屋。
その友達以外は別の地方から来た全く知らない人達だが、皆目的は同じなので他人行儀になる筈もなく、直ぐに意気投合した。
受験を終えた人から部屋を去り、次の宿泊者と入れ替わっていったが、皆いらなくなった物を何かしら残して部屋を後にした。
一番多かったのは、気分転換に買ったであろう新聞や漫画雑誌。
試験を終え、発表までそのまま数日泊まることにしていた僕は、暇潰しにそれらを手に取りパラパラとページを捲った。
その中のひとつに連載されていたのが原秀則の『冬物語』だった。
他の作品は全然興味がもてなかったが『冬物語』だけは違った。
というのも、僕と同じ大学受験生が主人公だったからだ。

結局その年の受験は失敗、浪人が確定(ちなみに、一緒に泊まった友達は合格した)。
まさか漫画の主人公と同様の境遇になるとは……。
今思えば、あの作品との出会いは運命だったのかな?
実家に戻り最初に買ったのは、参考書でも問題集でもなく、実はこの『冬物語』のコミック全巻(笑)。
とにもかくにも早く全編を読みたかったのだ。
あの頃の僕を支えてくれたその本は今でも大切に保管している。

あの時、センターで数日共に過ごした彼ら、今頃どうしてるかな……。